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家族信託について

岡田一夫岡田一夫

2016/06/29

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最近、「家族信託」という言葉を耳したことはありませんか? 「家族信託」とは正式な名称ではなく、信託銀行や信託会社等の免許が必要な商事信託以外の民事信託の中で、とりわけ家族が当事者となって行う信託の俗称です。(商事信託、民事信託も俗称です)

【当事者は?】
委託者・受託者・受益者の3名が登場します。 委託者が受益者のために「信頼できる」受託者に財産の管理運用処分を任せることです。 一般的には委託者=受益者となり、例として親が自分のために息子に財産の管理運用処分を任せる仕組みとなります。

【具体的事例】
家族信託のスキームとしては様々なパターンがありますが、その中でも利用される頻度が多いのが、認知症対策としての家族信託です。収益マンションのオーナー様の事業承継者の中にも、オーナーの父親が高齢なため、物忘れが多くなったり、体力が無くなってきたりで、認知症になるのではないかと心配されている方がいらっしゃるのではないでしょうか。もし認知症になると、ご存じのとおり後見人を選任しないといけません。被後見人の財産が多い場合は、最近の傾向では、かなり高い確率で第三者の後見人が選任されているようです。後見人制度では被後見人の財産を減らしたり、相続税対策として負債を負うことは認められておりません。
そこで、オーナーである父親が元気なうちに委託者兼受益者、事業承継者である息子を受託者として信託を組みます。

【メリット】
一度、信託契約を締結した後に、父親が認知症になったとしても信託財産の管理処分権は息子に移っておりますので、マンションの大規模修繕、建替え、新築、売買が可能となります。父親から息子に収益マンションを生前贈与したとすると登録免許税、不動産取得税がかかりますが、信託登記では登録免許税は生前贈与に比べて5分の1、不動産取得税はかかりません。(信託による形式的名義変更で、実質的には権利が移転していないためです)

【信託登記】
不動産を信託財産に入れた場合は、登記する必要がありますので、信託を原因とする所有権移転登記をすることになります。信託登記には信託目録というものがあって、委託者、受託者、受益者が誰であるか、信託の目的や管理方法、信託の期間、終了事由、残余財産の帰属先等が記載されて内容が誰でも確認することができます。残余財産の帰属先を定めることで、遺言と同じ効果を生じさせることが出来ます。

【最も重要な事】
今回、紹介させていただきた信託の他、遺言作成もオーナー様が元気なうちにしないと手遅れになることです。財産管理、事業承継も「転ばぬ先の杖」です!

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士

おかだ司法書士 / 行政書士事務所。同志社大学経済学部卒業後、平成4年司法書士試験合格、平成7年独立開業、平成8年行政書士資格取得。 不動産登記、商業登記等の登記業務を中心に、建設業、宅建業、運送業等の許認可業務も取り扱っております。多くの不動産賃貸経営者をクライアントとする税理士事務所の依頼により、相続に伴う財産・事業承継に数多の経験があります。最近では、経営者の高齢化に伴い、いわゆる家族信託スキームを利用した権利の保全・財産承継の業務が増加してきております。 登記業務はどの司法書士に依頼しても成果は同じですが、遺言、信託等の保全業務は「する」か、「しない」かで結果は全く異なります。他の士業と連携し、トータル的に国民の権利保護に寄与できればと考えています。 [担当]不動産登記 岡田一夫は個人間直接売買において決済完了後に登記手続きを行います。

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