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DIYでコミュニケーションも広がる

築50年超! 昭和の3K団地を2LDKに。資材費10万円で友人・家族と楽しくDIYリノベーション!

嶋崎都志子嶋崎都志子

2017/10/17

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自分の知識や経験を活かせるDIY賃貸物件を探して


リノベーション前の物件。和室からキッチンをのぞむ

■プロフィール

Mさん(40代女性)/お住まい:東京都/

賃貸団地(3K→2LDKにリノベーション)/

■DIYで施工した内容

すべての部屋の床貼り、壁紙貼り、壁の珪藻土塗り、キッチンパネルとタイル貼りやマスキングテープ貼り、家具や扉制作、など

■予算(資材購入費)

約10万円(サッシ交換、トイレの便器交換は除く)

東京都郊外で、築50年を超える東京都住宅供給公社の団地に部屋を借りたMさん。タイミングよく見つけたその部屋は、いつ取り壊しになるかわからない状態なので、リフォームはしないかわりに自由にDIYしてよいというオーナー物件です。

DIY専門店で働くMさんの知識と経験をもとに、友人や家族たちとワイワイ楽しみながら、ほぼセルフリノベーションで仕上げた住まいは、とても居心地の良いDIY精神にあふれた空間でした。実際に作業したからこその楽しかったこと、苦労したことをお伺いしました!

もともとはDIYとは無関係の仕事に就いていたMさんですが、趣味でタイルクラフトなどをしており、”ものづくり”は好きだったそうです。ホビーショーなどのクラフト商品の展示会へ出かけていくうちに、ホームセンターで行なわれている「木工ワークショップ」の存在を知ります。

DIYにはもともと興味があり、電動工具も持っていたものの、使い方がわからず、眠らせたままになっていたことを思い出したMさんは、早速、お姉さんとワークショップに通い始めました。

このワークショップをきっかけに、MさんはどんどんDIYの世界に魅了されていきます。そして、とうとうDIY商品を販売する専門店で働くことに。数年間の勤務のなかで、お客さまへの商品説明や店内の模様替え、ワークショップの運営などをしていくうちに知識や経験を積み重ねていきました。

「仕事で得た知識と経験を活かして、自分好みの住まいづくりに挑戦したい」と考えるようになったものの、当時、Mさんが住んでいたのはごく普通の賃貸物件でした。当然、好きなように床、壁などを変えることはできません。そこで、不動産会社のサイトなどでDIY可能な物件を探し始めますが、家賃やエリア、広さなど希望の条件と合致する物件は、なかなか見つからなかったそうです。

そんなある日、ふと見つけたのが、築50年を超えた東京都住宅供給公社の団地でした。もともとは分譲物件だった部屋を、オーナーが賃貸に出している物件で、しかも、いつ取り壊されるかわからないという理由から、オーナー側でのリフォームはしないかわりに、DIYで自由にリフォームしていいという条件つき。Mさんにとっては、夢のような物件でした。すぐに不動産会社に電話をして次の日には内見、すぐに契約を決めたそうです。

家族や友人たちに助けられて団地リノベーション開始!


CFシートを貼ったリビング。押入れだった空間には木材でつくった扉をつけた

DIY専門店に勤めていたこともあり、Mさんの周りにはDIY好きの友人たちがいました。また、Mさんには工務店に勤めている兄弟がおり、そういった家族や友人たちの応援に支えられ、Mさんは団地リノベーションに取り掛かります。皆、仕事をしているなか、スケジュールを合わせながら、通算8日という短期間でリノベーションを仕上げ、作業は引越し前にすべて完了したといいます。

作業自体は大変だったけれど、常に2〜6名が出入りしながら、ワイワイとにぎやかにやれたのは楽しかったとMさんは話してくれました。

周囲に助けられたのは、DIY作業だけではありません。資材の調達については、工務店に勤めている兄弟が協力してくれたおかげで、天井や壁に大量に使用する白い壁紙や、床下地に使用する木材などは端材を入手して利用しています。 

それ以外のこだわりの壁紙や塗料、フローリング風のクッションフロアーシート(以下CFシート)などはホームセンターやネットショップで購入し、資材の費用は約10万円ですんだそうです。

なお、とても古くて使い勝手の悪かった窓サッシの交換と、トイレの便座の交換は専門業者に依頼をしました。

昭和の団地特有の3Kから2LDKに間取り変更

今回のリノベーションでは、昭和の団地特有の3Kを2LDKに、間取り変更も行なっています。

まず、キッチンと隣接する和室をつなげてLDKに変え、その他は、眠るだけに特化した寝室、収納に特化した部屋を1部屋ずつ造りました。間取りの変更プランを事前に決めていたので、実際の作業はそのプランに基づいてスムーズに動けたのがよかったとMさんは言います。

ただ、作業は簡単なものではありませんでした。大変だったことのひとつは、キッチンと和室をつなげてLDKにするため、床の上にCFシートを貼る作業です。床の段差を解消しなければならない上に、築50年を超えたフローリングの土台の傷みは想像以上にひどく、友人と兄弟たちが総出で直さなければならないほどだったそうです。

そして、いちばん大変だったのは天井の壁紙貼りです。古い壁紙を剥がすところから、新しい壁紙を貼る作業まで、ずっと上を向いているので首も痛くなる上、全員初めての作業だったため勝手がわからず大変苦労したそう。

作業はインターネットの動画を見ながら進めましたが、2本の長いポール状の専用器具をつくるところに始まり、壁紙を天井近くまで持っていく人、壁紙をなで刷毛で貼っていく人など4〜5人がかりで作業する様子は、まるで中国雑技団のようだったそうです。

その他、漆喰塗りや壁ペイント、壁紙張りや、キッチン周りのマスキングテープ貼りなども、面積が広く大変だったといいますが、応援に来てくれる人たちとワイワイと楽しく作業することで、乗り越えることができたそうです。

各部屋のDIYアイデアポイントは?


