収納スペースは家のなかの”どこ”に”どれだけ”確保すればいいの?
岩崎未来
2016/08/17
収納にかかるコストは大きい
家づくりでいちばん失敗談が多いのが、「収納」なのだとか。「とにかくたくさんあったほうがいい!」とつくったものの、その後用途に困ってしまったり、逆に少なすぎて困ったり…。どれだけ収納できるかということ以外にも、使うときの取り出しやすさや片づけ安さも重要です。
たとえば、坪単価50万円の家だとしたら、収納にもそれと同じだけのコストがかかります。収納にかかるコストは思いのほか大きいので、どこにどんな収納を確保するのか、じっくり考えてみたいものです。
実は使いづらい階段下収納
階段下はデッドスペースになるため、通常は収納かトイレを設置する場合が多いです。ただ、階段下のトイレは暗くなりがちですし、音も気になる、といったことから、収納にする人もたくさんいます。
その場合、階段の形状にもよりますが、奥のものが取りだしにくい、天井が低くて片づけにくい、といった問題が起こることが多々あります。
階段下を収納にする場合は、その奥行きや高さがどれくらいになるのかを施工会社に確認し、シミュレーションしてみましょう。
クローゼットはサイズを指定して
クローゼットの大きさは、要注意です。
「高さを指定しなかったため、コートの裾が床についてしまう」「奥行きが足りず、体格の良いパパの服はかけられない」といったことが発生することも、実は少なくありません。
せっかくクローゼットを設置しても、服がキレイに収納できないのでは、致命的な失敗です。いちばん大きな服、長い服のサイズを測ってみて、どのくらいの大きさが必要なのかを事前にしっかり割り出してください。
和室がない=布団がしまえない!
最近では、和室はつくらず、全室洋室の家も増えてきています。家族は全員ベッドなのでよいものの、お客さん用の布団をいざしまおうと思ったら、押入れがない! 収納する場所がない! という事態が発生します。
和室をつくらない場合は、どこに布団をしまうのかを考え、収納できる場所を確保できるような設計を依頼したほうがよいでしょう。
パントリーの場所に注意
最近では、キッチンの近くにパントリー(食品庫)として利用する場所をつくる方が増えてきました。
ただし、このときに注意したいのが、そのパントリーをつくる位置。コンロの隣にあると、焼き物などのにおいがすべてパントリーに溜まるほか、導線としても使いにくい設計になってしまいます。また、キッチンからの入り口だけでなく、玄関から直接入れるなどの、別の入り口があるほうがおすすめです。
さらに、棚は固定棚にすると融通がきかず、置けるものが限られてしまうため、可動棚に。そのほかにも、コンセントを設置する、換気するための窓をつける、などの注意点があげられます。
屋根裏収納は将来性ナシ!?
秘密基地のようで楽しい屋根裏部屋や屋根裏収納は、便利に見えて、実は大変なこともいっぱい。広くつくっても天井が低く、腰を曲げてしか入れない場合、荷物の出し入れや掃除がかなり大変です。若いうちはよくても、歳をとってからのメンテナンスは厳しいかもしれません。
また、夏場はかなり暑くなる、というデメリットも。本当に必要かどうかをよく考えてみたほうがよいでしょう。
壁面収納は可動式に!
壁一面を収納にすることで、たくさんのものが手に取れる範囲で整理できて、便利ですよね。
ただし、固定棚にしてしまうと、動かないので置くものの場所をよく考えねばならず、最悪のケースでは「テレビが入らない!」なんてことも。壁面収納は可動式にしておくほうがベターです。
きっとほかにも色々ある、収納づくりの落とし穴。実際に家を建てた経験のある人に、じっくり話を聞いてみることをおすすめします!
この記事を書いた人
住宅ライター
「1級建築技能士」という国家資格を保有する昔気質の職人を夫に持つ「大工の嫁」。群馬県在住で鹿児島県出身。 都内の大学卒業後、出版社や編集プロダクションに勤務し、さまざまな実用書・書籍を手がけた後に独立。間取り図や住宅情報誌などを見るのは趣味のひとつで。都内在住中、10年で6回の引越しを経験。その後、結婚し、第一子出産後、夫の故郷である群馬県に移住。 第二子妊娠中の今、毎夜夫の仕事話を聞きながら、マイホームへの夢を募らせている。