リフォーム工事中、何か疑問を感じたらその場で確認する
森田祥範
2016/03/21
工事内容に疑問があれば、その場で説明を求める
リフォーム業者と工事請負契約書を取り交わしたら、いよいよ工事が始まります。実は、工事開始前に必ずやっておくべきことがあります。現場監督もしくは営業担当者(小工事の場合は営業担当者が施工管理も行なうことがある)と必ず工事個所の確認を行なうことです。
その際には工事請負契約書と工程表を手元において説明を受けましょう。発注者側は複数人で説明を受けるようにしましょう。その際には工事説明確認書等を交付してもらい、間違いがないか再確認しましょう。
リフォーム工事が始まったら、見積書や契約書どおりに工事が進んでいるか、できるだけ自分の目でチェックするようにしましょう。幸い、リフォーム工事の多くは住人のすぐ目の前で行われることになりますから、マイホームを新築するときよりもチェックしやすいはずです。
あなたが職人さんや施工業者が作業する様子を観察していて、もしも「あれっ?」と思う場面に遭遇したら、必ずその場で確認するようにしてください。
たとえば、塗料を塗るべき壁が塗られていなかったとき。または、工程表に書かれたスケジュールに比べて、大幅に工期が違っていたとき。あるいは、張られたクロスにしわが寄っているとか、張られた板が浮いているなど、「仕上げが少し雑だな」と感じたとき…。
とにかく、不安や疑問に思ったことは、すぐに確認すべき。あなたは工事にお金を支払う施主であり、発注者なのですから、疑問に思ったことは何でも質問していいのです。
質問する相手は、その日の作業の責任者がいいでしょう。誰が責任者かわからない場合は、近くにいる職人さんか施工業者に、「今日の作業の責任者はどなたですか?」と聞けば、すぐに教えてくれます。
その責任者にあなたの疑問をぶつけて、納得できる説明が得られれば、そのまま作業を続けてもらいます。
しかし説明を聞いて、もし納得できなければ、その場でいったん作業を中断してもらい、見積もり段階から打ち合わせを重ねてきた営業担当者に連絡を取るべきです。そして、営業担当者に説明されても納得できない場合は、担当者からも職人さんに作業中断を指示してもらい、担当者に現場まで来てもらって、どうすればあなたの希望に沿った形になるのか、善後策について担当者と話し合うべきでしましょう。
追加工事を依頼するときは、再度見積書と契約書の作成を
営業担当者と協議した結果、「工事が見積書と契約書どおりに進められていないこと」が確認され、その原因が職人の勘違いや作業ミスなど、業者側に非があると認められる場合には、正しい工事内容を双方でもう一度確認したうえで、作業再開となります。その際、材料費などが余分にかかるとしても、その分は業者側の負担になります。
しかし、勘違いしていたのが実はあなたのほうで、工事内容は見積書と契約書の通りになっていたのに、結果として、あなたの希望する方向で工事が進められていなかった、というケースもあります。
たとえば、外壁塗装を依頼して、あなたは門扉や鉄柵も塗装してくれると思い込んでいたのに、業者側はその作業を見積もりに組み込んでいなかった場合もあります。また、あるいは、そもそもそのグレードの工事では、あなたの望むような美しい仕上げにならない場合もあるでしょう。
そのような場合は、あなたの希望を取り下げて当初の見積もりどおり作業を進めてもらうか、あくまであなたの希望を優先させるため、追加費用を払って工事内容を変更してもらうことになります。
もし、工事内容を変更してもらう場合は、面倒でも、新たに追加の見積書と契約書を作成してもらいましょう。営業担当者との、単なる口約束で工事を再開しては絶対にいけません。書類を残しておかないと、「せっかく追加料金を払ったのに、思ったような仕上がりにならなかった」とか、「話に聞いていた以上に費用がかかった」など、後々トラブルの原因になります。
追加工事を職人さんにお願いするのはNG
リフォーム工事中に追加工事を依頼するとき、絶対にやってはならなのが、現場の職人さんに直接依頼すること。
