ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

中古マンションのメリットと購入時の注意点は?

価格、立地が断然有利! いま新築より中古マンションを選ぶべき5つの理由

秋津智幸秋津智幸

2017/03/23

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

新築マンションの値段が高騰している

ここ数年、地価の上昇にあわせて新築マンションの価格も高騰してきています。不動産経済研究所の「首都圏マンション・建売市場動向 2017年2月度」によると、首都圏のマンションの平均価格は5,793万円(前年同月比で20円のアップ)となっています。

不動産価格が上昇していく背景にはいろいろな理由がありますが、基本的には需要と供給のバランスで、需要に対して供給が少ない状態が続くと、不動産価格は上昇します。

しかし、現在の新築マンションの価格は、単に買いたい人の数に対して物件が少ないという需要と供給の問題だけでは説明しきれない背景があります。まずは、その理由を見てみましょう。

(1)マンション用地に適したまとまった土地が少ない
マンションも商品であるため、マンション開発を行なう事業者としてもは、採算の合う土地を見つけなければなりません。ところが、人気のある地域ではこれまでにいくつもマンションが建設され、新たにまとまった土地を見つけることが非常にむずかしくなっています。

そうしたなか、仮にマンションに適した土地があっても土地代が高くなっているため、採算を取るにはマンションの販売価格をその分高くしなければならなくなっています。

(2)建築費が高騰している
また、建物を建てるための建設費も、2020年の東京オリンピックや東北や熊本などの被災地の復興といった国家的な規模の工事が進行中であるため、実際に現場で作業を行なう職人が不足しており、その確保のため人件費が高騰しています。

さらに、為替の影響を受ける木材や鉄鋼といった輸入資材も円安の影響で価格が高騰しています。また、サッシなど一部の部材では、定められた安全基準の見直しによって品質向上を迫られ、それに伴う生産コストの上昇で高騰してしまうなど、本当にさまざまな理由から建築費が高騰し、建物の価格を押し上げています。

このように土地、建物の両方で価格が高騰しているため、その完成形である新築マンションの価格が高くなっているのです。

いま新築マンションをおすすめできない理由

前述のように、さまざまな理由で新築マンションの価格は高騰しており、また、実際にマンションを建設しにくい環境でもあるため、マンションの建設戸数が減ってきています。

この状況のなか、マンションの購入を考えている方には、新築マンションはおすすめできません。

そのいちばんの理由は、やはり価格が高いことです。さらに、新築マンションはいつの時代でも新規販売のための「広告宣伝費」「人件費」がその価格に含まれています。

新築マンションの価格がいつでも中古マンションより高いのは、単に新しいというだけでなく、このイニシャルコストが乗っていることがひとつの原因です。しかも、いまは一層高い価格なので、新築マンションは格段に高い状況にあると言わざるを得ません。

次に、これも前述しましたが、新築マンションの建設戸数が減っているため、希望の立地に新築マンションを購入することがむずかしくなっています。

筆者は住宅を購入する際にいちばん重視すべきものは立地だと考えているため、立地に関しては、自分の希望を曲げてまで新築にこだわることはおすすめしません。不動産は簡単に購入できるものではありませんし、一度購入すると簡単には家を変えられないからです。

(関連記事)
マンションは「住み心地」で選んではいけない! その3つの理由とは?

このように価格が高騰している上に、希望の立地を選ぶことがむずかしいのが、いまの新築マンションですから、筆者がおすすめできないと申し上げたのもご理解いただけるのではないでしょうか。

ここまで、現在の不動産市況では新築マンションがおすすめできない理由をお話ししてきました。その一方で、中古マンションは新築マンションに比べてさまざまな理由で購入しやすくなっています。その5つの理由をあげてみましょう。

<理由1> 中古のほうが立地に恵まれている

国土交通省の統計では、昭和43年から平成27年までに約623万戸(供給戸数:竣工ベース)のマンションが供給され、新耐震基準のマンションだけでも約517万戸のマンションが建設されています。

これだけの数のマンションが、そのときの状況によるものの、建設しやすい場所から建築、販売しているのですから、中古マンションは比較的恵まれた立地に建っているものが多いと言えます。

このことから、タイミングにもよりますが、中古マンションのほうが希望の立地に見つけやすくなっています。

<理由2> 中古である分、新築と比べ価格が安い

中古マンションは、同じような立地、面積であれば、建物の築年が経過している分、価格は新築マンションよりも安くなります。

さらに、中古マンションではそのマンションの所有者である売り主が、個人である場合も多いため、その売り主の状況によっては価格交渉も可能です。運よく交渉がうまく成功すれば、相場よりも多少安い価格で購入できることもあります。

