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今日もどこかの街で美食探訪 ねこやま大吉のグルメ狩人

中区栄(名古屋市) 明治40年創業 伏見に『大甚』あり(2/2ページ)

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2019/12/05

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注文はすべて自分で賄う

まずメニューが無い。その代わり店舗中央に所狭しと並ぶ酒の肴。店のスタッフは生麦酒の注文を取った後は近づいてこない。麦酒を流し込みながら店内の動きを把握するために人間観察……。なるほど、自分のペースで好きなことができる仕組みにやっと気付く。つまり主役は「自分」である。そうと分かれば席には座っていられない。

職人技が光る「美味しい食祭」

魚介・野菜・焼き・煮物。まるで祭りを観ているようだ。そんな中から視覚嗅覚に委ね「黒豆」「焼たらこ」「穴子煮」を選択。それらをテーブルに運ぼうとしたところ、「素手じゃなくお盆を使いな!」と大きな声で大将に指南される。デビュー戦は勝手が分からない。

黒豆――素材が持つ甘味を引き出すための 絶妙な煮方と出汁加減がいい。ひとりSNSかのごとく自然に体が「いいね」する。

穴子煮――甘味旨味が凝縮され、口の中は穴子一色。口の中で溶けていくふっくらふわふわ感は至福の逸品。あー穴子! 見渡せばどのテーブルにも穴子は踊っている。 

焼たらこ――甘味から180度転換する塩味。

「あっ、女将の列に並ばなくては」と再度席を立ち、賀茂鶴一合の熱燗をみずから運ぶ。吟醸醸造だからすっきり呑め、焼たらこの塩味を引き立たせる一杯。否、日本酒の切れ味を引き立たせるのが焼たらこか。まさに鶏か卵かの世界である。

近隣の柳橋中央市場から毎朝仕入れ、毎日仕込む大甚。品数は50種以上、売り切れ閉店、残り物は次の日出さない。それが人気の所以なのであろう。

最後の会計は席で。皿の形で値段が決まり、野菜は250円〜、魚は350円〜。大きな算盤で計算するのが味わい深い。また名古屋に飛来したならば、必ずその暖簾をくぐろう。 

今回お邪魔した美味しいお店:『大甚 本店』
住所:名古屋市中区栄1-5-6
交通:地下鉄伏見駅前徒歩0分

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この記事を書いた人

編集者・ライター

長年出版業界に従事し、グルメからファッション、ペットまで幅広いジャンルの雑誌を手掛ける。全国地域活性事業の一環でご当地グルメを発掘中。趣味は街ネタ散歩とご当地食べ歩き。現在、猫の快適部屋を目指し日々こつこつ猫部屋を制作。mono MAGAZINE webにてキッチン家電取材中。https://www.monomagazine.com/author/w-31nekoyama/

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