建売住宅の「安全性」は、この4つのポイントで確認できる
2016/07/18

★ポイント1★ 「確認申請書」をチェック
建売住宅は価格も手頃で住宅ローンも組みやすいというメリットがあります。一戸建てを手に入れたいと考える人にとっては強い味方になってくれます。一般のサラリーマンなどで、注文建築はコスト的にむずかしいという人にとっては、建売住宅の購入を検討してみるのは良い選択肢といえるでしょう。
しかし、その一方できになるのが安全性です。建売住宅は、手抜き工事が多いイメージもあるかと思います。建物が完成してしまった後からでは、外から見ても手抜き工事が行なわれているのかどうか、プロでも見抜くことはむずかしいことです。そこで、ここでは建売住宅の安全性をどうやってチェックすべきかをお話しします。
住宅を建てる場合、設計図面を添付した「建築確認申請書」を特定行政庁または民間検査機関に提出しなければなりません。設計が合法であるかどうか確認を受けるためです。そこで合法だという確認が取れた後に許可が出て、建築に移るという流れになります。
また、確認申請書を提出して許可を受けると、許可が出たことを示す「建築確認通知書(検査済証)」が発行されます。
ですから、建売住宅の購入を検討する場合には、売り主に確認申請書・検査済証のふたつの書類を必ず見せてもらいましょう。もしこれらの書類を見せてくれない場合は、そのような売り主から住宅を購入することは避けたほうがよいといえます。
★ポイント2★ 図面はこの3つを確認する
住宅を建てるにはさまざまな設計図が必要です。たとえば、地盤調査図、建物配置図、平面図、立面図、矩計(かなばかり)図、展開図、軸組図、仕様図など多種多様な設計図が存在します。
しかし、これらの図面をすべてチェックするのは、一般の人にはむずかしいことです。そこで、建物配置図、平面図、立面図の3つをチェックしておきましょう。
この3つの図面であれば、売り主が説明用に用意しているのが一般的と思われます。もちろん、さらに多くの設計図がそろっていればいいのですが、最低この3つの図面はチェックしたいところです。
まず、建物配置図は、敷地の寸法や建物の場所が明記されている図面です。
次に、平面図はその名の通り、平面的に間取りが書かれている図面で、建物配置図のなかに挿入されている場合もあります。
最後の立面図は東西南北の4方向から建物の外観を見た図で、平面図と合わせて建物の概要を知ることができます。
この3つの図面と確認申請書に添付されている図面が一致するかをチェックすると、申請通りに工事が行なわれているかどうかを確認することができます。工事中に設計ミスが発見されたといったことがない限り、工事は当初の申請通りに行なわれているはずです。もし、故意に実際の工事内容とは違う確認申請をしているとすれば、それは違法行為に当たります。
では、違法建築はなぜ問題なのでしょうか。そのいちばんの理由は安全性に問題があることです。住んでみて問題がなかったとしても、いざ売却するときなど、必ず問題になってしまいます。
確認申請書の通りに建築されているかどうか、申請書を見ながら現地をチェックしてみましょう。建物の内部はもちろん、外回りも確認して、立面図通りの建物になっているかのチェックも忘れずに行なってください。
★ポイント3★ 基礎は床下収納庫から確認する
間取りや外観は設計図と実際の建物を照らし合わせることができますが、外から見ただけでは確認できないのが基礎の部分です。しかし、基礎は手抜きや雑な工事が行なわれやすい場所でもあります。
基礎の部分は、鉄筋組み、コンクリートの注入、攪拌(かくはん)などさまざまな工事が行なわれているのですが、どこかで不備や手抜きがあったとしても、最終的にモルタルで基礎を隠してしまうので、外から欠陥を発見することは不可能です。
基礎には大きく分けて、「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類があり、一般的にはベタ基礎のほうが強度に優れています。しかし、いい加減な業者のベタ基礎であれば、良心的な業者の布基礎のほうが強いこともあり、単純にベタ基礎だからといって安心はできません。
基礎を調べるには、床下を見るしかありません。基礎の室内側にはモルタルを塗らないので、床下収納庫からチェックできるのです。
基礎部分にコンクリートを注入するときに気泡が混ざってしまうと強度が落ちるのですが、これはコンクリートの攪拌(かくはん)に問題がある証拠です。またセメントペーストが流れ落ち、ジャンカと呼ばれる砂利・砂が見えている場合も、基礎の強度が十分ではないと考えられます。
★ポイント4★ 床下にゴミがある物件は避けるべき
また、床下部分にゴミが散乱している場合は、その物件は購入しないほうがいいでしょう。目に触れる可能性のある場所の掃除ができていないということは、その裏側ではどんな工事が行なわれているのか不安になってしまいます。
建物が完成した後で見えない部分まですべてチェックすることは不可能ですが、ここでご紹介したポイントだけでもしっかり見ておくことで、最低限の安全性チェックを行なっておきましょう。
この記事を書いた人
株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント
宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。