<理由3> 新築同様に住宅ローンを利用できる

一戸建てと比べ、マンションは鉄骨造や鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造が多く、金融機関の評価上でも耐用年数が長くなっています。

そのため、住宅ローンを利用する場合、築年が古くても新築と変わらない融資期間(返済期間)で融資を利用することができます。

もちろん、築年が30年以上の中古マンションになれば、住宅ローンの融資期間に制限が出てくることがありますが、築年が比較的浅い中古マンションであれば、住宅ローンを借りる上では新築マンションとほぼ差はありません。

(関連記事)
収入と返済能力があっても借りられない? 中古住宅購入で住宅ローンが使えない4つのパターン

<理由4> 技術やバリエーションが増えリフォームしやすくなった

昨今は住宅リフォームの技術や素材の質も向上し、リフォーム向けの設備や商品も増えたことで、以前に比べてリフォームの自由度が高くなってきています。

もちろん、中古マンションに限らず、新築マンションでもリフォームすることはできますが、高い価格で購入したすべてが新しい新築マンションでは心理的にすぐにリフォームをしにくいと言えます。

さらに、理由1でお話ししたように、希望の立地で中古マンションを購入し、安く購入できた分で自分の好きなようにリフォームすれば、立地も間取りや設備も希望通りの家に住めるということになります。

<理由5> 実際の建物を見て購入できる

新築マンションを購入する場合、モデルルームを見学してイメージはできるものの、まだ建築中の物件を購入(契約)するため、完成後にイメージが違ったということもあり得ます。

一方、中古マンションは完成済みの物件を購入することから、共用部分や居室などすべて実際のものを見て購入することができるので、想像と違ったという心配はありません。

(関連記事)
中古住宅探しで営業マンや売り主に聞いておかないと後悔する15のリスト

新築マンションが水面下で値引きされる?

高く価格を設定しすぎたマンションは、売れ残れば、値引きされます。これは、バブル経済の崩壊以降も何度か繰り返されてきたことです。

そのため、これから高くなりすぎた新築マンションが水面下で値下げされるのではないかという質問を何人かのお客さまから受けました。

ですが、値引きされるのは、あくまで売れ残りの物件ですから、果たして希望の物件、人気の物件が値下がりするのかはわかりません。

また、値引きと言っても、完成後しばらく経ってから、その時点の適正価格になるので、そのとき新たに発売された新築マンションと同じ程度か、やや下回るぐらいです。

したがって、新築マンションの値下げにはあまり期待せず、自分がほしいときに、ほしい物件でたまたま値下がりしていたら、ツイていたと考えるぐらいでいいのではないかと思います。

中古マンション購入時に注意すべき点は?

新築マンションに比べ、いまはメリットが多いと思われる中古マンションにも、やはり注意しなければならない点があります。

最も注すべき点は、築年が古すぎるものは選ばないこと。特に、地震の多い日本では、耐震面には注意したいものです。1981年6月1日以降に建築確認済となっている建物を新耐震基準の建物といっていますが、最低限、新耐震基準をクリアした物件を購入することをおすすめします。

また、マンションも建物であり、劣化するため、いつかは建て替えが必要になります。100年住宅といわれるマンションもありますが、一般的には築60年~70年で建て替えが必要と言われており、築年が古い建物ほど素材や技術の面から耐用年数が短く、建て替えの時期が早くやってくると考えられます。

たとえ、お金がかかっても建て替えできればいいのですが、建て替えには区分所有者(マンションの所有者)全体の5分の4以上の賛成が必要で、それがなければ、建て替えはできません。もし、その賛成が得られなければ、建て替えできないままボロボロ設備のなかで、不自由しながら暮らすことになってしまう可能性があります。

こうした懸念があるため、あまり古すぎる中古マンションはおすすめしにくいと言えます。

それでも、現在の不動産価格や物件数、立地などさまざまな面で、少なくともいまは中古マンションのほうがおすすめできると言えます。

特に、お子さんの学区の問題や実家のそばがいいなどエリアを限定して考えていらっしゃる方には、中古マンションがおすすめと言えるでしょう。

(関連記事)
空き家率30%時代になっても、「賃貸」より「持ち家」が有利な4つの理由
人口減少時代に30年後も資産価値が落ちない住宅の4つの条件

 

 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級。 神奈川県住宅供給公社にて、分譲マンション、一戸建・宅地分譲、高齢者住宅等の新規不動産販売部門に従事した後、同社賃貸部門にて賃貸物件の募集、管理業務に従事する。その後、不動産投資専門の仲介会社を経て、不動産コンサルタントとして独立。 現在は「不動産サポートオフィス」の代表コンサルタントとして、自宅の購入、不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。その他、不動産業者向けの研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。 主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

ページのトップへ

ウチコミ!