物件だけでなく不動産仲介会社が信頼できるかもチェックしよう
菅 正秀
2016/03/24
マンションの販売代理との違い
建売住宅の場合、建設している会社と販売している会社が違うケースが多くなっています。正確には、不動産仲介会社(以下、仲介会社)ですが、この仲介会社がいい加減だと、手続きがスムーズにいかなかったり、物件についての十分な説明が受けられなかったりといった不都合が生じてしまいます。
建設会社(工務店など)と販売会社が違うといえば、マンションの販売代理を想像する人も多いかもしれません。しかし、販売代理と仲介はお金の動きが全然違います。
販売代理は販売会社が工務店から手数料を受け取る形になり、買い主は手数料を支払う必要がありません。
一方、仲介の場合は買い主が仲介手数料を負担することになります。仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法で定められていて、400万円以上の物件の場合、「売買価格×3%+6万円」となります。たとえば、販売価格が2000万円の場合は66万円となり、これに消費税を加えた金額が上限となります。
売り主が販売に慣れていない工務店ですと、手続きがスムーズに行なわれないなど、買い主側にも影響が出てきます。そこで仲介会社が間に入ることにより、さまざまな作業や手続きをスムーズに行なうという役割が発生します。
契約手続き・ローンに関するアドバイス・法律上必要な書類の整理など、不動産の売買には専門的なことがつきものです。これらを円滑に進めてくれる対価として、仲介手数料を支払うというわけです。
売り主との間に仲介会社が入っている物件は、広告の会社名の近くに「媒介(仲介)」と記載されているので、必ずチェックしておきましょう。
仲介会社の実績を確認する
それでは、どのようなポイントをチェックすれば、その仲介会社が信頼できるかどうかわかるのでしょうか?
まず、これまでの販売実績・仲介実績はチェックしておきたいところです。多くの人が知るような大手企業の場合は、すぐに実績についても経営状況についても確認することができます。
中小・中堅会社になると、なおさらこの数字には気をつけましょう。一般企業について調査するとなると専門家に依頼しなければいけませんが、不動産会社の場合は免許事業なので実はすぐに調査ができます。ちゃんと免許を取得している不動産会社には、免許番号が付与されています。「東京都知事(1)第2345号」といった数字が、広告などにも必ず記載されているので確認しておきましょう。
この数字の見方ですが、カッコのなかの数字が大きければ大きいほど更新回数が多いことを意味しますので、長期間に渡って営業を続けているということになります。
ただし、大手会社が分社化した場合は実績があっても「(1)」になってしまいますし、実績がなく休眠状態の会社でも免許の更新をしていれば数字は大きくなっているので注意が必要です。
そして、全国規模(事業所が2以上の都道府県に存する場合)の会社は国土交通省で、各都道府県が中心の会社は各都道府県で「業者名簿」を閲覧すれば、事業の沿革・代表者・兼業業種・資産の状況・取引士・納税状況・経営実績・行政処分歴などがわかるようになっています。ちなみに、国交省のサイト ( http://etsuran.mlit.go.jp/TAKKEN/ )で調べることも可能です)
この名簿は5年ごとに免許更新のタイミングで最新の情報を加えることになっているので、契約の前にはその会社についてチェックしておくことをおすすめします(ちなみに名簿閲覧・相談は無料)。過去に何もなければ安心できますが、処分やトラブルがあった場合は名簿にその旨が記載されることになっているので参考になると思います。
会社に問題がなければ、あとは担当者の人柄です。信頼できそうな人か、実際に会って話を聞いて確認しましょう。
不動産の購入で大切なのは、信頼関係といわれています。「この人」「この会社」と思う存在に出会って、信頼関係を確立していくことがいい住まいを手に入れる第一歩になります。
この記事を書いた人
株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント
宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。