頭金なしで購入できる中古住宅をチェックする6つのポイント
牧野寿和
2016/06/07
不動産広告はしっかりチェックする
中古住宅の物件探しは、まず不動産広告のチェックに始まり、気になる物件が見つかったら見学、購入を決めたら契約、といった流れになります。優良な物件を見きわめることが大切ですが、最初に基本的な知識を身につけておかないと、実際に物件を目にしたときに広告の記載事項と合っているか判断できません。
まず不動産広告ですが、広告を見る上で気をつけなければいけないのは、物件のプラス面だけでなくマイナス面を見つけることです。特に小さな文字で書かれた部分には見逃すと大損をしかねない情報が隠れていることもあります。
たとえば中古一戸建ての広告には、「再建築不可」「既存不適格建築物」「要セットバック」という文言が小さな文字で表示されていることがあります。これは、その建物が現在の建築基準に合わず、将来の建て替えがむずかしい物件であることを意味しています。
単純に「建て替え不可=悪い物件」とはいい切れませんが、「イザ」というときに資産価値を下げる要因になってしまいますから、頭金ゼロで物件を購入する人は慎重に検討したほうがいいでしょう。
また、プラス面だけに注目していると、物件見学をしてもマイナス面に目が向かないことがあります。大切なのは、何か問題点があった場合、「気にならない程度か」「修繕で修復できるか」をチェックし、的確な判断をすることです。そのためにも、事前にマイナス面を知っておくことが必要なのです。
不動産広告は、その物件を扱う不動産会社の姿勢や信頼度を知る尺度にもなります。良心的な不動産会社の広告は具体的な情報が多く、物件ごとの情報量に差が少ないものです。なかには、おとり物件といわれるように、価格が相場より極端に安い物件で客を引きつけ、「その物件は売れてしまいましたが、もっといい物件がありますよ」と甘い言葉をかけてくるような業者がありますが、こういった業者とはつきあわないほうが無難です。
中古住宅をチェックする6つのポイント
中古住宅では、購入を決断する前に問題点が見つかった場合、「安全性の点で許容範囲なのか」「リフォームで解決できるのか」といったことを検討できるため、物件の長所・短所も納得した上で購入に踏み切ることができます。
その際のチェックポイントとしては、次の6つがあげられます。
(1) 安全性(構造や耐震性)
(2)耐久性(どの程度の傷みだったら許容範囲か)
(3)居住性 (防音性や窓の大きさなど)
(4)リフォーム性(リフォームの自由度)
(5)管理状態(大規模修繕計画、管理費などは適正か)※マンションの場合
(6)将来性(周辺環境が変化する可能性 はあるか)
ただし、素人が判断するのはなかなかむずかしいことです。たとえば、中古マンションを見学していて床のきしみがあると、「構造に問題があるのでは?」と不安になるものです。しかし、きしみだけで悪い物件とは断定できません。
マンションの床のきしみの原因は、単にフローリングを張るときの不備であることが多いので、大半は床板の張り替えで簡単に解決できます。 判断に迷ったときはホームインスペクション(建物調査)のプロに依頼するといいでしょう。
介護が必要になった場合のことも考えておく
購入者や家族に年配の人がいる場合は、介護が必要になったときのことも考えておくことが大切です。廊下や部屋のなかを車椅子で動けるか。入居直後にリフォームするわけではなくとも、将来のことを考えて、浴室やトイレに改修するだけの余地があるか。また、玄関の段差にスロープがつけられるかといったところがポイントになります。
しっかりチェックすることができれば、たとえば、浴槽が汚れている場合は、「自分で直すから少し値引きしてほしい」などと、値引き交渉の材料になるかもしれません。 気になる物件については、希望すれば、再見学することも可能です。一度の見学で購入を決めようとせずに、納得できるまで確認するようにしましょう。
この記事を書いた人
CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。