いざというときのための保険と防犯対策
菅 正秀
2016/01/30
家に関する保険にはどのようなものがあるのか
まず加入しておきたいのが「火災保険」です。近隣の火事が燃え移ってしまう「もらい火」による損害は、火元の住人に補償を請求することができないので自らの備えが必要です。
火災保険は、一般的に鉄筋コンクリート造や耐火被覆した鉄骨造の保険料が安くなりますが、木造建築でも省令準耐火構造と呼ばれる防火性のあるつくりであれば保険料が下がります。
多くの火災保険では落雷・風災などの損害補償もついていますが、さらに物体の落下・衝突や盗難などで生じた損害も補償する「住宅総合保険」もあります。
ちなみに、火災保険は建物の損害は補償していますが、家具や現金は補償対象外となっています。そこで、家具や現金の補償もつけたい場合は「家財保険」に加入することになります。
地震大国・日本では入っておきたい「地震保険」
上で紹介した保険のほかに入っておきたいのが「地震保険」です。これは、地震や火山の噴火やそれに伴う津波などによる損害を補償するものですが、火災保険とのセットでの加入となります。保険金額も火災保険の金額に連動し、建物では5000万円、家財では1000万円が上限となっています。
地震保険料の多くは、建物の構造別に都道府県ごとに決められた料率に保険金額をかけて算出されます。
犯罪から家を守る防犯対策
そして、自然災害だけではなく人災からも家を守らなければなりません。
そのためには防犯対策が必要になるわけですが、どのレベルまで必要かは悩ましいところです。一般的に、人の気配が少なく、周囲から注意が向きにくい家は空き巣被害に遭いやすいといわれています。とはいえ、家のなかを完全に見えなくするようにしてしまうと、逆に泥棒が入りやすい空間を提供することにもなりかねません。
プライバシーを守りながらも外部から目が届くような構造であれば、泥棒も侵入しづらくなります。死角になってしまう部分には外灯などの照明や警報器を設置し、敷地への侵入を防ぐようにしましょう。
鍵・シャッターに工夫を加える
空き巣の手口で多いのは、窓ガラスの破壊と鍵開け・鍵破りです。この手口から家を守るためには、鍵の防犯対策に一工夫加えることです。鍵を二重にすることで、鍵開けの手間が倍になりますので、複数の鍵がある家への侵入はあきらめる可能性が高いようです。
また、指紋認証やカードなどの電子錠や、不正開錠された場合にロックがかかる多機能錠なども防犯対策としては効果的です。
プラスして、侵入経路を少なくする工夫も必要です。水回りにある小さな窓は施錠忘れが多いので格子を設置し、浴室にも鎧戸をつけるとのぞき防止にも効果を発揮します。シャッターは、防犯だけではなく暴風雨など悪天候時にも役立ちます。
そして、録画機能つきインターホンは安全性を高めてくれる機器です。見慣れない人の訪問も一目でわかりますし、外で不審な音がした時に家の中から玄関口を確認することもできます。
インターホンに防犯灯を組み合わせると、さらに効果的です。人が近づくと点灯する「人感センサーづき照明」や不正な開錠時に音が鳴る「ドアアラーム」などがあると、侵入者も近づけなくなります。道から玄関までを砂利にし、歩くと音が出る仕組みにしておくのもひとつの方法です。
このように、保険と防犯対策を組み合わせて、自然災害・人的被害から新しい家を守りましょう。
この記事を書いた人
株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント
宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。