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「マンダリンオリエンタル マラケシュ」の幻想的な美しさ

世界が夢中! 「ジル&ボワシエ」が手がける至高の建築デザイン

パップ英子パップ英子

2016/07/03

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彗星のごとく現れ、世界の注目を集める「ジル&ボワシエ」


出所:Baccarat Hotel( https://www.baccarathotels.com/press/images )

昨年、アメリカNYでラグジュアリー・ブランド「バカラ」が創業した最高級ホテル。前回( http://sumai-u.com/?p=5581 )のコラムでは、世界中のセレブリティの定宿となりつつある、このバカラホテルのインテリアを中心にお伝えしましたが、いかがでしたか? NYのモダンな雰囲気とパリのエスプリが薫るような、最高級ホテルにふさわしいデザインでしたね。

豪華なシャンデリアやフロアライト、そして同ブランド最大の魅力であるテーブルウェア。ホテルの隅々にバカラの逸品を配して贅を尽くしたインテリア。そんな極上のホスピタリティ空間をデザインしたのが、現代の建築・インテリア界に彗星のごとく現れ、世界で活躍するフランス人デザイナーカップル、「Gilles & Boissier (ジル&ボワシエ)」なのです。

なぜ、彼らのデザインは常に世界のインテリアファンから注目の的なのでしょうか? 今回は、「ジル&ボワシエ」の底知れぬ才能が感じられる、特筆すべき建築デザインをピックアップ。その人気の秘密に迫りたいと思います。

ふたりは公私にわたる良きパートナー


(写真左)ドロテ・ボワシエ (右)パトリック・ジル / 出所:Gilles & Boissier. Photo (C) Patrick Swirc via designboom.(http://www.yellowtrace.com.au/gilles-boissier/)

フランスのインテリア・建築デザインの分野で、世界的に最も著名な人物といえば、「Philippe Starck(フィリップ・スタルク)」(*1)や、「Christian Liaigre(クリスチャン・リエーグル)」(*2)といったデザイナーがあげられます。

もし、彼らの名前や作品をご存知でしたら、かなりのインテリア通ですね。そんなフランスを代表するデザイナーたちにそれぞれ師事したのが、「ジル&ボワシエ」です。

「ジル&ボワシエ」の「ジル」こと、インテリア兼工業デザイナーの「Patrick Gilles(パトリック・ジル)」。彼はデザイン学校エコール・カモンドで学んだ後、クリスチャン・リエーグル(*1)と一緒に仕事をしていました。

もう一方のボアシエとは、「Dorothée Boissier(ドロテ・ボワシエ)」のこと。ボワシエもジルと同じくインテリア・デザイナーで、ふたりは公私にわたる良きパートナーなのです。

パリにある名門の美術学校ESAGペニンゲン(*2)で学んだドロテ・ボワシエ。大学卒業後に彼女は、フィリック・スタルク(*3)のエージェンシーに参画することになりますが、それ以前の約3年間を、クリスチャン・リエーグルのプロジェクトマネージャーとして過ごしました。

仕事によって出逢ったふたりはプライベートでもパートナーとなり、2004年から共に「ジル&ボワシエ」という、自分たちのエージェンシーを立ち上げることになったのです。

(*1)クリスチャン・リエーグル
手工芸をベースとした家具を中心に制作する、フランスで最も著名なインテリアデザイナー。特に木製のNagatoスツールは、フレンチ・デザインの伝統的なスタイルとして有名。
(*2)ESAG ペニンゲン
フランスの首都パリにあり、グラフィックアートとインテリア、建築技術を修得できる名門の高等専門学校。
(*3)フィリップ・スタルク
1949年、パリ生まれ。パリ装飾美術学校で学んだ後、ピエール・カルダンのスタジオでアートディレクターを務め、80年にはスタルク・プロダクツを設立し、意欲的なデザイン活動を始める。82年、エリゼ宮内のフランス大統領専用室を設計、また、多くのレストラン、カフェからホテルの内装も手がける。インテリア、建築、工業デザインに至るまで幅広く活躍し、そのどれもが独創的なスタルクスタイルを表現している。

「ジル&ボワシエ」のセンスが冴える、「モンクレール銀座」


出所:http://www.fashion-press.net/news/19690

バカラホテルやバカラショップのインテリアを手がける「ジル&ボワシエ」ですが、彼らはホテルやブティックをはじめ、ホテルのスパ空間、さらには船までデザインしています。

そんな彼らのデザインを、実は日本でも直に見ることができるのです。その場所は、2015年10月に銀座にオープンした、ファッションブランド「MONCLER(モンクレール)」の旗艦店です。

画像は日本国内の最大店舗となる、モンクレール銀座店のオープン当初の外観です。エントランスはブラックとゴールドを基調とした、とてもラグジュアリーな空間にデザインされています。

彼らは銀座店以外にも、モンクレール・パリ、ニューヨーク、イスタンブール、上海、ソウル等々、世界各国に点在する同ブランドショップの建築デザインも数多く手がけています。

