先々のライフプランを考えて中古住宅を選ぶ
大橋高志
2016/01/04
将来設計によって狙い目は異なる
希望条件の絞り込みにおいては、現状の「ライフスタイル」が最も重視されることはもちろんですが、先々の「ライフプラン」を見通すことも大切です。
たとえば、購入した中古物件に〝終の棲家〟として住み続けたいのか、それとも子どもが巣立ったら、少し手狭でももっと利便性のいい場所に住み替えたいのか、などによって、物件に求められる条件も違ってきます。
中古一戸建てとライフプラン
中古一戸建てについては、次の4つの将来設計を念頭に、物件選びを進めるといいでしょう。
(1)「現状を維持し、終の棲家としたい」
一般に一戸建て住宅が安心して住めるのは30年前後といわれています。もちろん、修繕していくことで寿命は40年、50年と延びていきますが、終の棲家とすることを前提とするならば、できるだけ状態のよい築後15年以内の物件を選ぶのがベストです。
(2)「リフォームを積極的に行ない、永く住みやすい家にしたい」
外壁やクロスの張り替えなどのリフォームについては、どんな物件を選んでも大差ありません。けれども、子どもが大きくなったら間取りを変更したいとか、「間取りの自由度」については、どんな工法で建てられたかによって変わってきます。
工法についての説明はここでは省きますが、将来、大きく間取りを変更するようなリフォームを行ないたいのであれば、「木造在来工法」という工法で建てられた物件を選ぶのが無難です。
(3)「数年住んだら、建て替えたい」
近い将来の建て替えを検討しているなら、あえて築年数の古い物件に着目するのも手です。築年数が20~25年以上の物件は、基本的に建物の価値はゼロとしてカウントされているため、ほぼ土地価格で購入することができます。
気をつけたいのは古い物件には、建築基準法の改正などにより、建て替えが禁止されていたり、建て替える場合は一部屋少なくしなければならないなどの制約があったりすることです。注意してください。
(4)「やがては売却して、住み替えたい」
売却を前提としている場合、何より、現在の建築基準法に適合している物件かどうか確認しましょう。適合していないと、売却時の価格は下がります。
できれば、2002年より中古一戸建てにも導入された「住宅性能表示制度」で評価を受けた物件を選ぶと、第三者機関のお墨付きが与えられていることになるため、安心して購入できます。
このほか地価の値上がりが期待できる場所であれば、購入時よりも高い価格で売却が可能になるケースも出てきます。
中古マンションとライフプラン
次に中古マンションについてです。
(1)「現状を維持し、終の棲家としたい」
(2)「リフォームを積極的に行い、永く住みやすい家にしたい」
このふたつについては、基本的には、中古一戸建ての考え方と同じです。永く住みたいのであれば「築浅で状態のいい物件」を、リフォームを積極的に行なっていきたいのであれば「リフォームしやすい物件」が狙い目となります。
ただし、あまりリフォームのしやすさにこだわってしまうと、条件を満たす物件がなかなか見つからないということになってしまいますので、物件の制約がなかでどうリフォームしていくかという考え方を持つことをおすすめします。
(3)「いつか住み替えたい」
中古マンションの場合、将来的なプランとして「売却」の選択肢は頭から外しておきましょう。マンションは一戸建てに比べて供給数が多いですし、土地の所有権も大きくありません。古い物件が買い手を見つけるのはむずかしいと考えておくべきです。
ですから、住み替えを前提とする場合、「賃貸に出す」のが現実的です。大切なのは、現在人気があるかどうかではなく、貸し出す時に借り手が付きやすいかどうかです。
年数とともに、プランが古めかしくなったり、設備が旧式のものになったりするのは致し方ないところです。ですから、たとえば「駅近である」とか、「修繕計画がきちんとしていて、建物の劣化が少なそう」とか、立地条件や管理体制のチェックが重要になります。
この記事を書いた人
住まいコンサルタント
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランニング技能士、木造ハウジングコーディネーター。 1970年生まれ。大手不動産建設会社を経て、首都圏の不動産販売・分譲会社へ転身。15年超のキャリアで約500件の引渡し実績を持つ。新築分譲の他にも中古住宅の再生販売、仲介業務など取引事例は多種多様。 不動産取引はもちろん、建築・土木・住宅ローン・保険・不動産税制などに明るい。 現在は第一線を退き、業界経験を活かした「完全な消費者目線」の住まいのアドバイザーとして活躍中。