住宅を買うときの失敗しない『予算』の決め方は?(1)
大橋高志
2016/01/31
予算がすべてのカギを握っている
いまも昔も変わらぬ『夢のマイホーム』。こんな家に住みたい、あの街に住みたい、庭がほしいなど、夢はどんどん広がります。半面、一生に何度もない大きな買物だけに失敗は避けたいものです。それだけに住む場所や、最寄り駅からの距離、建物の大きさ、工法や耐震性など、いろいろ考えなければいけないことが多くて迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
ですが、その希望を叶えられるか否かも『予算』がカギを握っています。ご夫婦で、ご家族でさんざん話し合って夢を膨らませても予算の壁に阻まれてしまっては、ふりだしに戻ってきてしまいます。ここでは主に住宅ローンを利用することを前提に、『無理のない予算』のご案内してまいります。
自己資金はいくら用意すればよいのか
資金計画といってもむずかしくありません。簡単に表すと以下のようになります。
(a)自己資金 + (b)住宅ローン借入額 = A総予算
(c)物件価格 + (d)購入諸経費 = A総予算
まず、aの自己資金ですが、預貯金のなかから住宅購入時に使ってしまってもよいと思える金額のことです。このお金は(d)の購入諸経費や、(c)の物件価格の一部(頭金)として使うお金です。引越し代や新たに購入する予定の家具や家電購入の費用は別にみておく必要があります。
よく『頭金(自己資金)はどのくらい出せばいいのですか?』と聞かれます。賛否はあると思いますが私は多ければ多いに越したことはないと思っています。細かい話はライフプランやファイナンスの分野の話になってしまいますので、別の機会にお話しするとして、ここでは「住宅ローンを借入れる条件」のお話をします。
理想は諸費用分(物件価格の3~7パーセント)以外に物件価格の20パーセントの自己資金が用意できること。このくらい自己資金があると勤務先や勤続年数に多少難があっても、たいていの金融機関の最優遇金利で借り入れができる可能性があります。
物件の価格によっては、かなり多くの資金となりますが、返済中の負担や完済までの年数を考えると理想ではあります。
諸費用分くらいの資金は用意してから
20パーセントの自己資金が用意できない人でも、諸費用分くらいの資金は用意してから家さがしを始めるのがいいでしょう。そういうのも、いざ気に入った物件が見つかっても、諸費用分の自己資金がないと、住宅ローンでつまづいてしまうケースがあるからです。
たとえば、3000万円の物件に3200万円のお金を貸すというのは、貸す側の金融機関からすると、貸し出した途端に債務超過に陥るわけですから、その取り扱いは慎重になります。
「諸経費分のローンは取扱いなし」といった金融機関が多く、諸経費ローンの取り扱いのある金融機関が限られているのが現状です。
仮にあなたが、「諸経費分の資金もなく、家賃が高くて貯金をするには何年もかかりそう」というなら、諸経費ローンを利用するのもよいでしょう。
ただし、資産がゼロであれば負債もゼロが前提です。オートローンやショッピングのリボ払いなどの負債がある場合、資金はゼロではなくマイナスです。貯金はできなくても負債はなくしてから家さがしをはじめましょう。
この記事を書いた人
住まいコンサルタント
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランニング技能士、木造ハウジングコーディネーター。 1970年生まれ。大手不動産建設会社を経て、首都圏の不動産販売・分譲会社へ転身。15年超のキャリアで約500件の引渡し実績を持つ。新築分譲の他にも中古住宅の再生販売、仲介業務など取引事例は多種多様。 不動産取引はもちろん、建築・土木・住宅ローン・保険・不動産税制などに明るい。 現在は第一線を退き、業界経験を活かした「完全な消費者目線」の住まいのアドバイザーとして活躍中。