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ぬるくなった食材と汗まみれの家族を見て誓ったこと

止めるのは速い、でも復旧はとてつもなく遅いベトナムの電気事情

藤谷圭司藤谷圭司

2016/06/06

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急成長中のベトナムは慢性的な電気不足状態

「生活コストが安い」というイメージの東南アジア生活ですが、意外と高いのが電気代です。急成長中のべトナムは慢性的な電気不足状態で、停電も頻発しますし、電気代は年々値上がりしています。最近も基本料金が7.5パーセントも値上げされました。

しかも、ここホーチミンはほぼ年中30度以上の常夏地域なので、家にいる限りエアコンはつけっぱなし。エアコン1台をほぼフル稼働で、わが家の月々の支払いは大体100〜150万ドン(4900〜7350円)ほどです。

ベトナムの平均的なオフィスワーカーの平均月収が500ドルほどと考えると、この金額はベトナムの一般家庭にとって、ものすご〜い高額といえます(ちなみにベトナム人のオフィスワーカーは、オフィスの電気代は会社もちなので、エアコンの設定温度を16度位にして、長袖を着て寒さそのものを楽しんでいます♪)。

どんなに暑くともエアコンは使わない!


少しでも風を多く取り込みながらセキュリティーを確保するための扉。頑丈な網戸のようなもの!?

団地のほかの家族を見ると、どんなに暑くともエアコンは使わない!(いちおうエアコン自体は持っている家庭が増えています)という心意気を感じます。
間違って隣の家の電気代のレシートが入っていることが結構あるので、確認したら、ウチの10分の1(490〜735円)でした。

まず、ぬるーい風でも逃すまいと窓は全開。そして風を通すために玄関のドアも全開。念のため防犯用の鉄格子をつけている家も多いですが、みんなびっくりするぐらいプライバシーゼロ状態です。

三角座りで麺を食べているおじいさんや、寝転がってスマホをいじくっているお姉さんと目が合っても相手はまったく動じません。日本で聞くような犯罪も起こりません。廊下から丸見えでも、ひとり部屋でリラックスしているかのような開放感満点です。よく舞台俳優さんが、演技指導で、「部屋でリラックスした状態で、片方の壁を全部とって観客がいるようなイメージで演じろ!」といいますが、まさにそのまんまです。もしかしたらみんな演技とか上手かもしれません。。

虫も多いのですが、窓に網戸をしている家も少ないです。蚊が入って来ないか気になるところですが、「ベトナム人はハーブ(香草)をいっぱい食べているから蚊にさされない!」と力説しているベトナム人がいました。でも、蚊に刺されまくりの子どもも見かけるので、かなり信憑性は薄いです。とにかくクーラーを使わずにできるだけ涼しくする! ということが最優先のようです。

何の督促もなしにいきない電気を止められた!


少しでも風を通すために窓は全開

以前、電気代をうっかり払い忘れるという出来事がありました。といっても請求書が来てから2週間しか経っておらず、何の督促もなかったのですが、ある日、家に帰るとクーラーがつかない。冷蔵庫も動いていない。また停電していると思ったのですが、どうも周りの家は電気を使えているようなのです。

「電気代払ってないから、電気止められた!」。ものすごくあっさり、予告なしに電気をとめるベトナムの電気会社にもびっくりですが、時刻は昼2時、とにかく暑い。

急いで団地の管理室に行って、電気代を払おうとしたのですが、電気会社に出向いて支払いしなければ電気は復旧できないと。これまた行ったことのないような田舎の電気会社の支社にタクシーで20分でようやくたどり着き、電気代を納めたはいいが、電気会社のエンジニアが作業しなければ電気は復旧できないと。

さらにエンジニアの到着を待ち、いざ作業! となると今度は電気設備のBOXが開かない! 聞くところによると電気設備を勝手にいじくって、盗電したり、勝手に電気を復旧させる輩が多いためにBOXの鍵は特別に管理していると。

団地中を探しまわり、この鍵を持っているおじさんが団地のベンチで寝ているのを発見し、とうとう電気が開通したのはもう夜も更けてからでした。

周りの人もいろいろサポートしてくれたのですが、うちの家族ほど悲壮感はなく、「夜だから、明日でもいーんじゃない?」状態でした。いわれてみればそうですが、電気がなくても死なない、ライフラインの優先順位は日本より全然低い。

すっかりぬるくなった冷蔵庫の食材と汗まみれの家族を眺めながら、べトナム人のような電気のいらない生活ができない我々は絶対に電気代を払い忘れてはならない、と強く心に刻みつけたのでした。

 

 

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この記事を書いた人

ベトナム在住で、現在、在ベトナム外資系企業に勤務中。 中国の大学を卒業して、その後一貫してベトナム周りのビジネスをして14年目。 アジア田舎暮らしをテーマに、現在も日本人が一家族もいないローカル団地に、家族3人で生活中。

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