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中古マンションの賢いチェック方法(4)

中古マンションを買ってリフォームするなら知っておきたい大切なこと

菅 正秀菅 正秀

2016/01/04

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中古マンションは管理力をチェックしよう

中古マンションに限らず、どんな建物でも、年数が経てば、外壁にひび割れが生じたり、水漏れが起こったりといった劣化現象が生じてしまいます。

 

そこで問われるのが、「管理力」です。こうした劣化現象を放っておくと建物の構造に悪影響を及ぼしかねず、居住者の生活に支障を及ぼす事態を招きかねません。

しかし、日頃の管理・保守点検がきちんとしていれば、ほとんどの場合は普段の小口修繕の範囲で対処できましす、来るべき大規模修繕まで建物を維持できるのです

 

清掃も重要です。共用廊下やエントランス、ホール、階段などを日ごろからきれいにしておくことは、建物や設備のさびや腐食の進行を防ぎ、建物を良好な状態に保つことにつながります。物件見学時には清掃状態も、必ずチェックしておきましょう。

 

大きな問題になるリスクがあるのは、十数年の単位でやってくる大規模修繕です。

マンションの管理組合は、必ず大規模修繕計画を立てています。この計画書を見れば、竣工から現在までの建物の状態がよくわかります。購入を決める前に、大規模修繕計画書を確認しておきましょう。

計画の内容について、その妥当性をチェックするのはなかなかむずかしいと思いますが、計画が立てられた当初のままになっておらず、途中で見直しをされているようであれば、管理組合がきちんと計画をチェックしていると考えてもいいでしょう。

 

こまめに修繕が行なわれているか?

管理組合が保存している「修繕履歴表」も忘れずに確認しましょう。

 

ポイントは、修繕回数ではなく適正な時期に的確な補修を行なっているかという点です。修繕回数が多くても心配はありません。小さな傷みでも頻繁に補修しているほうが長持ちします

これも、1回1回の修繕内容が妥当かどうかを見きわめることはできませんが、管理組合がどれだかメンテナンスにしっかり取り組んでいるか、その姿勢を知ることができます

 

なお、今後の修繕予定も確認しておきましょう。外壁のひびなど気になるところがあっても、補修の予定があるならば安心できます。

 

ちなみに、不動産仲介会社が作成する重要事項説明書に添付された「重要事項調査報告書」を見ると大規模修繕工事の予定などが書かれていますので、必ず内容を確認することをおすすめします。

 

間取りの変更は、一戸建てよりも自由度が高い

マンションは増築ができないため、リフォームできるのは専有空間のみです。その意味では、マンションのリフォームには限界があります。

 

しかし、間取り変更については、一戸建て以上の自由度があるとも言えるでしょう。

多くの一戸建ては柱・梁・筋かいなどで構成される伝統的な「軸組工法」か、「2×4(ツーバイフォー)」に代表される壁自体で建物を支える「壁式工法」です。増築ができるぶん、間取りなど建物の構造を支える根本部分はなかなか変更できません。

 

その点、コンクリートの箱で囲まれた空間構造のマンション(耐力壁のある壁式工法を除く)の場合、間仕切り壁は基本的にすべて取り除いても構造的に問題がありません。そのため、部屋全体を大きなワンルームにするなど、間取り変更の自由度は一戸建てよりもかなり高いと言えます。

 

水回りのリフォームに注意

マンションのリフォームで注意したいのは、給排水やガスといった設備に関連する部分です。給排水やガスの配管は、専有空間では床や天井裏を通り、最終的に共有の竪管(たてかん)につながります。そのため、配管を大きく変えるようなリフォームはむずかしいと言えます。

 

たとえば、水回りのリフォームには一定の制限があります。もちろん、キッチンをお気に入りのシステムキッチンに変えることはできますが、キッチンやバスルームなど水回りの位置を大幅に移動するといったリフォームはむずかしいものです。

 

パイプ関連のリフォームはマンション全体の修繕計画に含まれると考えましょう。「配管は共有設備」であることを念頭においてリフォームを考える必要があります。

 

管理規約で制限がある場合も

マンションリフォームをする前に、特に注意を払わなければならないのが、各マンションが定める管理規約です。

管理規約は、リフォームに際しての共有空間・専有空間の取り決めや考え方から、建物全体の約束ごとなど、マンション全体の生活を快適に維持するために必要な事柄が定められ、すべての住民がこれに従わねばなりません。

 

マンションリフォームに関する規約でもっとも多いのが遮音に関する部分です。

たとえば畳敷きからフローリングにする場合、床にスプーンなどを落としたときの音(軽量床衝撃音)と、人が飛び跳ねたりしたときの音(重量床衝撃音)の数値基準を定め、それをクリアする性能を床にもたせることが求められます

 

その他、規制の厳しいマンションによっては仕上げ材が規定されることもあります。また、細かいことですが日曜・祝日には工事を行なわないことは常識です。

 

自分で納得しがたい規約のあるマンションに住むのは後悔のもとになりますから、必ず管理規約を確認しましょう。

 

マンションは一戸建てと違い、隣の世帯と壁一枚でつながっていて物理的な距離が近く、また、廊下やベランダ、駐車場などの共有部分があって初めて成り立ちます。規約を守り、一戸建て以上にほかの居住者と良好な関係を保つことが必須です。

 

ここでご説明したような注意点を念頭に置いて、中古マンション+リフォームで、快適な住まいを手に入れていただければと思います。

 

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この記事を書いた人

株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント

宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。

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