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住宅の引き渡し後、不具合や欠陥が見つかった場合の対処法とは?

菅 正秀菅 正秀

2016/08/29

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トラブル防止のための法整備が進んでいる

ここ数年、リフォームや耐震構造計算偽装、マンション杭打ちの偽装問題といった住宅をめぐるトラブルが大きく報道されることが目立ったように思います。こうした問題への批判の高まりなどから、国としてもこうしたトラブルを防止するため、法整備が進められてきました。

悪質な法律違反の厳罰化などの法改正が行なわれ、補償についても「住宅瑕疵担保履行法」など欠陥住宅から買い主を守る法律も施行されています。

また、リフォームのトラブルに関しては経済産業省を中心に対策が進んでいます。リフォームトラブルは、「高齢者を対象にした悪質な売り込み」「次々商法と呼ばれる連続販売方法」「住民の恐怖感をあおる虚偽の報告」などが明確に禁止されると同時に、工事の明細書の添付を義務化しました。

具体的には、これまで『○×工事一式』と表示されていたものが、すべての工程を明記することになったので、どのような工事にどれだけの費用がかかっているのかがはっきりわかるため、トラブルの防止につながることが期待されています。

不具合や瑕疵がまったくない住宅はあり得る?

このようにさまざまな対策がなされていても、トラブルが発生する可能性はゼロではありません。たとえ悪質な手抜き工事などが行なわれていなくとも、ちょっとした手違いやミスによる欠陥は発生してしまうことがあります。

建売住宅は、価格も比較的手頃で住宅ローンも組みやすく、一戸建ての購入を考えている人にとっては強い味方になってくれます。欠陥住宅問題は避けて通れない問題ですが、悪質な業者ばかりではなく、誠実に丁寧な施工を行なっている業者もたくさんあります。

とはいえ、住宅というものはその性格上、小さな不具合までを含めれば、“欠陥(とまでいっていいのかわかりませんが)がまったくない”ものを手に入れるのは不可能に近いといっても言い過ぎではないかもしれません。

そこで住宅の引き渡し後に、何らかの瑕疵や不具合が発見された場合、どのように対処すればいいのかを押さえておきましょう。

基本は当事者同士の話し合いで解決

基本的には、当事者同士による話し合いで解決するのが原則です。まずは、販売業者もしくは施工業者に、どのような欠陥や不具合が出ているのかを伝え、誠実に対応してもらうよう求めましょう。

多くの業者はできる限りの対応をしてくれるはずです。ですが、すべての業者が誠実な対応をしてくれるかどうかはわかりませんし、なかにはのらりくらりとあいまいな対応を続けて逃げ切ろうとする業者もいるかもしれません。

そこで解決できなければ、まずは国民生活センターや住宅リフォーム・紛争処理支援センターなど公的な機関に相談してみましょう。そこでも解決できない場合は、建築家や弁護士など建築・法律の専門家に依頼することになりますが、これはあくまで最終手段と考えておきましょう。

◎国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/
◎住宅リフォーム・紛争処理支援センター
https://www.chord.or.jp/

もしも問題がこじれてしまったら…

住宅のトラブルは専門的な知識が必要になることから、こじれてしまった場合は自力で解決することはむずかしい部分もあります。

そのような場合、利害関係がまったくない建築士や検査会社などの第三者に相談することも検討してみてはいかがでしょう。建築士などに第三者の立場から、瑕疵や不具合について客観的に判断してもらえれば、その判断をもとに弁護士に相談し、善後策を検討するということもできます。

ただし、検査会社の多くは建設会社の資本で設立されているので、どの建設会社に依頼するかは慎重に判断したほうがいいでしょう。極端な例ですが、施工した会社と資本関係がある会社に検査を依頼してしまったら、公正な検査結果が得られるかどうか、むずかしいと言わざるをえないでしょう。

★★★関連リンク★★★
建築業者が宣伝する「第三者機関の検査」を信用してはいけない!

業者との打ち合わせ内容はメモや録音を残しておく

住宅が人生でいちばん高い買い物といわれていますし、最悪の場合、倒壊などがあれば命にかかわることですので、瑕疵や不具合にどう対応するか、ご自身が納得できる選択をしたいものです。

先ほども述べたように、住宅のトラブルは自力で対応するのは難しい問題ですので、まずは業者と話し合い、それでも解決できない場合は公的な機関に相談することをおすすめします。

その際、後々のトラブル防止のためにも、業者との打ち合わせ内容は、すべてメモとして記録しておくか、録音しておくことをおすすめします。

住宅のトラブルは長期化するものも多く、記憶があいまいになってくることもあります。“言った言わない”の争いになることを避けるためにも、最低限、打ち合わせの際はメモをしっかり残しておいたほうがいいでしょう。

 

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この記事を書いた人

株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント

宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。

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