選べる住宅ローンや将来設計の自由度が高い
枦山 剛
2016/01/04
年をとってからでもローンを組みやすい
中古物件は特に「頭金の用意が少ない人」「30歳、40歳を過ぎてから住宅の購入を考えている人」にとって大きな魅力です。その理由は住宅ローンの仕組みと関係しています。
住宅ローンの返済期間は、最長35年が一般的です。完済時の年齢は75~80歳とする金融機関が多いのですが、現実的に安心して働ける年齢を考えると、65歳くらいまでに完済できる目処を立てておきたいところです。そうでないと、将来、高いリスクを背負うことになります。
退職金などをあてにしていると、老後の資金に不安が残ることになります。また、大企業などでは40歳あたりから子会社に出向となるケースも多く、収入は頭打ちどころか、先細りになることもめずらしくありません。そもそも、勤めている会社が5年先にどうなっているかも不透明な時代です。
そのため、新築物件を購入するとなると、頭金を貯めて借入金額を抑えたり、なるべく若いうちから長期のローンを組んで、月々の返済額を少なくしたりするなどの工夫が必要になります。
こうしたなか、中古物件は新築物件より格安で手に入れることができます。結果として借入金額が少なくてすむため、頭金もそれほど必要としませんし、返済期間を短く設定しても、月々の返済額の負担が極端に重くなることもありません。
たとえば、新築物件を40歳で購入。4000万円の住宅ローンを借入期間25年、固定金利の年率1.64%で組んだ場合(ボーナス時の返済なし)、毎月の返済額は約16.3万円になります。一方、中古物件を購入するため、3000万円の住宅ローンを、そのほかの条件は同じで組んだ場合、毎月の返済額は約12.2万円ですみます。
このように新築に比べて価格の安い中古住宅なら、ある程度、年齢がいってからでも、リスクを回避しつつ、持ち家を手にすることができるのです。ただし、金融機関によりますが、物件の耐用年数の残存年数内でしかローンを組めないことがあるので残存耐用年数以上のローン期間を検討する方は、事前に金融機関への相談が必要です。
家賃を支払うよりも得
もちろん、中古物件は若い人にもメリットがあります。先程と同じく中古物件を購入するため、3000万円の住宅ローンを組んだとします。ただし、購入時の年齢は若くて30歳。そのため借入期間は35年とし、固定金利の年率は1.71パーセントとします。
すると、毎月の返済額は約9.5万円。家族構成や人にもよると思いますが、あまり賃貸物件に家賃を支払っているのと大差のない金額で、35年後には持ち家という財産を残すことができます。
「住宅ローンは金利が乗っているぶん、家賃よりも損」という考えを唱える人もいますが、同じ支出額で最後に残るものがあるのとないのでは、「ある」ほうが得なのは明らかです。特に老後の暮らしが不安視される現代においては、最低限の住処を確保しておけるのは大きなメリットです。
さらに住宅ローンを金融機関で組む際は団体信用生命保険に加入します。この保険に加入した際は万が一ローンの契約者が死亡しても、残りの住宅ローンはこの保険から支払いが行なわれるので残された家族は住宅ローンの支払がなくなり、そのままその住宅に住むことができるのです。
ライフステージに合わせて住み替え等の検討も
中古物件は価格が安く、新築にくらべて価格が下がりにくいので、住宅ローンの残債を売却価格が上回ることが多くなります。売却時に売却価格が住宅ローンの残債よりも少ないと、売却資金で住宅ローンの完済ができないため、売却不可となってしまいますが、こうしたケースは新築マンションを購入した場合より少ないといえるでしょう。したがってライフステージに合わせてリフォームや住み替え等を検討しやすいというメリットもあります。
また中古の場合、物件価格が割安なため、新築を購入した場合より短い期間でローンを完済することも可能です。そして、たとえば子どもが巣立ち、無駄なスペースが増えるようであれば、賃貸に出したり売り払ったりして、もっと利便性の高い住まいに移り住んだり、新たに新築物件を購入するためにローンの担保として提供するなど、将来的な選択肢を広げることができるのです。
この記事を書いた人
中学卒業後に大工、建設業、鉄工業などを経て、97年、若干23歳の時に鉄工業で創業する。大手ゼネコン5次下請けからスタートし、最終的には総合建設業者として大手ゼネコン5社の内2社、準大手ゼネコン5社、財閥系商社、建材メーカー、設計事務所、他数百を超える顧客と直取引するまでになり職人100人前後を抱える。同じころ飲食店、建設業専門経営コンサルタント業などを行なう関連会社3社も経営し、事業の多角化を行なう。 その間、約24年で多くの大型開発工事、投資用マンションとアパート建築、高層ビル建設、公共施設工事、メーカーの建材開発に携わり新施工法や新製品の商品化に貢献し徹底した品質管理と原価構造を学ぶ。しかし、拡大路線が裏目に出て廃業に至る。これを契機に経営者としての人生を徹底的に見つめ直し、顧客と社員と自身の相互利益を探求し学ぶ。 その後、不動産コンサルティングの業務に魅了され転身。 業界の活性化や顧客満足度の向上を阻む建設業界や不動産業界の古い慣習と収益構造に疑問を持ち、既成概念にとらわれない顧客サービスを模索し経営方針を固める。 現在、「経済活動を通し社会の不満、不便、不安を解消する」を経営方針に掲げ、顧客と企業の相互利益がかなうビジネスモデルを手掛け、建設と不動産に関わるすべての業界に変革を呼びかける。 (保有資格) 不動産系 1. 宅地建物取引士 2. 管理業務主任者 不動産コンサル系 1. 不動産コンサルティングマスター (合格後未登録) 2. 住宅建築コーディネーター 3.賃貸不動産経営管理士 4. 既存住宅アドバイザー 建築系 1. 一級建築施工管理技士 2. 監理技術者資格者証 3. 監理技術者講習修了証 4. 建築物石綿含有建材調査者 5. 特殊建築物調査資格者 6 マンション健康診断技術者 7. ブロック塀診断士 8. 建築仕上診断技術者 金融系 1. 貸金業取扱主任者 2. 住宅ローンアドバイザー ほか、損害保険募集人資格4種保有 その他 1. 相続診断士 2. 上級個人情報保護士 ほか、労働安全衛生法による資格16種保有