私たちは皆、「Hot For Eddie」だった
ウチコミ!タイムズ編集部
2020/10/10
文/真板 貴幸
10月6日、エドワード・ヴァン・ヘイレンが亡くなった。「ギーターヒーロー」という言葉がもはや死後となったいまでも、やっぱりエドワード・ヴァン・ヘイレンは私にとってのヒーローである。
初めて聴いたヴァン・ヘイレンのアルバムは、クラスメイトに借りた『OU812』。確か高校2年生の頃だったと思う。世代的なものもあり、ヴァン・ヘイレンへの「入り」は遅く、『OU812』というタイトルがデイヴィッド・リー・ロスへの当て付けであったということも、1ミリたりとも知らなかった。もちろん「Jump」や「Panama」といったヒット曲を耳にしたことはあったが、その程度だ。
家に帰ってCDラジカセに『OU812』をセット。その印象は何だかAORのような洗練された大人の音楽といった感じで、クラスメイトから同時に借りていたメタリカの『...And Justice For All』と比べるとなんだかもの足りないように感じ、5回くらい聴いてそのまま返した。そしてこの時点でヴァン・ヘイレンにハマることはなかった……。
それからかなり経って1995年、『Balance』の「Can't Stop Lovin' You”」のミュージックビデオを伊藤政則氏の番組で観たときは一発でノックアウトされた。その分かりやすいメロディーと分厚いサウンドに心を奪われ、すぐにCDを購入したものだ。
結局『Balance』をきっかけに「1990」年代も後半に差しかかろうという頃、恥ずかしながら『1984』を購入。さらに過去のアルバムに遡り、すっかりヴァン・ヘイレンの虜となってしまった。完全な遅咲きである。
そしていまとなっては『OU812』も素晴らしい。高校生時分には気付かなかった楽曲の「味」が、いまは分かる。
エドワード・ヴァン・ヘイレンの魅力は何か? ギター奏法に革命を起こしたタッピングも確かにそうなのだろう。しかし、私は純粋にギターのトーンにあると思っている。そこに独特なコーラスとグルーブが加わり、「ヴァン・ヘイレン」になる。そして私の脳内は無条件にカリフォルニアになるのだ。
デイヴィッド・リー・ロスとサミー・ヘイガーの「どちらがいいか論争」もあるが、サミー・ヘイガー時代から入った私でも、そこに甲乙は付けられない。どちらもいいとしか言いようがない。アルバム1枚で終わってしまったゲイリー・シェローンだって最高だ。
「Ain't Talkin' 'bout Love」「Dance The Night Away」「Hot for Teacher」「Poundcake」……数々の名曲の素晴らしさは、すでに語り尽くされている。
それでも最後にどうしても言いたいことがある。それは最後のスタジオアルバム『A Different Kind of Truth』だ。
世間的にまったく注目されていないかもしれないが、12曲目の「Big River」は名曲であると断言できる。エドワード・ヴァン・ヘイレンの魂がこもった弾きまくりのギターソロに耳を傾けてほしい。胸に熱いものがこみ上げてくるはずだ。
当時のキッズがHotだったのは、TeacherではなくEddieだったのだ。
R.I.P. Edward Lodewijk Van Halen
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