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人気の南向きの部屋 快適さを分けるポイントとは? 東西南北・部屋の向きの特徴

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イメージ/©︎johancz・123RF

賃貸ではさほど気にする人が多くない部屋の「向き」

分譲マンションを買う人に比べ、同じ集合住宅でも賃貸マンションやアパートを借りる人に部屋の向きを気にする人は少ない。ちなみに部屋の「向き」とは、その部屋(住戸・物件)の最も大きな開口部が面する方角のことだ。一般的には、リビングの掃き出し窓が向いている方向がこれに当たる。その先はベランダやバルコニーだったり、テラスが広がっていたりするケースがほとんどのはずだ。

そうした「部屋の向き」について、気にする人が賃貸ではさほど多くない理由として、主には住人に学生や単身の社会人が多いことが挙げられる。「日中はほとんど部屋にいません。なので日当たりは特に気にせずここを選びました」――と、そんなところだろう。

とはいえ、そうしたなかにもこの「コロナ禍」にあって、リモートワークや自宅学習の機会が増え、あらためて自身の部屋の環境が気になり出した人も少なくないだろう。そこで、この記事では、東西南北それぞれの部屋の向きにはどんな特徴があるのか、メリット・デメリットを示しつつ皆さんにお伝えしたい。伝える内容の一番多い「南向き」を最後に、東・西・北・南の順で進めていこう。

東向きの部屋

東向きの部屋は、いわば「朝日の部屋」だ。早朝から太陽に照らされる一方、昼以降は日差しが入らない(南や西に窓がないとして)。よって、冬場は朝が比較的暖かく、午後は寒くなる。つまりは、早起きする人・朝型の人向きの部屋といえるだろう。

毎日朝早くに起きて出勤、夜まで帰宅しないのに加え、休日も外出が多いといった活動的な人に東向きの部屋は多分向いている。なお、その場合せっかくなので遮光性の高いカーテンはあえて選ばず、朝の光で目覚めるライフスタイルを採るのもよいかもしれない。

ただし、SOHOで働く人など、仕事に集中したい時間帯――例えば昼~夕方までが、ほぼ薄暗い中での照明下、といったケースもあるだろう。

西向きの部屋

西日の差し込む部屋といえば、昔から暑い部屋の代名詞だ。なぜか? そもそも1日の気温・室温が朝――昼――夜と変化していくなかで、晴れた日の平均を採れば午後2時~3時頃の数値がもっとも高い。そこにもってきて、西向きの部屋では、その時分窓からの日差しも照りつけやすい。

なので、西向きの部屋では夏は基本的に暑さが厳しくなるわけだ。対して、冬場は午後から夕方にかけて暖かく、暖房費が節約できる場合もある。また、夜に働く生活をしている人などにとっては、朝日が差し込まないため日が昇って以降の睡眠がとりやすい。さらには遅い時間に洗濯を始めても干したものが乾きやすいといったメリットもある。

北向きの部屋

日中を通して陽が当たらないため(東・西・南に窓がないとして)暗く、湿気も生じがち、加えて冬も寒くなりがちということで、暑い西向き以上に不人気といえるのが北向きの部屋だ。

一方、夏は涼しく過ごしやすい、逆光に晒されないため窓からの景色が美しい、加えて壁紙や本、家具などの日焼けも起こりにくいなど、メリットもないわけではない。窓や外壁などの断熱性能が高い建物であれば、エアコンの力も借りて快適に過ごせるケースもいまは少なくないのが北向きの部屋だ。

そのため、断熱・空調の完備された眺望のよいタワーマンションの高層階などでは、「直射日光の激しいほかの向きの部屋よりも住み心地は上」との声もよく挙がる。

南向きの部屋

日中を通して陽が差さない北向きの部屋に対し、日中を通して光に恵まれる「太陽が友達」ともいえる部屋が南向きの部屋だ。室内は長時間にわたって明るく、暖房費も浮かせやすい。湿気が溜まりにくく、洗濯物も乾きやすい。ベランダやバルコニーで花を植えたり、野菜を育てたりもしやすい、さらにはとりあえず気分も明るくなりそう――と、メリットが多いため南向きの部屋はとても人気が高い。そのことは多くの人が“不動産の常識”として知るところだ。

もっとも、南向きの部屋は、夏暑くなりやすいことも確かだ。そのうえで、実はこの南向きの部屋の暑さについては、それを左右する重要なポイントが存在する。何か? 答えは、窓の外側にかかる軒(のき)や庇(ひさし)の深さ・大きさだ。

「軒」や「庇」が夏の太陽を遮断

知ってのとおり、冬の太陽は高度が低く、光は南向きの部屋の窓を通り、低角度で部屋の奥まで差し込んで来る。その状態が日中長く続くことが、南向きの部屋が(晴れれば)冬でもポカポカと暖かさを保つ理由だ。

一方、夏の強烈な日差しは高い角度から降り注いで来る。これが窓を通して部屋の中を直撃すると、室内は猛烈に暑くなる。よって、注目すべきは窓の外だ。そこにある軒、あるいは庇の出が深く、広ければ、角度の高い夏の太陽光を遮りやすい。

そのため、軒や庇が深いか、浅いか、左右に広いか、狭いか、あるいはそもそもあるのか、ないのかは、南向きの部屋にとって快適性を左右する決め手に等しい要素となってくる。

ちなみに、「軒」や「庇」とはいうものの、集合住宅のリビングなどでは本来のそれらよりも、上階のベランダの床、つまりこちら側からはベランダの天井が、その役目を果たしてくれている場合が多いだろう。

そこで、賃貸マンションやアパートの南向きの部屋を内見で訪れた際は、忘れずベランダに出て見上げてみよう。“天井”はどのくらい外に張り出しているのか――? その“天井”の高さや、窓のガラスの下端の位置など、条件によって変わってはくるが、東京辺りの緯度の場合、1メートル程度も(天井=上階ベランダの床が)張り出していれば、効果は期待しやすくなる。

すなわち、真夏の日中の暑い時間帯での室内への日光の直撃が避けられたり、ある程度抑えられたりする状態となっていることが多いだろう。冬はポカポカ、夏は強い日差しにさほど苦しまずに済む環境を得られる可能性が高いはずだ。

なお、この判断は、厳密には現場の各部分のサイズや、太陽高度をきちんと測定したうえで得られるものだ。なので、上記はざっとの目安として覚えておくとよいだろう。

以上、東西南北にわたっての部屋の向きについて、その特徴、メリット・デメリットを記してみた。なお、十分ご承知と思うが、これらは窓の向こうに日差しを遮る大きな障害物が存在しないことを前提とした話だ。部屋は南向きでも、そのすぐ先に大きな建物が建っていて、当方が一日中その陰に入ってしまうのならば、深い軒にも庇にも、雨・雪をしのぐ以上の意味はない。 

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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