失敗しない賃貸選び～管理会社の良し悪しを見分けるポイント～

ウチコミ！タイムズ編集部

2025/12/17

借りる

賃貸物件で快適に暮らせるかどうかは、物件の質や希望のエリアといったものだけではなく、その物件を管理する【管理会社】に大きく左右されることはご存じでしょうか。

入居者さんは設備の故障や近隣トラブルなど、困ったことが起きたときは管理会社に頼ることになります。

内見のときは部屋の状態ばかりに目が行きがちですが、管理会社の対応の良し悪しを見極めることが、入居後快適な生活を送るために重要になります。

今回は、部屋探し中・入居後にできる管理会社の良し悪しを見分けるポイントをまとめていきます。賃貸物件に引っ越しを考えている方はぜひ参考にして下さいね。

管理会社の種類

管理会社は、大家さんに代わって賃貸物件の管理・運営を行う不動産会社のことをいいます。多くの大家さんは管理会社に管理業務を委託しているのが現状です。

一概に管理会社といってもいくつか種類があります。部屋探しでは、入居したいと思った建物の管理会社がどういったタイプか知っておくことで、入居後の対応スピードやトラブル時の安心度が大きく変わるため、確認しておくことで“快適な物件”を選ぶことができるでしょう。

管理会社を大きく分けて、3つのタイプをご紹介します。

① 管理委託を受けた【一般的な不動産管理会社】

一番多いタイプがこちらになります。大家さんから委託を受け管理業務を行う不動産会社です。

たまに街で“年季の入った”不動産会社を見かけることがあると思います。「お客さんがいることはほとんど見かけないけれど、なんで潰れないんだろう……」と思ったことはありませんか？

こういった不動産会社は、管理業務をメインとしていることが多く、自社で入居者さんを案内することはほとんどありません。近隣の仲介を専門としている不動産会社から入居者さんを紹介してもらい、入居後の管理業務に専念しているのです。

古くて小さな不動産会社でも、びっくりするくらいの管理棟数を請け負っているところもあります。大家さんから管理を請け負うことで利益を得ているため、お客さんの出入りが少なくあまり繁盛していないように見えても、経営に問題はないということですね。

管理範囲は、大家さんと管理会社との契約内容によるため物件によって変わりますが、基本的には『入居者募集・契約関連』・『家賃管理・金銭管理』・『建物・設備の管理』・『入居者対応（クレーム・トラブル処理）』・『退去時の対応』など、さまざまな業務があります。

上記のような、管理業務をメインとしている不動産会社もあれば、管理業務と仲介（※）業務の両方行う不動産会社もあります。広告等を出していて、誰でも知っているような大手の不動産会社で管理を請け負うことも多くなってきたようです。

※仲介会社：入居者と物件を結びつける「紹介役」「案内役」の不動産会社のこと。インターネットで部屋探しをした場合、情報を掲載している「○○不動産」「△△ホーム」などの多くは仲介業務をメインとする会社が多い。

② 大手不動産グループ（マンション管理系・デベロッパー系）

建物を建てた建築会社のグループで、賃貸管理部門を担うタイプになります。皆さんも社名くらいは聞いたことあるような大手不動産会社が多く、築浅で設備の整った建物も多く、トラブル対応なども迅速で、管理人が常駐していて清掃・設備管理が非常に丁寧など、安心して暮らすことができる反面、入居者さんに対してルールが厳しかったり、賃料や管理料、更新料が割高な場合もあるようです。

上記と似たような仕組みで、サブリース（※）を行う不動産会社が大家さんから物件を丸ごと借り上げ、管理業務を行います。入居者さんにとってその会社が“実質的な大家”になるということです。

※サブリース：賃貸物件の管理会社（サブリース会社）が大家から物件をまとめて借り上げ、入居者に転貸（又貸し）する仕組みのこと。

③ 大家直営型（自主管理）

建物管理を大家さんが直接行うタイプです。設備の故障やトラブルなどの連絡も大家さんに直接することになります。

入居者さんにとって自主管理物件のメリットは、その大家さんの運営方法によって変わります。『ウチコミ！』には自主管理をしている大家さんが多くいるため分かるのですが、自主管理をしている大家さんは、建物を大事にしていて、人好きで、入居者さんのことを考え動く大家さんが多いように感じます。そのため、対応が早く、相談事や条件交渉がスムーズに進みます。小規模物件や、近隣に大家さんが住んでいる場合は“ご近所さんのおつきあい”のように近しい存在になることもあるようです。

このような物件を探したい場合にはぜひ『ウチコミ！』を覗いてみて下さいね！

内見時・契約前にできる“管理会社チェック”

