不動産取引(売買)の立会業務について

不動産契約

不動産取引の立会業務とは、売買代金の決済手続きに司法書士が立会い、売主様から買主様に所有権移転登記が出来るかどうかの最終確認をその場ですることです。

なにを確認するのか?

司法書士の立会業務の研修で最初に教えられるのが、「人」「物」「意思」の3つの事項を確認しなさいと教えられます。立会業務については、司法書士試験には出題されませんが、合格後に最も重要な業務であり、司法書士が細心の注意をはらうべき場面となります。 先ず、売主様本人かどうか、売却する不動産に間違いがないか、売却もれの不動産が無いかどうか、売主様本人に売却する意思が間違いなくあるのかを確認します。

具体的事例】

上記の3点の確認をしないと次のような事例が多発すると思われます。

事例①借金だらけの親不孝な息子が親の権利証、印鑑証明書、実印を勝手に持ち出し、親に黙って不動産を売却する。事例②認知症になってしまった親の不動産を親族が勝手に売却してしまう。自宅の前面走路(私道)に持分が入っているにも拘らず、自宅の土地建物だけ売却してしまい、私道部分の土地持分を売却し忘れてします。

現在の司法書士の立会業務では売主様本人に面談せずに売却することは考えられませんので、上記①②は回避できると思われます。③についても司法書士が事前調査をしっかりしていれば仲介業者が見落としても最終決済までにはフォロー出来ると思います。

司法書士が売買の依頼を受けた時の具体的な流れ

  1. 不動産仲介業者、又は銀行、若しくは個人のお客様から立会日の予定確認があります。
  2. 売買契約書、登記事項証明書、固定資産評価証明書等の資料をいただきます。
  3. 売買契約書に記載されている土地・建物の登記情報(インターネットで取得可)を再度確認し、最新の状況を確認します。又、法務局備え付けの公図、地積測量図、建物図面等の図面類を確認します。
  4. 売買契約書の売主様の住所と登記記録上の売主の住所が同一かどうかを確認し、売買の所有権移転登記の前提として、住所変更登記の有無を確認します。(この登記をうっかり忘れてしまうと所有権移転登記(売買)を取下げしないといけませんので重要ポイントです)
  5. 土地の地目が「田」「畑」の農地であるため農地法の届出(許可)が必要か、抵当権等の担保設定や差押え等の売買の障害となる事項がないかどうか、あれば決済日当時までに 抹消の段取りを打合せ致します。
  6. 登記費用の連絡をし、登記に必要な登記原因証明情報、委任状等の書類作成をします。
  7. 決済の当日に、「人」「物」「意思」の確認をして、住民票、印鑑証明書、権利証(登記識別情報)の添付書類及び運転免許証等の身分証明書の確認、書面への署名、捺印が終わり、全ての準備が整たところで「決済してくだい」と告げることにより実行されることになります。
  8. 決済が実行され、買主様から売主様へ売買代金が支払われたことを確認して立会業務が終了致します。(約30分から1時間30分ぐらいかかります)

「買主様、売主様から見ると決済当日は、たった15分ぐらいの確認で楽な商売やなぁ~」と思われるかしれませんが、事前の準備、登記申請手続の完了、職務上の責任の重さを考えると、決して楽な商売ではないと痛感しております。

司法書士は誰が決めるのでしょうか?

その昔は、銀行指定とか仲介業者指定の司法書士という時代がありましたが、今は登記費用を支払っている買主が優先的に決めることが出来るのではないでしょうか!誰もいないときには信頼できる業者さんに紹介してもらいましょう。

この記事のコラムニスト

岡田一夫
岡田一夫(司法書士・行政書士)
おかだ司法書士 / 行政書士事務所。同志社大学経済学部卒業後、平成4年司法書士試験合格、平成7年独立開業、平成8年行政書士資格取得。
不動産登記、商業登記等の登記業務を中心に、建設業、宅建業、運送業等の許認可業務も取り扱っております。多くの不動産賃貸経営者をクライアントとする税理士事務所の依頼により、相続に伴う財産・事業承継に数多の経験があります。最近では、経営者の高齢化に伴い、いわゆる家族信託スキームを利用した権利の保全・財産承継の業務が増加してきております。
登記業務はどの司法書士に依頼しても成果は同じですが、遺言、信託等の保全業務は「する」か、「しない」かで結果は全く異なります。他の士業と連携し、トータル的に国民の権利保護に寄与できればと考えています。
[担当]不動産登記
岡田一夫は個人間直接売買において決済完了後に登記手続きを行います。