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中古住宅の魅力とは?(3)

中古住宅は広告宣伝費がかからないのでリーズナブル

枦山 剛枦山 剛

2016/01/04

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新築物件の価格には多額な広告宣伝費が含まれている

 新築物件と中古物件では価格の決定方法も異なります。一般に新築物件の価格は土地の仕入費用や建設費、販売のための広告宣伝費、さらにそれらの資金を融資で調達している場合は、その返済利息なども含めた原価に、目標利益を積み上げて決まります。

 このうち新築物件の価格に占める新聞広告やテレビCMなどの広告宣伝費の割合は3パーセント前後。さらにここにモデルルームの建設・維持費、販売会社への手数料なども含めると、価格の約10パーセント前後を占めるといわれています。たとえば、5000万円の新築物件なら本来の物件の価値とは無関係の費用が500万円も上乗せされていることになります。

 このように新築物件の価格決定のベースはあくまで「原価」であり、基本的に売り手の「元をとりたい」という都合によって決められているのです。

 見方を変えれば、新築物件には資産価値という面からみると意味のない費用が多分に含まれているのです(先ほどの5000万円の新築物件でいえば、500万円は資産価値という面から見れば意味のない費用です)。したがって、この意味のない費用分の価値は市場で評価されないので、中古になった瞬間(購入した瞬間)になくなります。

中古一戸建ての価格は〝土地の評価額〟がベース

 では、中古一戸建ての価格はどのように決まるのでしょうか。一番のベースとなるのは、現在における「土地の評価額」です。これに建物の価値と目標利益をプラスして算出します。

 建物の価値は、通常「再調達原価-減価額」で求めます。再調達原価とは、簡単にいうと、現在同じ建物を新築すると想定した場合の価格(=1㎡あたりの一般的な新築単価×延床面積)のこと。ここから築後年数を考慮した減価額(=再調達原価×築年数÷耐用年数 ※耐用年数は建物に応じて20~25年に設定)を差し引いて、現在の価値を算出します。

 ただし、建築基準法などの法改正により建築当初は基準を満たしていても、現行法では基準に満たない建築物になってしまった場合などは上記評価以下になることもあり得ます。

 中古一戸建ての販売においては、パンフレットもなければ、モデルハウスも設置されません。投入される広告宣伝費はごくわずかです。このように中古一戸建ての価格には余計な原価が上乗せされていないぶん、住まいそのものの実質的な価値が反映されているといえます。

 つまり、建築基準法改正等を除けば地価が下がらない限り、将来的に資産価値が大きく目減りするリスクも少ないというメリットがあるのです。

中古マンションの価格は〝市場価格〟

 中古マンションも中古一戸建てと同様に、販売に際してパンフレットが作成されたり、モデルルームが設置されたりすることはありません。そもそも売主の大部分は個人ですから、原価に相当するものといえば、購入時の費用となってしまいます。

 そのため、いくら原価を回収したいと考えても、原価以上の価格を設定することは現実的に不可能です。そのため、中古マンションの価格は多くの場合、需要と供給の関係で決まります。

 2013年の調査によると、首都圏で販売された新築マンションの平均価格は4929万円。一方、築5年以内の中古マンションの平均価格は4220万円、同じく築6~10年が3730万円、築11~15年が3197万円となっています。つまり、築15年以内の中古マンションは新築マンションに比べて約14~35%も低い価格で購入可能ということになります。

 また供給戸数においても、2014年の首都圏1都3県で、新築マンションが約5.2万戸、中古マンションが約41.1万戸。近畿圏2府1県で、新築マンションが約1.7万戸、対して中古マンションが約13.4万戸と、いずれも中古マンションが圧倒しています。

 このように中古マンションは選べる物件数も多いため、単に価格が安いだけでなく、本当の意味でリーズナブルな選択が可能なのです。

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この記事を書いた人

中学卒業後に大工、建設業、鉄工業などを経て、97年、若干23歳の時に鉄工業で創業する。大手ゼネコン5次下請けからスタートし、最終的には総合建設業者として大手ゼネコン5社の内2社、準大手ゼネコン5社、財閥系商社、建材メーカー、設計事務所、他数百を超える顧客と直取引するまでになり職人100人前後を抱える。同じころ飲食店、建設業専門経営コンサルタント業などを行なう関連会社3社も経営し、事業の多角化を行なう。 その間、約24年で多くの大型開発工事、投資用マンションとアパート建築、高層ビル建設、公共施設工事、メーカーの建材開発に携わり新施工法や新製品の商品化に貢献し徹底した品質管理と原価構造を学ぶ。しかし、拡大路線が裏目に出て廃業に至る。これを契機に経営者としての人生を徹底的に見つめ直し、顧客と社員と自身の相互利益を探求し学ぶ。 その後、不動産コンサルティングの業務に魅了され転身。 業界の活性化や顧客満足度の向上を阻む建設業界や不動産業界の古い慣習と収益構造に疑問を持ち、既成概念にとらわれない顧客サービスを模索し経営方針を固める。 現在、「経済活動を通し社会の不満、不便、不安を解消する」を経営方針に掲げ、顧客と企業の相互利益がかなうビジネスモデルを手掛け、建設と不動産に関わるすべての業界に変革を呼びかける。 (保有資格) 不動産系 1. 宅地建物取引士 2. 管理業務主任者 不動産コンサル系 1. 不動産コンサルティングマスター (合格後未登録) 2. 住宅建築コーディネーター 3.賃貸不動産経営管理士 4. 既存住宅アドバイザー 建築系 1. 一級建築施工管理技士 2. 監理技術者資格者証 3. 監理技術者講習修了証 4. 建築物石綿含有建材調査者 5. 特殊建築物調査資格者 6 マンション健康診断技術者 7. ブロック塀診断士 8. 建築仕上診断技術者 金融系 1. 貸金業取扱主任者 2. 住宅ローンアドバイザー ほか、損害保険募集人資格4種保有 その他 1. 相続診断士 2. 上級個人情報保護士 ほか、労働安全衛生法による資格16種保有

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