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コロナ禍を乗り越え、地価がふたたびキタ? 「住高商低」の地価LOOKレポート(2/3ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/06/15

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全国唯一、横ばいから下落に転じた六本木

ところで、さきほど記したとおり、今回、住宅系地区で、変動率区分が下方に移行した地区は0だ。

「変動率区分が下方に移行する」とは、たとえば、前回横ばいとされていたものが、今回下落に転じたといったケースを指す。

一方、商業系地区での「変動率区分が下方に移行した地区」は2つある。具体的には次の2地区となっている。

・仙台市青葉区中央1丁目
・東京都港区六本木

このうち、仙台市青葉区中央1丁目は、前回「0%超3%未満」の上昇地区に区分されていたものが、今回「横ばい」地区となった。すなわち、上昇の勢いが鈍り、足踏みしているが、下落に転じたわけではない。

対して、港区六本木は、前回の「横ばい」から、今回は「0%超3%未満」の下落地区へと下降した。すなわち、地価LOOKレポート対象全国100地区の中で、今回唯一の「下落に転じた地区」ということになる。

そこで、この港区六本木が仲間入り(?)した、東京都23区内の下落地区の顔ぶれを挙げてみよう。住宅系・商業系合わせた対象24地区中、以下の9地区が、今回、下落グループとなっている。

(下落幅3%以上6%未満)
 新宿区 歌舞伎町

(下落幅0%超3%未満)
 中央区 銀座中央
 港区 六本木
 新宿区 新宿三丁目
 渋谷区 渋谷
 豊島区 池袋東口
 台東区 上野
 港区 品川駅東口周辺
 江東区 青海・台場

なお、以上9地区はすべて商業系地区だ。ちなみに、東京都23区内に今回上昇地区は3地区あるが、それらはいずれも住宅系地区となっている。(千代田区番町、港区南青山、世田谷区二子玉川)

これは、さきほどの、コロナ・ショックに関わっての地価動向「住高商低」の様子が、よく表れている結果といえるだろう。

コロナ禍3大要素+オフィス市況=4大禍

そこで、上記、東京都23区内における下落地区だが、下落幅がもっとも大きい新宿区歌舞伎町を筆頭に、やはりいずれも、

・外出自粛
・飲食店等の営業時間短縮
・インバウンド需要の喪失

コロナ禍3大要素の影響が色濃い顔ぶれとなっている。

また、それに加えて、六本木、渋谷といった辺りについては、オフィス需要の動向が影を差す様子も感じとれるといってよいだろう。

すなわち、両地区とも、テレワークに移行しやすい業態の企業が集積しているエリアのため、現下の状況においてはオフィスに余剰床が発生しやすい。

解約や移転、それにともなう後継テナント確保の難航などが、オフィス賃料収入の頭を押さえ、ひいては地価への重しとなっていることが推測される。

なお、東京都23区内の商業系地区における「横ばい」グループ(下落は免れている組)の面々は以下のとおりだ。ざっとの印象だが、下落グループとのいわゆるキャラの違いが見てとれる。

千代田区 丸の内
千代田区 有楽町・日比谷
中央区 八重洲
中央区 日本橋
港区 赤坂
港区 虎ノ門
渋谷区 表参道
中野区 中野駅周辺

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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