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低金利時代の賢い借り方・返し方

住宅ローンは「元利均等返済」がダンゼンおすすめです

牧野寿和牧野寿和

2016/08/09

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「元利均等返済」とはどんな返済方法なのか

住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。それぞれ、どんな返済方法なのか確認していきましょう。

「元利均等返済」は、毎月の返済額を一定にして、返済額から利息を引いた金額を元金として返済していく方法です。

返済当初は借入金の残高が多いため、返済額に占める利息の割合が高くなりますが、年数を経過するごとにその割合は減っていき、元金に充当される割合が増えていきます。

「元利均等返済」は、返済額が一定のため返済計画が立てやすく、「元金均等返済」と比較すると、返済開始当初の返済額を抑えることができます。しかし、最初のうちは元金がなかなか減らないため、総返済額は「元金均等返済」の場合よりも多くなります。

「元金均等返済」は当初の返済額が大きい

一方、「元金均等返済」は、元金の支払い額を毎月一定に設定し、そこにその時点での元金残高に対する利息を加えて返済していく方法です。

そのため、返済当初の返済額は「元利均等返済」と比較すると多くなります。ですが、元金が減っていくのが早いため、「元利均等返済」よりも総返済額は少なくなります。また、一回の返済額は、返済が進むにつれて徐々に少なくなっていきます。

民間ローンでは、「元利均等返済」が一般的です。フラット35では、申込者の都合に合わせて、いずれかを選べるようになっています。しかし、フラット35に申し込むためには、年間の返済負担率が年収の30〜35%以下という条件がありますから、同じ融資額を希望する場合でも「元金均等返済」を選ぶには、より多くの年収が必要になります。

返済負担率に余裕がない場合は、当初の返済金額が少なくなる「元利均等返済」を選んだほうが、融資額を増やすことができます。

「元利均等返済」と「元金均等返済」、どちらがおすすめ?


(図表1)「元利均等返済」と「元金均等返済」の差は?

「元利均等返済」と「元金均等返済」のどちらを選ぶかは、それぞれのライフプランやライフステージ、利用する金利タイプなどにより検討していく必要があります。

 とはいえ、「元利均等返済」と「元金均等返済」では返済額のどれくらいの差が生じるのか気になるところかと思います。そこで、図表1に「融資額3,000万円、金利2.5%、返済期間35年(ボーナス払いなし)」で借りた場合の返済額をまとめました。

総返済額の差は約188万円。これは金利2.5%として計算した金額なので、現在の金利水準(2016年8月4日現在、フラット35を返済期間30年で借りた場合、金利は1%を切っています)であれば、この差はもっと小さくなっています。この金額をどう考えるかは人それぞれですが、私としては総返済額の差にとらわれることなく、「元利均等返済」をおすすめしたいところです。

というのも、これだけの低金利時代では、総返済額の差はそれほど大きくなりません。それよりも、月々の返済額を一定に、かつ、できるだけ低く抑えることのほうがメリットは大きいといえるからです。

変動金利型を選んだ場合は…

最後にもうひとつ、「元利均等返済」と「元金均等返済」の違いについてご説明しておきましょう。それは、変動金利型で借りた場合の金利の見直しについてです。もちろん、金利タイプでおすすめしたいのは全期間固定型なのですが、ふたつの返済方法の違いということでお話ししておきます。

変動金利型の住宅ローンの多くは半年ごとに金利が見直されますが、「元利均等返済」を選んでいる場合は、金利が変わっても、すぐに返済額まで変わるわけではありません。返済額の見直しは通常5年ごとのタイミングで行なわれます(その時点の金利や残高等に応じて新たな返済額が設定されます)。

ただし、何も変わらないのかといえばそうではなく、返済額の変更が行なわれるまでは、返済額は同じままで金利の上下に合わせて、利息と元金に充当される金額の割合が変わります。

さらにこの5年ルールによって、返済額がアップする場合は、その幅については多くの金融機関では125%以内と上限を定めています。返済額が急激に上昇するリスクを軽減するためのルールですが、金利の上昇が急激な場合、元金の返済が進まず、返済期限内に返しきれなくなる恐れもあります。その場合、最終返済日に一括返済することが原則となっているので注意が必要です。

一方、「元金均等返済」を選んでいる場合は、これらのルールは適用されず、金利が見直されるたびに返済額が見直されます。また「元利均等返済」を選んでいても、ネット銀行などではこうしたルールを採用していないところもあるので確認が必要です。

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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