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手頃に買えるマイホーム、「建売」の落とし穴

分譲住宅は最初から「70点」を目指してつくられている

岩崎未来岩崎未来

2016/02/11

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「30代の夫婦と子ども2人」を想定した平均的に好まれる住宅

注文住宅に比べれば、手頃な値段で手に入る分譲住宅。生活しやすい立地条件にあることが多く、間取りや広さもファミリー層に使い勝手のいい物件が多くあります。同時期に引っ越してくるお隣さんやご近所さんも多いため、お子さんのお友達ができたり、近所づきあいが楽しめたりするメリットもあります。そんな分譲住宅、いわゆる「建売」にデメリットあるのでしょうか?

そもそも分譲住宅は、基本的にすべての家庭に受け入れられる、「70点くらいの住宅」を目指してつくっています。もっとも多いのは、「30代の夫婦と子ども2人」が住むことを想定した、平均的に好まれる住宅です。

一見、「この広さとこの間取りで、この値段ならいいじゃん!」と感じるかもしれませんが、その家庭によって生活スタイルはバラバラ。「この部屋はいらなかった」「収納が少なすぎた」「お風呂が狭すぎた」など、住んでいるうちに「不便さ」が出てくることも多くあります。

本来マイホームを持つ目的は、家庭のライフスタイルに合った家と暮らしを手に入れるため。マイホームに無理やりライフスタイルを合わせることになるのは本末転倒ですし、とても窮屈でストレスになります。購入を考える前に、自身の家族構成や導線、ライフスタイルをもう一度よく見直し、どんな家がほしいのかを考えてみてください。

手掛けた職人の腕によって仕上がりに差が出る!?

分譲住宅は、同じようなデザインとクオリティの物件がズラリと並んでいることが多いですね。その物件の方角や広さ、備わっているオプションなどによって、値段が少しずつ変わってきます。

ただ、すべての物件を同じ職人が建てているわけではなく、さまざまな職人が一気に請け負って進めるため、実はそのクオリティや仕上がりにはバラつきがあることも。素人目にはわからなくても、プロが見ると「ここの仕上がりが全然違う」なんてこともあるようです。

建売の場合、その家をつくった職人がどんな人で、どのくらいの腕を持っている人なのかがわからないという不安が残ります。

建築工程を確認できない

前述のとおり、どこのどんな職人が建てた家なのかわかならいことがほとんど。それに加え、完成してからの販売となるため、建築途中の工程を見ることができません。どこにどんな材料を使っているのか、どんな方法でつくっているのか、その目で見て確認することはできないわけです。

もちろん、メーカーの担当者に聞けば答えてくれるはずですし、パンフレットなどにも記されているはずですが、それが本当なのかどうかは不確かなまま住むことになります。

安い=手抜き・欠陥工事につながる?

売値が安いということは、それだけ職人に渡る手間賃も少ないということです。さらに、短い期間でたくさんの物件を完成させるため、通常の建築よりも工期が短くなっています。

安い報酬に短い期間……。これによって起こり得る最悪なケースとして考えられるのは、手抜き工事や欠陥住宅です。責任とプライドをもって取り組んでいる職人であればそんなことはないはずですが、どんな職人がその家を建てたのかはわからないため、「絶対にない」とは言えません。

ご近所づきあいが不安要素になることも

お隣さんとの距離が近く、同じ時期に引っ越してくるご近所さんが多い建売住宅。その分、お友達ができたり、困ったときに助け合ったりできるメリットもありますが、逆の場合も考えられます。ちょっと面倒なお隣さん、性格的に苦手なご近所さんだった場合、近所づきあいがストレスになりますし、場合によってはトラブルに発展しかねません。住んだ後のデメリットも視野にいれておくことは、とても大切です。

価格や仕様がはっきりと明示されていてわかりやすく、割安かつ手間をかけずマイホームが手に入る「分譲住宅」。そのメリットはたくさんありますが、やはりデメリットもしっかり視野に入れてから考えたいところ。一度購入したら、そう簡単には手放せません。家を持つ目的や自身のライフスタイルをもう一度見直し、悔いの残らないマイホームを手に入れたいですね!

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この記事を書いた人

住宅ライター

「1級建築技能士」という国家資格を保有する昔気質の職人を夫に持つ「大工の嫁」。群馬県在住で鹿児島県出身。 都内の大学卒業後、出版社や編集プロダクションに勤務し、さまざまな実用書・書籍を手がけた後に独立。間取り図や住宅情報誌などを見るのは趣味のひとつで。都内在住中、10年で6回の引越しを経験。その後、結婚し、第一子出産後、夫の故郷である群馬県に移住。 第二子妊娠中の今、毎夜夫の仕事話を聞きながら、マイホームへの夢を募らせている。

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