建売住宅を買うなら大手の施工業者を選ぶべき?
菅 正秀
2016/03/24
経営の安定感が最重要のデベロッパー
大手デベロッパーが手掛ける建売住宅の多くは、郊外エリアで広い敷地を持つニュータウンと呼ばれる大規模開発です。ニュータウンはなんといっても整備された新たな街並み・環境が魅力ですが、長い年月をかけて住宅・商業施設・公園などを整備していくので、安定した経営が求められます。
このような観点から、株価が低迷しているデベロッパーは避けたほうが無難です。開発の途中に、会社の倒産やプロジェクトの中止という事態になってしまうと大変です。最新の経営状況は、決算資料や「会社四季報」などでチェックできます。
また、倒産が近いデベロッパーがやりかねないのが、相場より明らかに安い価格設定。これには会社の「とにかく売り切る」という思惑が見え隠れしています。同様に、簡単に値引き交渉に応じる場合も注意が必要です。これらは大手デベロッパーに限ったことではなく、建設会社全般にいえることです。
大手ハウスメーカーは安心なのか
それでは大手ハウスメーカーはどうでしょうか? ハウスメーカーは注文建築も手掛けますが、建売住宅も多く手掛けており、特に中規模開発に取り組んでいる会社が多いです。わかりやすいのは「○○ハウス」「○○ホーム」という名称の会社で、資本力・技術力を含めた総合力の信頼感が高く、一戸建て販売の専門家であることからローンや税金対策などにも長けています。なかには、買い替えシステムが整備されている会社もあり、引っ越しや建て替え時にもスムーズに対応してもらえます。
しかし、規格・製法が完成していても、最終的に施工するのは下請け業者であることが多く、家の仕上がりにばらつきが出てきてしまいます。やはり仕上がりは美しくしてもらいたいもの、施工業者や施工体制がしっかりしているかはチェックしておきましょう。
また、販売・施工などの各工程の担当者が違うので、誰が責任者なのかを確認しておくと、後々のトラブルの回避につながります。
大手だとトラブルは少ない?
確かに、大手デベロッパーや大手ハウスメーカーであればトラブルの確率は少ないようです。プレハブ建築協会という大手住宅業者が加入している協会がとったアンケートによると、買い主のほとんどが満足と答えています。経済産業省が毎年行なっている同様のアンケートでも近い結果が出ていることから、顧客満足度は高いといえるでしょう。
このように高い確率で満足できるのが大手の手がける建売住宅ですが、トラブルが発生する確率がまったくないわけではありません。
そのようにならないためには、信頼できる担当者を見つけることが最大のポイントです。買い主のために動いてくれる担当者であれば、もしトラブルが発生したとしても一生懸命解決に向けて一緒に動いてくれるはずです。
その会社の商品のメリット・デメリットをきちんと説明できるのはもちろん、買い主の状況を見ながらローンや税金の相談に乗ってくれるような担当者を見つけて、新しい生活への一歩を踏み出しましょう。
この記事を書いた人
株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント
宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。