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コロナは「禍」じゃない? ストレスが減り便利になり楽しくもなった

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文/朝倉 継道 イメージ/©︎nickshot・123RF

現在の生活スタイルは好ましいのか…アンケート結果から紐解く

博報堂生活総合研究所が、「新型コロナウイルスに関する生活者調査【特別編】」と、題した調査結果をこの4月末に公表している。

「コロナ禍」が始まり、1年を優に超え、日常に生じた変化が半ば定着してきたともいえる昨今、現在の生活スタイルに対する想いや、新たな気付きなどを人々に尋ねた結果をまとめたものだ。

調査対象は、20~69歳の男女1500人(男性757人、女性743人)。

調査地域は、
首都40km圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城の各都県にまたがる)
名古屋40km圏(愛知、三重、岐阜の各県に 〃)
阪神30km圏(大阪、京都、兵庫、奈良の各府県に 〃)

性別、世代別、地域別のさまざまな違いが、興味深い資料となっている。いくつか内容を紐解いていこう。

まずは、「コロナ禍前と比べての、現在の生活スタイルの好ましさ」を尋ねた年代別の結果だ。

「自分にとって好ましい」
20代 …56.7%(最大)
30代 …54.6%(2位)
40代 …48.1%(3位)
50代 …40.5%(4位)
60代 …35.3%(最小)

「家族にとって好ましい」
20代 …46.7%(最大)
30代 …44.7%(2位)
40代 …36.5%(3位)
50代 …32.7%(4位)
60代 …30.2%(最小)

「社会にとって好ましい」
20代 …45.8%(最大)
30代 …40.1%(2位)
40代 …35.7%(3位)
50代 …28.8%(4位)
60代 …24.4%(最小)

ご覧のとおり、見事といっていい相関関係が表れた結果となっている。

若い世代ほど現在の生活スタイルを気に入っている傾向に

若い世代ほど、「自分にとっても、家族にとっても、社会にとっても」コロナ禍前と比べての現在の生活スタイルの方が好ましいと考える割合は高く、年代が増すほど、それがはっきりと下がっていくかたちだ。

ちなみに、上記の回答は、

「コロナ感染拡大以前と比べて、現在の生活スタイルの方が好ましい(生活しやすい/暮らしやすい)という意見があるが、あなたはどう考えるか?」

との質問に対する、自分、家族、社会、3つの視点での4つの選択肢、

「そう(好ましいと)思う」
「ややそう(〃)思う」
「あまりそう(〃)思わない」
「そう(〃)思わない」

のうち、「そう思う」「ややそう思う」を合わせたパーセンテージとなっている。すなわち、コロナ禍という、ネガティブな環境のもと強いられたはずの生活スタイルではあっても、20代、30代では、

「少なくとも自分にとって、現状は好ましい」

と、評価している割合が、そうでない割合にまさっていることになるわけだ。(20代=56.7%、30代=54.6%)

これら若い世代にとってコロナは、多数決をとれば「僥倖だった」ことになるという、大変面白い結果が生じている。

その様子が、具体的に語られているといっていいのが、次の質問・答えだろう。

マスクや除菌のおかげで病気になる確率が減ったという声も

ここでは、「コロナ禍生活1年で、新たに気づいたこと」として、まずは17のポジティブな生活の変化の例が示されている。そのうえで、自身がそれに「あてはまる」または「ややあてはまる」と、答えた割合が挙げられている。

このうち、以下が、20代と30代に見られる顕著な結果の例だ。

まずは、20代か30代の数値が全世代における1位で、かつ、割合も6割を超えているもの……

「自分も社会全体も衛生意識が高まり、風邪や病気にかかりにくくなった」…30代で70.9%
「家族と過ごすことが楽しくなった」…30代で66.0%
「人と対面で会うときは、その時間を大切にするようになった」…20代で64.6%
「自分にとって大切なものを見極める機会になった」…30代で65.6%
「自由な時間を自分の成長のために使いたいと思うようになった」…20代で65.0%
「人付き合いのストレスが減った」…20代で65.8%
「家で過ごすことが楽しくなった」…20代で67.1%
「感染対策をする日常に慣れて、不自由さを感じなくなった」…20代で60.4%
「オンラインでの買い物や診療など、オンラインでできることが増えて便利になった」…20代で62.9%

次に、20代の数値が全体のトップで、6割は超えないものの全体平均を+10ポイント以上上回っているもの……

「テレワークやオンライン授業を経験して、必ずしも会社や学校へ行く必要はないと感じた」…53.8%
「講演、授業やイベントなどは、オンラインで時間や場所に縛られず参加できるようになった」…48.8%
「テレワークを経験して、必ずしも都会に住まなくてもよいと感じた」…46.7%
「通学・通勤時間などが減って、自由に使える時間が増えた」…47.9%

いかがだろう。コロナがもたらした生活の変化が、若い層の半分近くから6~7割程度までに対しては、ある意味「ギフト」になっていることが、当調査からは浮かび上がっている。

もちろん、一方で、同じ世代には困っている人もいる。コロナによって仕事や収入を失ったり、勉学の機会を失ったりしている人も少なからずいるはずだ。

しかしながら、そうした状況から運よく逃れられている若者にとっては、コロナ禍は「禍」ではなく、むしろ「果」になっているケースもあるようだ。

今回の博報堂生活総合研究所による興味深い調査結果は、下記のリンク先でご確認いただける。紹介していないデータにもぜひ目を通してみてほしい。

博報堂生活総合研究所 新型コロナウイルスに関する生活者調査【特別編】

なお、住宅・不動産業界の方や、賃貸住宅オーナーが、多分気になったひとつが、上記の内の「テレワークを経験して、必ずしも都会に住まなくてもよいと感じた(20代・46.7%)」だろう。

この数値は、50代では24.6%、60代では24.0%に一気に下がってしまう。つまり、世代間での差が大きい。

アフターコロナ、ウィズコロナ時代における市場の姿を予測するにあたって、都心志向への回帰が起こるのか、そうはならないのか、それとも別の状況が生まれるのか、意見がさまざまな理由の一部が、ここにも垣間見えているようだ。

 

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