「フラット35S」と「フラット35」は何が違うのか
小島淳一
2016/01/04
フラット35よりも金利が低い
フラット35Sは、性能検査をクリアした住宅が対象の住宅ローンです。5年または10年の間、フラット35よりも低い金利が適用されるので、返済額を減らすことができます。ただし、5〜10年の適用期間が終わった後は、通常のフラット35と同じ金利になります。ここでは、フラット35Sについて紹介しましょう。
利用するための条件は、まずフラット35の条件を満たしていることです。それを前提としてさらに、強い地震に耐えられる「耐震性」、高水準の断熱性を実現した「省エネルギー性」、障がいのある人やお年寄りが過ごしやすい「バリアフリー性」、長年良好な状態で住むことができて容易な間取りの変更も考慮された「耐久性、可変性」といった4つの要素のうち、ひとつ以上を満たしていることです。なお、中古住宅を購入する場合は、中古住宅特有の基準を選択することもできます。
フラット35Sの融資限度額もフラット35と同様に、建築費または物件価格が上限となります。
フラット35Sを利用するためには、まずフラット35Sの基準を満たしていることを証明する必要があります。検査機関に物件を検査してもらい、適合証明書を交付してもらいましょう。
フラット35Sの2つのプラン
フラット35Sの金利が引き下げられる期間については、2つのプランがあります。金利Aプランでは初めの10年間の金利引き下げ幅が年0.3パーセントから年0.6パーセントとなり、金利Bプランでは当初の5年間の金利引き下げ幅が年0.3パーセントから年0.6パーセントとなる対象になります。技術基準をどこまでクリアしたかによって、どちらのプランが適用されるのかが決定されます。
金利Aプランのほうが低金利の期間が長く、お得であるといえますが、その分基準レベルも高くなっています。2012年の12月4日からは、金利Aプランの「省エネルギー性」の基準に「認定低炭素住宅」が追加され、融資を受ける対象になるための条件が増えました。
住宅の技術基準レベルは、高いものから順に「フラット35S 金利Aプラン」、「フラット35S 金利Bプラン」、「フラット35」、「建築基準法」となります。
金利引き下げにはフラット35Sの場合、税金が使われています。住宅金融支援機構では、耐震性や耐久性に優れた高品質な住宅を増やそうとしています。こうした優良な住宅を購入しようという人のために、国からの支援制度として金利引き下げが行なわれているということです。
利用を考える際はここに注意しよう
ちなみに、フラット35は借り換えの際にも利用できますが、フラット35Sは借り換え時には利用できません。
フラット35、フラット35Sはその時の政策の影響を受けます。国の政策として期間限定で行なわれているものなので、期限が来れば終了しますし、この政策のための予算がなくなれば申し込み受付も締め切られます。
申し込み時期などによって内容や引き下げ幅も変わるので、住宅金融支援機構のホームページで制度について調べておき、不動産会社にも最新の要件を聞きましょう。
この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、相続診断士
1970年生まれ。神奈川県海老名市出身。 早稲田大学商学部を卒業後、93年、「海賊とよばれた男」の出光興産株式会社に入社。特約店経営改善計画からマーケティング・SS現場の増客増販まで一連のガソリンスタンド事業に携わる。福島県山間部での集客イベントでは3日間でガソリン10万ℓを売上、全国優秀店表彰へ導く。 その後、2000年にヘッドハンティングされソニー生命に入社。社内表彰やMDRTに連続入会、営業職最高位エグゼクティブライフプランナーに認定される。 現在は、金融機関に属さない独立系FP会社:ライフワーク株式会社の代表として、リスクマネジメントコンサルティングを中心に、各種セミナー講師として活躍中。