中古一戸建ての住み心地はここをチェックする
大橋高志
2016/01/04
間取りのチェックポイント
同じ部屋数でも、戸建てはマンションに比べて間取りが多彩です。リビングひとつとってみても、1階にあるタイプと2階にあるタイプでは、暮らし方が大きく違ってきます。間取りをチェックするにあたっては、以下の点に注意しましょう。
(1)畳のサイズの確認
畳のサイズには、いくつかの種類があります。たとめば、江戸間の7畳は京間の6畳ほどの広さしかありません。間取り図によっては、リビングも畳数表示されていることもあるので注意が必要です。リフォームなどを行なっている場合、部屋によって畳のサイズが異なっていることもあります。必ず見学の際に寸法を測って確認するようにしましょう。
(2)収納の容積と使い勝手の確認
収納スペースは〝広ければいい〟〝数があればいい〟というものではありません。適度な広さや場所に配置されてないと、結局は使い勝手が悪く、ただのデッドスペースとなってしまいます。
逆に部屋の広さに惹かれて決めたところ、住み始めてみたら収納スペースがあまりに少なく、整理がつかないというケースもあります。見学の際に寸法を間取り図などに落とし込んで、今の住まいと比較してみるといいでしょう。
(3)部屋の位置関係や動線の確認
キッチンなどの基本的な動線のチェックはもちろんのことですが、たとえば夫が深夜に帰宅することが多く、ひとりで食事をすますことが多いならば、家族の睡眠を妨げないように、寝室とリビングは別の階に配置されていたほうがいいかもしれません。
また、小さな子どもがいるのであれば、夜中に起きても1階のトイレに行きやすいように、同じ2階でも階段近くに子ども部屋がとれる間取りを。逆に中高生の子どもがいて、ある程度、親の監視下に置きたいならば、子ども部屋に行くには必ずリビングを通らなければならないような間取りを選択するなど、ライフスタイルを考えながらチェックしましょう。
日当たり・断熱性のチェックポイント
日当たりは、間取り図だけで判断できません。周囲の建物などに大きく左右されるからです。
一般には北側が道路に面していると、必然、玄関や駐車場が北側に配置されることになるため、日当たりの良い南側が居室スペースになっていることが多くなります。とはいえ、南側に大きな建物や崖があれば、日当たりは悪くなりますので、いずれにしても現地でのチェックが大切です。
また、当然のことながら、日当たりは時間帯によって変化します。朝、太陽の陽射しで目覚めたいならば、寝室は東向きがいいでしょうし、反対に遅寝をしたいならば、東向きは避けたほうがいいかもしれません。南向きの仕事部屋は、冬は日中暖かくていいかもしれませんが、夏は冷房のために電気代がかさむかしれません。正解はありませんので、優先事項を確認しながら判断しましょう。
電気・ガス・水道のチェックポイント
電気については、最低でも40アンペアは必要です。分電盤で確認できます。容量の変更は無料ですが、電柱から屋内への引き込み線の容量が少ない場合は工事費が10万円前後かかってきます。
また、各部屋のコンセントの数を確認しましょう。6~8畳なら最低4つ、8~10畳なら5つはほしいところです。このほか、光ファイバーの設置状況やテレビの電波障害、エアコン等が設置されている場合は物件についてくるのか、また故障してないかもチェックします。
ガス・水道については、給湯器の性能や作動状況を確認します。ガス式なら最低24号、電気貯湯式なら300Lは必要です。これ以下の場合、キッチンとバスルームで同時にお湯を使うと水量が弱まるなどの現象が起こりやすくなります。
住み心地を考えると、さまざまなチェックポイントがありますが、細かなところまで求め始めるとキリがありません。100点の物件など存在しないということを頭に置いて、限られた物件のなかからベストな選択をするという意識をもっていてください。
この記事を書いた人
住まいコンサルタント
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランニング技能士、木造ハウジングコーディネーター。 1970年生まれ。大手不動産建設会社を経て、首都圏の不動産販売・分譲会社へ転身。15年超のキャリアで約500件の引渡し実績を持つ。新築分譲の他にも中古住宅の再生販売、仲介業務など取引事例は多種多様。 不動産取引はもちろん、建築・土木・住宅ローン・保険・不動産税制などに明るい。 現在は第一線を退き、業界経験を活かした「完全な消費者目線」の住まいのアドバイザーとして活躍中。