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昔からあった「道路族」の問題 なぜ深刻化?(1/2ページ)

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文/朝倉継道 イメージ/©︎jedimaster・123RF

近隣トラブルの原因 「道路族」

○○族――古くは1950年代の享楽的な若者を指す「太陽族」や、80年代に原宿を席巻したダンスムーブメントの「竹の子族」、身近なところでは「暴走族」といったように、族がつく言葉にはさまざまなものがある。

そして最近よく使われるワードに「道路族」というものがある。

一昔前までは、この言葉は政治の話題でよく耳にする言葉であった。いわゆる「族議員」の一つとして、道路族という俗称が存在したのである。主に「道路行政」に精通した国会議員の一団を指して、若干のひそみを加えつつ、彼らを呼ぶときに使ったものだ。

一方、近年の「道路族」といえば、政治の話ではなく、地域の抱える問題としての道路族となる。この場合の道路族とは、住宅地などの路上で、日常的に、長い時間にわたって遊ぶ子どもや、その親たちのことをいう。そしてこれらが騒音源として、さらには住民間トラブルの原因として各地で問題となっている。

道路族 クローズアップされたのは今春から

この道路族、以前に増して大きくクローズアップされるようになったのは、今年の春頃からだ。その要因の一つに新型コロナウイルスが挙げられる。いわゆる“コロナ休校”によって行き場を失った子どもたちが、路上にどっと増えた。それとともに、道で遊ぶわが子を見守ろうと、親御も外に出てくるように。すると、井戸端会議が自然にそこで開かれ、ついつい話に夢中になり、「子どもの叫び声に大人の話し声、笑い声。うるさくてノイローゼになる」と、悩む近隣住人を大いに増やした格好だ。

「Googleトレンド」というサイトがある。これはGoogleで検索される検索ワードの増減をグラフと数値で確認することができる。

そこで、この「道路族」をチェックすると、今年の3月を迎えるや、はっきりと増加トレンドに乗り始めている。その後、4月に入ると一気にグラフが伸び、5月のゴールデンウィーク頃には、検索数レベルが100を示すほどのピークに達している(相対的に他のワードを圧倒している状態)。その動きは、まさに「コロナ」の拡大と軌を一にする。

次いで、6月7月と、数値はやや落ちていくものの、道路族という言葉は、この間、速度をグンと増すかたちで世間に広がっていった。そのため、グラフは8月に入っても、もはや3月以前のようなレベルに下がることがない。道路族は、今年前半の国内で、もっともポピュラリティを獲得したであろう、要注目ワードのひとつとなっているのだ。

道路族による被害や迷惑といわれるものは、子どもの歓声や親の話し声などの「音」だけにとどまらない。よくいわれるのが、ボールを追って子どもが他人の家の庭やカースペースに入り込んでくるなどの事例だ。花壇を踏み荒らされる、クルマを傷つけられるなどの物理的損害が、怒りの対象として挙げられている。

また、ゴミ問題もある。スナック菓子の袋など、ゴミを敷地内に放置されるといった例もよく聞かれる。

ついには、それらに悩んだ挙句、「近所で子どもが騒ぎそうな日は家を逃げ出して実家に避難する」「毎日耳栓をしてしのぐ」「少しでも音から離れた部屋に籠る」と、いった人が現れたりもしている。

さらには、「マイホームを手放して引っ越すことを検討している」「訴訟の準備をしている」「すでにそうした」、そんな人もいると伝えられるほど、道路族はあちらこちらで問題化しているのだ。

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