すべてが幻想的な美しさをもつ「マンダリンオリエンタル・マラケシュ」


出所:http://www.mandarinoriental.com/marrakech/hotel-photo-gallery/

「ジル&ボワシエ」がインテリアデザインを手がけたホテルで最も有名なのは、前回ご紹介したNYのバカラホテルであることは、おわかりいただけたと思います。ですが、彼らが手がけた高級ホテルは、バカラだけではありません。

彼らが手がけたホテル・デザインで、外観・内装ともにご注目いただきたいのが、「マンダリンオリエンタル・マラケシュ」です。

アフリカのモロッコ中央部、サハラ砂漠西方に位置するマラケシュは、その旧市街(メディナ)が世界遺産に指定されるほど美しい都市。そんな人気の観光都市マラケシュに2015年10月オープンしたのが、「マンダリンオリエンタル マラケシュ」です。このラグジュアリーなホテル&リゾートの建築デザインと室内インテリアもまた、「ジル&ボワシエ」が手がけているのです。

写真は、日暮れ時に撮影された「マンダリンオリエンタル マラケシュ」の外観。まさにアラビアンナイトを彷彿とさせる幻想的な光景で、とても心が癒されますね。

自然と調和した開放感あふれるプール・ガーデン


出所:http://www.mandarinoriental.com/marrakech/hotel-photo-gallery/

こちらは澄み渡る青い空、木々の緑に囲まれた、開放感あふれるプール・ガーデン。手前にある丸テーブルや椅子は籐編みのアジアンテイストなインテリアで統一され、自然と調和したデザインがとても素敵です。

バカラのような最高級シティホテルの設計も得意としながら、マンダリンオリエンタル マラケシュのように、壮大な自然の風景を最大限に生かしたリゾート空間もデザインする。「ジル&ボワシエ」はいかなる場所や空間にも愛着を持ち、パズルを組み合わせるような感覚で、ホテルの敷地全体をデザインしたのでしょうね。

このような野外プールだけでなく屋内にも温水プールがあり、スパ施設にはゴージャスなトルコ式風呂も完備しているそうですよ。

ゲストたちに人気の「マンダリン・プール・ヴィラ」


出所:http://www.mandarinoriental.com/marrakech/hotel-photo-gallery/

「ジル&ボワシエ」が手がけたこのリゾートホテルのなかで、ゲストたちに最も人気があるのは、この「マンダリン・プール・ヴィラ」。写真をご覧いただくとおわかりのように、モロッコ文化と彼ら自身が得意とするモダンなデザインが融合した、やはりとても幻想的な空間にデザインしていますね。

スパのなかではモロッコ文化の影響を受けたオリジナルのトリートメントを提供しているとのこと。世界遺産の美しい風景と調和する洗練されたインテリア空間の中、心身ともに癒される同ホテル自慢のスパ・メニューの数々。筆者もそのような至福のひとときを過ごしたいものです。

敷地内には約10万本のバラやブーゲンビリアが咲き誇る


出所:http://www.mandarinoriental.com/marrakech/hotel-photo-gallery/

「マンダリンオリエンタル マラケシュ」の敷地内には、実に約10万本ものバラやブーゲンビリアが咲き誇り、オリーブの木々の良い香りに包まれるのだとか。そんな心地よいガーデンで行うヨガは、とてもすがすがしい気分になれそうです。

約20万平方メートルもの広さを誇るホテルの庭園も、もちろん「ジル&ボワシエ」の設計で、そのガーデニングのセンスでも才能を見せつけています。彼らがすべてのデザインを手がけ、雄大なアトラス山脈の眺望をも楽しめる「マンダリンオリエンタル マラケッシュ」は、まさに楽園のようなホテルですね。

モロッコ産のナチュラルな風合いの素材が使われたゲストルーム


出所:http://www.mandarinoriental.com/marrakech/hotel-photo-gallery/

ゲストルームのインテリアは、マラケシュ=モロッコならではのベルベル文化や、スペイン風のアラビアンなデザインを多く取り入れているようですね。また、モロッコ産のナチュラルな風合いの素材をインテリア小物や外観にも多用しているので、とてもナチュラルで落ち着いた雰囲気。

ベッドサイドテーブルには、アラベスク模様が施されたモロッコランプが置かれ、その模様から優しく洩れる穏やかな光もエキゾチックです。一度、ベッドにもぐってしまったら、翌日のお昼近くまで熟睡しそうなほど、心地よい空間となっていますね。

現代建築、インテリアの分野でいま、世界から熱視線を集める注目のフランス人デザイナーカップル「ジル&ボワシエ」。今回は、モダンかつラグジュアリーなデザインに定評のある彼らが、大自然の美しさを生かし、いっそう幻想的にアレンジした南国のホテルの外観、インテリアを詳しくお伝えしました。

次回も、彼らの手がけた素晴らしいインテリアを特集します。本拠地パリにある大変アートなホテルをはじめ、さらには船の設計、最後は「ジル&ボワシエ」ふたりのプライベート空間もご紹介する予定です。

素敵なインテリア・コーディネートの数々は、きっと参考になるはず。次回もどうぞ、お楽しみに!

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この記事を書いた人

“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)

ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/

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