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冬休みに子どもを連れて別居しようと考えているママへ〜共同養育コンサルタントしばはし 聡子コラム〜

しばはし聡子しばはし聡子

2018/12/12

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イメージ/123RF

夫との生活がもう無理…。話し合いをしようとしても高圧的に言い返される、私の意見をまったく聞いてくれない、感謝の言葉もまったくない、常に私を下に見るような口調、もうモラハラに耐えられない!など、そんな思いが限界に達し冬休み中に子連れで家を出ようと考えているママさん、もし決行しようと思っている方がいたらちょっと立ち止まってみてください。

そのあとの子育て、どのようにしていきますか。別居のことをお子さんにきちんと話していますか。祖父母に見てもらえば、物理的に困ることはないかもしれませんし、母親にとっては無事引越しが済めばまずは一安心ではありますが、突然環境が変わる子どもの気持ちは?

■突然の別居を選択する妻のきもち

夫が意向を聞いてくれない、怖くて意見が言えない、そのような状態が続き、夫と一緒に生活するのは精神的にもう限界!別居が頭をよぎり出すことも。行政や弁護士に相談すると子どもを連れて別居をした方がいいと言われ、夫が留守の間に別居しようと決断するケースも少なくありません。

もちろん、身体的暴力などの場合は適切に保護されることが必要ですが、そうではない場合、子どもがいる以上は、その後の父子の関係も視野に入れておかなくてはいけないものの、まずは家を出なくてはと必死になってしまうのも現状です。

■子どものきもち

子どもに事情を伝えず突然引っ越しに連れていくケースもありますが、突然引越しをすることになる子どもはどのような思いをするのでしょうか。

冬休みであれば、転校や転園手続きにも時間的余裕があり、祖父母の協力も得やすい。また、子どもにとっても心機一転しやすいだろうと、子どものことを思って長期休暇に別居を始めることもありますが、子どもにとっては突然の出来事。引越しについてきたとしても、本心で同意しているとは限りません。

◆突然、環境が変わってしまう

突然の引越しをする場合、余儀なく転校させられて生活環境や友人関係が一変します。そしてなにより、突然父親と離れ離れに。物理的な環境が変わるどころか精神的にもダメージははかりしれません。

◆子どもと向き合う

「いずれ大きくなったら伝える。子どもは私と同じ思いでいるし私が育てる。」と思いながら別居を始めようとしているのであれば、必ず子どもの心と向き合う時間をつくってください。母親に逆らうことができず、ないしは母親が悲しむ姿を見たくない、怒られたくないから母親と同じ思いでいるかもしれません。

子どもは空気を読み、本心を口に出せないまま小さな胸をひとりで痛めています。つらいときに一番相談したい存在である母親が一番相談できない存在になってしまっているのです。子どもがわかるように事情を事前に説明し、子どもが質問しやすい環境を整えることが母親の役割となります。

◆子どもの負担を最低限に

子どもにも事前に話した上で別居を選択した後、子どもと父親の関係はどのようにするのがよいのでしょう。

子どもは突然友達と会えなくなるだけではなく、父親とも離れてしまいます。子どもにとっては唯一無二の父親であることは変わりません。父親と変わらず会い続けられる環境を整えてあげることも考えておくことが重要です。

■夫と話し合いの場を

これからどのように子育てをしていくのか、親同士どのように関わっていくのかをきちんと話す場をすることが大切です。夫と関わりたくないがゆえに、弁護士に一任して一切話し合いに応じないという気持ちになりがちですが、子どもがいる以上、別居しても離婚しても親同士の関係は続きます。

調停など司法の場では、書面のやりとりだけで気持ちのやりとりは難しく時間も要するため関係がさらに悪化しがち。両者で直接話し合いが難しい場合は、専門家を仲介にして話し合いを行うADR(裁判外紛争解決手続)という方法もあります。

夫側は妻が話し合いをしやすくなるように妻の気持ちを聞く努力をすること、そして妻側は夫婦問題と親子関係は切り分けていくこと、親同士の関係再構築に向けてそれぞれの努力が大切ですね。

■さいごに

夫婦関係が悪化して、別居や離婚をすることはやむを得ないことです。ただ、一緒に暮らすことができなくなるのはあくまで親の都合、子どもには関係ありません。

子どもが理解できるようにきちんと説明をして、生活環境が変わることへの不安を取り除いてあげること、そして、父親とは変わらず会える環境を整えてあげることが、子連れ別居するにあたっての親の心構えとして大切ですね。

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この記事を書いた人

一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント

1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️

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