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新耐震、【フラット35】の技術基準はクリアしているか?

頭金なしで買うべき、おすすめ中古マンション、中古一戸建ての条件とは?

牧野寿和牧野寿和

2016/05/31

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1983年以降の竣工かどうかがひとつの目安

頭金なしで住宅を買う場合、資産価値が目減りしにくい中古住宅がおすすめということは、前回( http://sumai-u.com/?p=5127 )お話した通りです。
では、どのような中古住宅を選べばいいのでしょうか。まず、中古住宅選びで非常に気になる要素のひとつが耐震性や安全性と言えるでしょう。

建物の強さは建築基準法に含まれる耐震基準(地震にどれだけの強さをもつか)をもとに考えます。現在の基準は1981年に施行された新耐震基準(新耐震)で、震度6強〜7程度の揺れに耐えられる強さを建物に与えることが義務づけられています。

一般に、この新耐震をクリアした建物は、それ以前のものより耐久性・安全性が高いとされています。 マンションの場合、完成までに1年半程度の期間が必要とされます。そのため、81年当時に竣工した建物自体はほとんどが新耐震以前の基準にしたがっているのが実情です。
そのため、確実に新耐震をクリアしている中古マンションを希望するなら、83年以降に竣工した物件ということが目安になるでしょう。

なお、住宅金融支援機構の住宅ローン【フラット35】を利用する場合、機構が定める技術基準に適合していることを示す「適合証明書」が交付された物件であることが要件になります。購入を決める前に、技術基準に適合している住宅かどうか、仲介する不動産会社に確認しておきましょう。

【フラット35】の技術基準に適合するためには、一戸建て、マンションを問わず「新耐震をクリアしていること」「耐火構造になっていること」、マンションは「管理規約、一定期間以上の長期修繕計画が定められていること」などが前提になっています。

新築ならではのリスクがあることも

ただし、新耐震以前に竣工した物件でも、建物の強度を考えて建てられた耐震性の高い物件は少なくありません。
反対に新耐震後の物件でも、建設技術が劣っていたり、無理な工期をこなすために施工が粗雑だったりと、強度に問題が発生することもあります。一概に判断することはできないのが現実です。

「傾斜マンション」として社会問題にもなりましたが、大手デベロッパーが手掛けた横浜の大規模マンションの例をあげるまでもありません。こうした事例はこれまでにも全国で見られ、問題の発覚後に住民と販売業者の交渉が難航し、訴訟に至るケースはめずらしくないのです。

しかも、裁判所に損害賠償責任を申し立てても長引きます。そもそも構造体の手抜き工事は素人はもちろんプロでも見抜くことは困難です。せっかく手にした夢のマイホームを、思いがけない瑕疵(欠陥)をきっかけに泣く泣く引っ越すはめになることもあるのです。

その点、中古住宅はそこに以前、人が暮らしていたのですから、大きな問題は起こりにくいことが予測できます。何か小さな問題があっても解消されているケースが多いでしょう。

一般にコンクリートは施工してから1年くらいしないと強度が安定しないといわれています。新築マンションの場合、購入時は問題なくても、1年後にどうなっているかわかりません。それに対して中古マンションは築後経過した年数が、その安全性をある程度証明してくれます。通路や外壁のひび割れや、つなぎ目の亀裂などがないか、安全確認もしやすいでしょう。

いくら耐震性が高く、見た目のいい設備がついていても、何年か後にトラブルが発生しないとも限りません。新築ならではのリスクがあることも忘れないようにしましょう。

中古物件購入にかかる仲介手数料と消費税

新築住宅を購入する場合は販売業者に申し込みますが、中古住宅の場合は、持ち主である個人から売買の仲介を依頼された不動産会社を通して購入します。
その場合、売買契約が成立したら仲介をした不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は、宅建業法で「物件価格の3%+6万円 (税抜)」が上限と決められており、3000万円の物件なら約104万円かかります。

なお、中古住宅の買い方の本では、消費税に関して「新築を購入する場合と違い、売り主は個人なので不要」と書いているものもありますが、正確に言うと、仲介手数料には消費税がかかります。

中古住宅のなかには、不動産会社が個人から買い入れて、再販売する物件(「売主物件」と呼ばれます)もあります。こうした売主物件を、所有者である不動産会社から直接購入した場合には仲介手数料は不要ですが、建物の売買については消費税がかかってきます。
新築住宅を購入する場合と同じように、3000万円の物件(土地2500万円、建物500万円)では、500万円×8%=40万円の消費税が必要になります(消費税率8%の場合)。

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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