管理会社を見極めるために、内見時・契約前にできる“管理会社チェック”を行いましょう！ここでは、建物や対応から分かる見極めポイントなどをまとめていきます。

【内見担当者に聞くべき質問】

・管理会社名を必ず聞く

　内見してくれた不動産会社が管理会社とは限りません。必ず管理会社を聞いておきましょう。

・設備の故障やトラブルがあった場合、どれくらいで対応してもらえるか？ 24時間サポートなど対応しているか？

　内見担当が仲介会社だった場合、管理会社に確認してもらうことになりますが、現地から携帯電話で確認することが多くあります。スムーズに管理会社から回答が得られているか、担当者の様子を伺いましょう。

【現地でチェックすべきポイント】

・ゴミ置き場の状態
・共用部（エントランス・階段・廊下など）の清掃具合
・駐輪場の整理整頓　など

ゴミ置き場や共用部が荒れていたり、清掃が行われていないようであれば、管理会社の手抜きがあるかもしれません。管理の甘さは入居者さんの生活環境に直結します。そして、そういった物件には、そういった環境でも不都合のない入居者さんが集まってしまうものです。

【内見前に管理会社を調べる】

現代の部屋探しはインターネットで行うことが多いと思いますが、問い合わせる建物の管理会社を事前に調べる方法もあります。

インターネットで『建物名（＋エリア）＋管理会社』で検索すれば一発で分かるときもありますし、建物の住所が分かれば、実際に行ってみて下さい。建物に管理の看板を掲示していることが多くあります。

管理会社が分かれば、仲介会社を挟まずに直接管理会社へ問い合わせることをおススメします。内見も管理会社が担当してくれれば、建物のことを含め、対応なども実際に見て感じることができるからです。仲介会社を挟まないことで、管理会社としてはその分費用が浮くため、初期費用がお得になるケースもあるそうですよ。

【契約書類の確認】

実際に申し込みをする場合、言われるがまま流れ作業で進んでしまうことが多いのではないでしょうか。しかし、契約書に印鑑を押すまではまだキャンセルできます。よく分からない費用を請求されていたり、契約書で不明点があれば必ず印鑑を押す前に確認しましょう。

どうしても納得できないことがあれば最悪キャンセルすることも考えるべきです。しかし、契約当日にキャンセルとなると、それまでにあなたが入居するための準備をしていた大家さんを始め関わる人たちが多くいるので、不安や不明点がある場合は早めに仲介会社や管理会社に確認しておくことが大切です。

入居後にできる“管理会社チェック”

入居してからは、設備の故障や近隣とのトラブル、更新など、管理会社とのやり取りが発生します。その中でも良し悪しは見抜けますので、下記を参考にしてみて下さい。

【良い管理会社の特徴】

・返信や対応が早い

トラブル対応や、問い合わせへのレスポンスが早い会社。修理依頼などに対して「対応予定日」をはっきり伝えてくれたり、入居者さんからの質問や不明点を放置しない。

・共用部分の清掃・管理が行き届いている

ゴミ置き場や共用部の清掃が定期的に行われており、階段や廊下の電球切れなども早急に対応してくれる。掲示板の張り紙も定期的に新しいものに変えられている。

・退去時の請求が適正

国土交通省のガイドラインに沿っている（原状回復費の根拠を示してくれる）。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」／国土交通省

【悪い管理会社の特徴】

・連絡が遅い・返信が来ない

問い合わせをしてから、数日経っても返事もなく、電話しても折り返しがない（担当が不在などで話すら聞いてもらえないケースも…）。設備が壊れても修理の手配が遅い。

さすがに管理会社も定休日や業者の手配がありますので、その日中に修理・交換とはいかないにしても、対応が悪い場合は数週間待たされることもあるようです。特に冬場の給湯器故障では、お湯が出ないため入居者さんにとっては生活に支障が出てしまいます。待ちきれず入居者さん自身で「業者を手配したい」といえば、「設備であっても入居者負担になります」など費用負担になるケースも……。

・建物が明らかに管理されていない

ゴミ置き場が散乱し、ポストはチラシだらけ、物件の周辺にタバコの吸い殻やゴミが落ちていて、植栽も荒れ放題…。ここまでひどい建物はあまりないかもしれませんが、実際に管理業務を怠るとこういった状況になり得ます。

・インターネットの口コミが悪い

現代的な話ですが、GoogleのレビューやSNSの評判が悪い会社は、「やはり…」ということが多いでしょう。しかし、かなり脚色して書かれていたり、会社ではなく担当者に対する苦情だったりすることもありますので鵜呑みにするのではなく、あくまでも参考程度で自分の目と耳で確認するようにしましょう。