ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

資産価値のある物件をどう見きわめればいいのか?

頭金なしで買うなら資産価値の目減りが少ない「中古住宅」が狙い目です!

牧野寿和牧野寿和

2016/05/24

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

一戸建ては土地価格に注目

前回の記事(「頭金なしで買うマンション、一戸建ては「資産価値」に注目して選びなさい」 http://sumai-u.com/?p=5019 )では、資産価値のある物件を購入すべきと申し上げましたが、具体的にどんな物件を購入したらいいのか、具体的に考えてみましょう。

まずは一戸建てについてです。一戸建てはマンションと違い、土地が資産として手元に残る点が大きなメリットです。当然、郊外よりも都心の一等地の物件のほうが資産価値は高くなります。

ですが、実際には、都心と郊外を比べるようなわかりやすいケースばかりではありません。たとえば、同じような郊外にある同程度の価格の物件でも、路線価をはじめ、 土地の地盤などによって資産価値に差が出てきます。こうしたことを知っておかないと、土地価格は変動しにくいとはいっても、大きな損をすることになりかねません。一戸建てを選ぶなら、土地価格に注目しましょう。

マンションは利便性と管理状態を見る

新築マンションのモデルルームを訪れると、多くの人が購入を急ぎたくなるようです。 たしかに広いリビングにお洒落なインテリアや機能的なキッチンは魅力です。しかし、見た目のよさとマンションの資産価値は、ほとんど関係がありません。

マンション選びで重要な要素のひとつは利便性です。交通の便(急行停車駅である、複数路線が利用できるなど)、駅に近い(徒歩圏)、周辺環境(買い物・学校・公共施設に近い)など、生活をする上で便利だと感じさせる物件のほうが資産価値は高くなります。

もうひとつの要素が管理状態です。中古マンションなら管理が見えるのでわかりやすいでしょう。定期的に大規模修繕工事がなされているか、駐輪場やポスト周辺が汚れたままになっていないかなど、自分の目で管理状態を判断することができます。

自分の好みやこだわりも大切ですが、どんな物件なら多くの人が住んでみたいと思うか、冷静に考えて判断することをおすすめします。

新築より中古が狙い目です!

頭金なしで狙い目となるのは、新築住宅より中古住宅です。それはなぜなのか、マンションを例にとって考えてみましょう。

2015年の一戸当たりの首都圏のマンションの平均物件価格と平均専有面積は、 新築が5183万円で61.9㎡、一方、中古が2910万円で61.93㎡です。つまり、中古は新築の約56%の資金で手に入ることになります。


しかも、新築住宅は購入した時点で大きく価値が下がります。新築マンションでも、物件価格の約2〜3割が購入した瞬間に下がってしまうものです。しかも、最近の物件は豪華な共有施設や最新設備がついていることもあり、それが物件価格に反映される傾向にあります。また職人不足による人件費上昇や輸入建築資材など建築費の高騰も、物件価格に跳ね返ってきます。

一方、中古マンションは新築と違い、基本的に市場の受給バランスによって価格が決まるので、極端に価値が下がる可能性は低いのです。
しかも、実際に売り出されている物件、居室を見て判断できます。さらに、修繕積立基金や管理準備金、管理組合設立基金といった物件価格以外にかかる 一時費用も売り主がすでに支払っているので不要です。
一戸建ての場合も、土地価格は下がりにくいので、広告費などが上乗せされている新築よりも、中古住宅のほうが価格は安定しています。

中古のほうが物件数は豊富にある

次に資産価値を大きく左右する利便性の面で、新築マンションと中古マンションを比べてみましょう。

駅近の好立地にはすでにマンションが建っており、都心部に新たな開発用地を求めることは容易ではありません。そのため、利便性の高いマンションは、やはり新築マンションより中古マンションのほうが豊富な物件のなかから選ぶことができます。

2015年の首都圏の販売戸数は、新築マンションが4万449戸で前年比9.9%減(不動産経済研究所調べ)なのに対し、中古マンションは17万7296戸で前年比10%増(東日本不動産流通機構調べ)と圧倒的に多いのです。それも、10年前くらいまでに大量に供給された優良な分譲マンションが豊富にあります。

一戸建てについても同様です。人気の住宅街になればなるほど、すでに家が密集しており、新築物件は希少です。中古物件のほうが探しやすいことはいうまでもありません。さらに新築より土地価格に近い費用で購入できるため、中古一戸建てのほうがお得です。

新築に強いこだわりがあるのであれば話は別ですが、ぜひ中古住宅にも注目してみましょう。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

ページのトップへ

ウチコミ!