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築100年の歴史ある洋風建築もたった100円!

480坪の一戸建てがたったの1円!? 前代未聞の「1円不動産」

高橋 洋子高橋 洋子

2016/06/16

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築100年前後の歴史ある洋風建築が100円で売りに出された

地方の空き家が100円で手に入る時代

空き家のなかには、何十年も空き家になっていて、シロアリ被害にあっていたり、雨漏りをしたりしている場合があり、修繕費にお金がかかることから、買い手が見つからず、不動産屋さんも手の打ちようがないと困り果てていることがあります。

そうした不動産のもらい手を見つけるために、ホームページ上で空き家を紹介する『100円不動産』という斬新でユニークなネーミングのサービスが富山県で始まっています。

たとえば、写真のように、富山県内で明治時代に建てられたと考えられる、築100年前後の歴史ある洋風建築の空き家も 100円で売りに出されました。富山県議会の初代議長の家で、数寄屋様式が採り入れられ、茶室つきの風情のある家です。45年もの間、住み手がおらず、空き家になっていたのです。

築100年の洋館も築50年輪島の家も100円


100円で売られた石川県輪島市の一戸建て

もう1軒、実際に100円で売られたケースを紹介しましょう。

家は築50年、柱や梁は太く頑丈な木造一戸建てです。

輪島塗で知られる石川県輪島市の最寄り駅から、クルマで40分以上かかる場所にあります。コンビニやスーパーも近くにありません。

購入したのは、60代の男性。『100円不動産』を手がけるNPOのボランティア会員でした。家自体がとてもしっかりしたつくりで、改修したのはトイレと土間だけです。あとはNPOの仲間に手伝ってもらい、掃除をしたそうです。

購入した男性は富山市内に自宅があり、今回購入した家は、お子さんやお孫さんが遊びに来たりしたときのために活用しています。

1ヘクタールの田んぼつきの一戸建てが1円!


490坪、1ヘクタールの田んぼつきの家が「1円」

驚くべきは、100円不動産のなかには、1円の家もあることです。

実際に、築140年ほどの490坪ほどの大きな家が1円で売られました。それも、1ヘクタールほどの広さの田んぼつき。

ただし、雨漏りをしていたほか、何よりも田んぼがあるため購入するには農地法の許可が必要になり、誰でも買えるというわけではありませんでした。

農地法の許可をもらうためには、農業について知識があり、しっかり農地を管理できること、さらに、田んぼの世話ができる距離に住んでいることが条件になります。当初は、買い手がみつからず、不動産屋さんも「手におえない」状態でした。

そこで『100円不動産』では「1円」の不動産鑑定評価を行ない、1円でホームページに掲載しました。すると、近くの農園業の方から農園の社宅にしたいという問い合わせが入り、購入決定となったのです。

ほかにも、ユニークなケースでは、「竹林」が1円で売られた事例もあります。竹林を購入した人は、豚を放牧させて利用しています。竹林に生えている草や竹の子が豚のエサになるそうです。

『100円不動産』を手がける「NPO法人とやまホーム管理サービス」は、多くの建築士や不動産鑑定士、宅地建物取引士、内装業者や解体業者など技術者のボランティアで構成されています。メンバーで空き家の掃除や改修工事を行ない、空き家を使える状態にして売却。空き家や空き地の定期巡回サービスを手掛けています。

ちなみにいまどんな家が売られているのか、インターネットで見ることができます。興味を持たれた方はいますぐ、『100円不動産』をチェック!

 

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この記事を書いた人

暮らし研究所エメラルド・ホーム代表

暮らしのジャーナリスト・ファイナンシャルプランナー 1979年岐阜県生まれ。 情報誌の編集、フリーライターを経て現職。空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、お得なマネー情報の研究に目覚め、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。講演・執筆・FP相談を通じて、家探しの基本から中古住宅の価値向上とリノベーションの魅力を伝えている。空き家活用に関するセミナーは3年でのべ2000名が参加し、「わかりやすくて、おもしろい。勇気がもらえる」と幅広い世代から好評を得ている。著書に『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)、『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)など。

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