たとえば、内壁を仕上げていた左官職人さんに、「ついでに外壁の傷んでいるところもお願いします」と頼んだり。あるいは、浴室で混合栓を取り付けている水道業者さんに、「ついでにキッチンの水漏れも見てください」とお願いしたり。
職人さんや施工業者に何か作業してもらう場合は、必ず手間賃が発生します。また、追加される作業内容によって、材料費も新たに発生します。あなたは「ついでにお願いします」と気軽に頼んだつもりでも、後から予想以上の費用を請求される場合があります。
また、そこで作業している職人さんや施工業者が、追加工事の適任者であるという保証はどこにもありません。職人さんがその場の判断で適当に作業した結果、後から不具合が見つかる場合もけっこう多いのです。その場合は補修が必要になりますが、その分の費用について、あなたはどこにも請求できません。そもそも、正式な契約を結ばず、こっそり工事を発注した、あなたの落ち度になるからです。
リフォームの追加工事を依頼する場合は、たとえどんなに小規模な作業でも、必ず営業担当者に電話して、直接依頼してください。
写真記録の有効性
リフォーム前、リフォーム工事中、工事完成時等の各工程を写真に収めましょう。これは記念になるだけではなく、後々施工記録として参考になるケースがあります。将来設備機器の故障や配管の不具合が発生した時などに参考になるからです。いまは写真なども現像することなくデジタルデータとして保存ができるので、場所もとりません。
また工事写真を撮るという行動が担当者や職人の緊張感を生み、結果的に丁寧な仕事につながります。もちろん作業の邪魔になったりするのはご法度ですが。
ずっとつきっきりでなくてもいいので、昼食や休憩時間などを利用して撮影しましょう。ポイントは「記念にしたいから写真を撮らせてください」と最初にお願いしておくことです。
ぜひトライしてみてください。
この記事を書いた人
モリタマネジメント株式会社 代表取締役
宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、ファイナンシャルプランナー、増改築相談員、二級建築施工管理技士。 LATUバリ建築スクール(インドネシア、バリ)ディプロマ取得。 1952年生まれ 兵庫県出身。早稲田大学卒業後、積水ハウス株式会社に入社、特建事業部(ゼネコン部隊)に配属。主に土地所有者の土地有効利用を中心とした営業に18年間従事する。また自社集客手法の独自企画や金融機関等のセミナー講師も務めて実績をあげる。 在籍期間の完工実績棟数は387棟。全国特建事業部表彰(特建営業300人中1位)、社長表彰(全社営業3800人中2位)、全社チーム別獲得粗利益表彰(全社全900チーム中1位)などの記録多数。退職するまでプレーイングマネージャーにこだわり続けた。 94年に建築リフォーム会社を設立し、現在まで22年間でテナントビル・マンション、店舗、住宅などのリフォーム工事を中心に約4000件余を完工。不動産の事業化プランニング、賃貸収益物件 (テナントビル、マンション)や店舗の収益最大化手法には定評があり、不動産オーナーの熱烈なファンが多い。 2009年、中小企業コンサルを目指して「ナニワの再建屋」桂幹人の門をたたき薫陶を受ける。桂幹人の実践的コンサルティングと自らの経験とを融合させた「モリタメソッド」を完成した。11年、多くの事業家を実践指導し、新たな事業を創る実践コンサルティングを開始、賃貸ビル・マンションオーナーの満室セミナー、工務店の脱下請け事業構築セミナー、中小企業経営者の新規事業構築勉強会(実践的指導)主催。また経営者、営業幹部の個別コンサルティングも行なっている。 指導先業種は、建設業、工務店、リフォーム会社、鉄工所、内装業、建設資材問屋、自動車輸出入業、子ども服セレクトショップメーカー、自費診療専門整体院チェーン、ブライダルを手がける呉服店、ヒーリングサロン、多店舗展開の美容室、大阪黒門市場マグロ専門店、デザイン事務所の新規事業支援等多岐にわたる。