モデルハウスを見れば施工会社の家づくりの考え方がわかる
菅 正秀
2016/03/24
モデルハウスとオープンハウスは何が違う?
モデルハウスのほかに、オープンハウスという言葉を聞いたことがあるのではないんでしょうか? ここではまず、モデルハウスとオープンハウスの違いを説明しておきましょう。
モデルハウスには2種類あります。ひとつめは、総販売戸数が多い分譲地などでは1区画だけ先行して見学用の建物をつくることがあるのですが、これをモデルハウスと呼んでいます。もうひとつは、常設の住宅展示場(複数の不動産会社が参画しているものも多い)にあるものです。
一方、オープンハウスは中古住宅の売却において、実際に住んでいる様子を見られたり、空室の場合は内部見学ができたりするものです。建売住宅の購入を検討する際にチェックするのはモデルハウスのほうです。
パンフレットの図面・写真との違いはあるか
モデルハウスを訪問する際は、メジャー・カメラ・メモ帳を持参し記録をしましょう。また、販売用パンフレットをもらえるので、そのパンフレットと実際のモデルハウスとを比較し、掲載内容と実際の建物がどれくらい一致しているかを確認しましょう。
たとえば、パンフレット上では「洋室8畳」と書かれていても実際のモデルハウスではそれくらいの広さを感じられないことがあります。また、カーポートが2台分確保されているような図面でも、実際は1.5台分のスペースしかなかったということもあります。このようなパンフレットを製作している業者は信用してはいけません。
標準仕様とオプションを明確に
モデルハウスは、お客さんへのアピールのためのものですから、グレードの高い設備でつくられています。システムキッチンや風呂場などの水回りはもちろん、外壁・内装なども、実際に販売する物件よりもグレードが高いものになっていることが多いので、どれが標準仕様でどれがオプションなのかを確認しておきましょう。
建物については、どのような素材・設備が使われているかをまとめた「仕様書」が必ず用意されています。この仕様書を見せない業者も要注意です。もし構造見学会という工事中の見学会があれば、参加しておくことをおすすめします。完成してからはわからない内部構造をしっかりつくっているかを確認できる、貴重な機会になります。
また、モデルハウス訪問時には周辺環境もしっかり見ておきましょう。生活の利便性は、実際に住み始めてから生活に大きく影響してきますので、周辺環境も考慮して選択することが重要です。
予約をせずに物件を訪問する場合
モデルハウスの見学は予約も可能ですが、突然訪問することにも意味があります。
予約を入れている場合は、担当者が準備をして、できる限りいい印象を与えられるような環境にしてから見学者を受け入れています。ですから、予約をせずに訪問すれば、より実際に住む場合に近い基本性能を知ることができます。もう少し具体的に説明しましょう。
たとえば、換気をしていない場合はどのようになるのか、シックハウス症候群の原因になりそうな化学物質の匂いはしないかどうか、冷暖房をいれていないときはどのような状況なのかなど、住み心地のチェックができるというわけです。
ちなみに、訪問者に買う意思があってもなくても、モデルハウスの担当者の対応に大きな差はありません。ですから、すぐに買うつもりがなくても遠慮する必要はありません。モデルハウスを訪問することで、いろいろと勉強になることはあるはずです。
ただし、ほかの物件に連れていかれそうになったときは要注意です。百戦錬磨の営業マンのトークですっかり買う気にされてしまっては、正常な判断もできなくなってしまいます。
この記事を書いた人
株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント
宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。