住宅購入後のリフォームとメンテナンスの費用・タイミングは? 外壁、キッチン、ユニットバスなどすべて
牧野寿和
2017/04/13
© Tsuboya – Fotolia
住宅は購入してからもリフォームや維持・管理の費用がかかる
住宅は、購入した後にもお金がかかります。そのひとつは固定資産税などの税金です。そして、もうひとつ、忘れてはいけないのが住宅のリフォームや維持・管理にかかるお金です。
どんな建物も時間の経過とともに傷みが出てくるものです。建物自体もそうですし、キッチンやバスルームなど毎日使う設備も必ず経年劣化します。
マンションの場合は、ある程度、年数が経つと必要になるリフォーム費用のほか、修繕積立金や管理費が毎月発生します。また、一戸建ての場合、修繕積立金や管理費は発生しませんが、自分でメンテナンスやリフォームの計画を立てて、必要な資金を貯蓄していかなければなりません。
そこで、ここでは住宅のメンテナンスとリフォームに備えるため、メンテナンスやリフォームが必要になるだいたいの時期とその内容、さらにどれくらいの費用がかかるのか、その目安について見ていきましょう。
キッチンやバスルームなど設備のメンテナンスとリフォーム
まずは、マンションと一戸建てのどちらにもかかってくる、室内・設備のメンテナンスとリフォームについてです。
室内であれば、クロスの張り替えやフローリングの補修が必要になりますし、年数が経てば、ドアの交換やフローリングの張り替えも必要になります。また、キッチンやバスルーム、トイレなどの設備は、消耗品である部品の交換や故障したときの修理が必要ですし、さらに年数が経てば設備本体を交換する必要が出てきます。
図表1に、5年、10年、15〜20年ごとに必要になる、キッチンやトイレ、バスルームといった設備のメンテナンス・リフォーム費用をまとめてみました。
(図表1)住宅設備のメンテナンス時期と費用の目安(マンション・一戸建て)
新築から5年もすると各部位の点検は必須ですし、10年もすると本体の点検・交換で5万〜10万円かかることもあります。
たとえばキッチンの場合、レンジフード、IHコンロなどの機器本体を取り換えるとなると20万〜120万円がかかりますし、キッチン自体を交換してリフォームすると100万〜300万円と高額になることもあります。
なかには自分でできる消耗品交換や、日頃から手入れをするだけで長持ちするところもあります。たとえば、フローリングの部分補修は一カ所5000〜3万円程度ですし、多少の傷はガマンできる場合もあるでしょう。
フローリングや畳、クロスといった室内のリフォームについては、図表2にまとめましたのでご覧ください。
(図表2)室内のメンテナンス時期と費用の目安(マンション・一戸建て)
なお、特に注意したいのは、トイレや浴室、給湯器など、故障すると生活に支障をきたしてしまうような箇所のメンテナンスとリフォームです。たとえば、トイレは5年目を目安に部品の点検・補修・交換を行なうと2万〜8万円がかかりますし、15〜20年目を目安に便器本体を交換すると20〜30万円がかかってきます。
こうした大きなお金がかかるリフォームについては、その費用をあらかじめ貯蓄しておくことをおすすめします。
一戸建てのメンテナンスとリフォームはどうする?
(図表3)一戸建てのメンテナンス時期と費用の目安
次に、一戸建てのメンテナンスとリフォームについて見てみましょう。
通常、新築住宅は築後5年ごとに細かな補修が必要になってきます。床下のシロアリを防ぐための防蟻処理や、建物外側の木部と鉄部の塗り替えなどのメンテナンスとリフォームを行なうのが一般的です(図表3)。
防蟻処理は薬剤の持続効果が5年程度ですし、建物外側と木部と鉄部は腐食が早いため定期的な塗り替えが必要になるからです。これらのメンテナンスを先送りにすると、腐食が早く進行してしまい、かえって費用が高額になりかねません。
シロアリ駆除費用の相場は、1坪当たり9000〜1万円程度、12坪程度でおよそ10万〜12万円ですが、そのほかにオプション工事が必要になり、高額な費用がかかる場合もあります。また、外壁は張り替えると200万〜300万円と幅があり、古い外壁を張り替える場合はさらに高額になることがあります。
できるだけ定期的なメンテナンスを行なうことで、予定外の高額な費用がかかることのないようにしたいところです。
なお、床下や屋根など、自分自身で調べるのがむずかしい場所は、だいたい5年ごとを目安に業者に点検を依頼し、メンテナンスやリフォームの必要があれば適切な処理を行なってもらうことが大切です。
見えない場所で腐食が進んでいたり、カビが繁殖していたりすることに気づかず、大がかりな補修工事が必要になってしまうこともありますので、定期的な点検を行なうことをおすすめします。
建て替えした場合にかかる費用は?
築年数が古くなり、傷みが目立ってきた場合、家族構成や生活スタイルが変わり、間取りの大幅な変更をしたくなった場合などには、建て替えという選択もあるでしょう。建て替えをする場合、一般的な費用の目安は坪単価50〜80万円台。30坪(約100m2)で坪単価60万円であれば1800万円くらいになります。
忘れてはならないのが建物の解体工事にかかる費用です。坪単価は地域や延床面積によって差がありますが、3.5万〜4.5万円くらいが一般的です。30坪程度の家なら約100万円が目安です。詳しくは、工務店や建築士などに相談してみてください。
定期的な点検、リフォームで住宅の寿命が伸びる
住宅は状況に応じてお金をかけてメンテナンスとリフォームをしていくことで、住みやすくなるとともに、建物の寿命を伸ばすことができます。
また、住宅の寿命に与える影響は、普段は目につかない箇所ほど大きくなります。傷みが進むと取り返しがつかなくなることにもなりかねません。私のお客さまのなかには、15万円の定期メンテナンス代を惜しんだばかりに、500万円の出費が必要になってしまい、慌てて相談に来られた方もいらっしゃいます。
マンションの場合、建物や共有部の設備については、管理組合が修繕を行ないますが、専用部分のリフォームや設備のメンテナンスは自分で計画的に行わなければなりません。
また、一戸建ての場合、室内やキッチン、バスルームなどのリフォームはもちろん、マンションとは違って建物自体についても個人で維持管理していかなければなりません。
マンションであろうと一戸建てであろうと、定期的な点検と修繕、リフォームなどを行なうとともに、その費用を貯蓄しておくことが大切です。
この記事を書いた人
CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。