中古住宅を衝動買いしないための希望条件を絞り込み方
大橋高志
2016/01/04
〝衝動買い〟に注意
中古物件は新築物件に比べて割安とはいえ、ほとんどの人にとって、生涯で一番高価な買い物です。にもかかわらず、意外に衝動買いで購入してしまう人が少なくありません。
買ってから過ちに気づいても後の祭り。文字通り、一生後悔することになります。そもそも見学などを考え始めた時点で、買いたい気持ちに傾いていますから、自制心を持って臨まないと、判断を誤ることになります。
特に多いのは、今の自分の住まいにない設備につられてしまうケース。浴室乾燥機やシステムキッチン、床暖房などに目を奪われ、素敵な毎日が待っているような錯覚に陥りがちです。
また、人気物件には、1日に何組もの見学者が訪れることも珍しくありません。その際、別の見学者の姿を目にしたり、「今日は○組の見学が入っている」などと耳にしたりすると、先に購入されてしまいそうで、つい焦ってしまうのです。
さらにいうと、中古物件は空き物件ばかりとは限りません。売り主がまだ住んでいる状態のところを見学させてもらうケースも多くあります。そのため、たとえば売り主のインテリアのセンスのよさを、物件そのもののよさと勘違いしてしまうようなことも起きてくるのです。
希望の条件をリストアップする
衝動買いを避けるには、事前に自分が希望する住まいの条件を明確にしておくことです。中古物件は新築物件と違って、確実に現物を見て確認できるのですから、後悔のない決断をしたいものです。
具体的には、まず初めに、現状の暮らしのなかで家族全員がそれぞれ重視する条件をリストアップしてみましょう。たとえば、夫であれば「飲みに行く機会が多いので電車が遅くまで走っている」「自分だけの書斎が持てる」とか、妻であれば「システムキッチンになっている」「送り迎えが大変なので保育園が近くにある」とか、子どもであれば「近くに強いサッカーチームがある」「部活の朝練が早いので駅近くがいい」といったようにいろいろ出てくるはずです。
リストアップを終えたら、家族で話し合いながら、希望の条件に優先順位をつけていきます。その際に「どこまでは絶対に譲れないか」を確認しておきましょう。また、あわせて予算の下限と上限についても決めておくようにします。
見学時にはこれらをチェック表として持参し、希望の条件を満たしているかどうかを確かめましょう。このように物件を選ぶ際の原理原則を決めておくと、見学時に持った一部の印象に引きずられることなく、正しい判断を下すことができます。
「100点満点の物件はない」ということも忘れずに
ただし、中古物件は注文住宅と違って、「もうすでにあるもの」のなかから物件を選ぶことになります。ですから、あまり細かいところまで求めてしまうと買える物件がなくなってしまうということにもなりかねません。これは新築物件でも同じことですが、100点満点の物件はありません。そのことを念頭において物件探しを進めてください。
この記事を書いた人
住まいコンサルタント
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランニング技能士、木造ハウジングコーディネーター。 1970年生まれ。大手不動産建設会社を経て、首都圏の不動産販売・分譲会社へ転身。15年超のキャリアで約500件の引渡し実績を持つ。新築分譲の他にも中古住宅の再生販売、仲介業務など取引事例は多種多様。 不動産取引はもちろん、建築・土木・住宅ローン・保険・不動産税制などに明るい。 現在は第一線を退き、業界経験を活かした「完全な消費者目線」の住まいのアドバイザーとして活躍中。