2x4材と突っ張り金具を利用して作ったリビングパネル

Mさんは百貨店のディスプレイの仕事もしていた経験もあるので空間演出はお手のもの。さらにDIYアイデアも加えた各部屋のリノベーションポイントを教えていただきました。

 <1>リビング/床:CFシート張り、造作家具など

前述の通り、キッチンと和室をつなげてLDKに。キッチンの床は土台の傷みがひどかったので、フローリングを一部剥がして補強。捨て板と呼ばれるベニヤ板の端材を敷いて、隣の和室の床との段差を解消しています。

CFシートは接着剤を、くし目ゴテを使って適量に塗り、オープンタイム(接着剤を塗った後にすぐにCFシートを貼らずに数分置くことで接着力がアップする)を必ず取ることがポイントです。

2x4(ツーバイフォー)材という木材と組み合わせる突っ張り式金具で柱をつくり、端材を使ってリビングパネルを制作すれば一気にナチュラルな空間になります。

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<2>キッチン周り/モザイクタイルとキッチンパネル貼り、マスキングテープ

ガス会社の友人に頼んで一度瞬間湯沸かし器を外してもらい、正面の壁にモザイクタイルを。扉は木目柄のマスキングテープでデコレーション

コンロ周りは、キッチンパネルと呼ばれる防火性能に優れた大きな一枚パネルを、側壁と正面壁に貼り、その他の壁は既存のタイル壁の上から25cm角のモザイクタイルを貼りました。タイルonタイルという接着剤がおすすめです。

キッチンの扉などは、木目柄のマスキングテープでリメイクしました。幅15cmのマスキングテープは、空気が入らないように手のひらなどでゆっくり空気を押し出しながら貼っていくのがコツです。

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<3>寝室/壁ペイントと壁紙貼り


寝室は色味ある塗料でアクセント

寝室などプライベートな空間は、ちょっと色味の強い塗料を塗ったり、個性的な柄の壁紙を部分張りしたりすることでアクセントをもたせています。

ペイントは広い面はペイントローラーを使用し、天井や壁紙の境目は塗装用マスキングテープを貼って養生しておくと綺麗に仕上げられます。

 

<4>収納部屋/押入れ改装、壁の珪藻土塗り


調湿効果のある珪藻土を天井全面に塗って収納部屋に

もともと隣の寝室側にあった押入れを、収納部屋から使えるように壁をぶち抜いたことで収納力をアップさせました。こちらも2x4材という木材と組み合わせる突っ張り式金具で柱をつくり、洋服がたくさんかけられるシェルフを制作しています。

調湿効果のある珪藻土を壁や天井に塗ったことで洋服などのフォッションアイテムにカビがつかないように工夫したそうです。

<5>玄関/ドアリメイク、靴収納


昔ながらの玄関ドアの覗き窓には扉をつけて

室内郵便受けが壊れていたドアは、郵便受けを外し、カラフルにペイントした端材を両面テープで貼ってリメイク。丸見えだった昔ながらの覗き窓も、開閉する板をつけることで防犯対策を施しています。

いつでも変更可能!失敗を恐れなくなるDIYの魅力


カラーボックスをリメイクして収納量のある靴箱に

友人、家族たちと、にぎやかにリノベーションしていく上でたくさん得ることがあったというMさん。

家族や仲間と一緒に作業できたことのメリットは、まず、モチベーションを保っていられたこと。ひとりで黙々と作業していたら、きっと8日間という期間では終わらなかったことでしょう。

また、当初予定していたことを、作業段階で友人たちと相談しながら、よりよい形に変更していくことができたのも大きなメリットだったそうです。

たとえば、当初、LDKのキッチンとリビングの間には大きな仕切り壁を作る予定でしたが、友人たちと作業していくうちに、オープンな空間のままのほうが使い勝手がいいだろうという話が出て、変更することになりました。

その他、オープン収納にする予定だったリビングの押入れは、扉があったほうがスッキリするだろうと、友人が木材を調達して扉を制作してくれたそうです。

このように、作業の途中段階でも話し合いながら予定が変更できるのもDIYリノベーションの魅力だとMさんは話してくれました。

最初は失敗しても、解決方法を自分たちで工夫しながら見つけて、次に活かせること。そして、その経験が知識となり、失敗を恐れずチャレンジできるようになったことも大きな収穫だったと言います。

うまくいったこと、うまくいかなかったことを仲間たちと共有し、次に挑戦する人たちにアドバイスしたり、次の機会に活かしたりすることができるのがDIYです。

住まいを綺麗にするだけではなく、人とのコミュニケーションも広げてくれるのも、DIYの魅力なのかもしれません。

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この記事を書いた人

DIYアドバイザー、インテリアコーディネーター

ハウスメーカーや内装会社などでの施工現場経験を活かし、雑誌、テレビのDIY監修やプチリフォームのアドバイスを行なっている。著書に「初めてでも自分でできる住まいの修繕とメンテナンス」(成美堂出版)など。

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