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プロが教える賢い見積もりの取り方(5)

リフォーム予算をオーバーしたときの解決法は?

森田祥範森田祥範

2016/02/25

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グレードを落とすか、一部を後回しにするか

リフォーム業者3社から見積もりを取ってみると、「どの見積もりも当初考えていた予算をオーバーしていた」というケースがときどき見られます。

オーバーした金額が経済的に許容できる範囲であればいいのですが、予算的にむずかしいと、リフォーム工事自体を諦めなければならなくなります。そうした場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

まずは、リフォーム工事全体を見直し、どこに費用がかかりすぎているかをチェックすること。そのうえで、コストを削減するには次のふたつの方法があります。

(1)グレードを落とす
たとえば、外壁塗装や内装クロス張り替えで予算がオーバーしてしまいそうな場合は、塗料やクロス(壁紙)のグレードを、高級品から普及品に落とす方法があります。

ただし、外壁、屋根、床下基礎部分などに不具合が見つかったようなケースでは、補修材のグレードを落とすと家全体の安全性が損なわれてしまうので、たとえ予算オーバーしても、必要な補修はしっかり行なわなければなりません。

(2)一部を後回しにする
たとえば、浴室と洗面室のリフォームを同時に行なおうと思っていたものの、浴室のリフォームに意外と費用がかかりそうだ、というケースであれば、今回はとりあえず浴室だけリフォームしておく、という考え方もできるでしょう。浴室と洗面室の床下の配管回りさえリフォームしておけば、洗面化粧台の入れ替えなどは、資金的に余裕ができてから行なえばいいわけです。

ただし、洗面化粧台は比較的安価なので床下を工事するのであれば同時に入れ替えることをおすすめします。考えてみれば新しい洗面室に古い洗面台は似合いませんよね。一部を後回しにする場合は別の部位にすべきです。

できれば納得のいくグレードを維持したい

(1)と(2)を比較した場合、オススメは断然(2)です。(1)のようにグレードを落としてしまうと、「せっかくリフォームしたのに、仕上がりがイマイチなんだよな……」と、あとあと後悔しがち。残念なリフォームで終わらせないためには、多少時間がかかってもいいから、納得のいくグレードを維持すべきです。

とはいえ、床板をはがさなければならない水回りや基礎部分の工事、足場を架設しなければならない外壁や屋根回りの工事は、できるだけ同じタイミングでできることをすべて行なってしまうこと。一部を後回しにすると、もう一度床板をはがしたり、足場を再度組むことになり、費用が2倍かかってしまいます。そんな場合は、(3)資金面に余裕ができるまでリフォーム自体を延期する、という
選択肢を取らざるを得ません。

工事開始後に費用が発生するケース

実際にリフォーム工事を始めてから、予算オーバーになるケースもあります。

予算を圧迫しがちなのが、当初は想定していなかった「追加工事」です。追加工事が発生する場合はおおよそ、以下のようなパターンが考えられます。

(1)補修・改修が必要な部位が発見される
これは、「壁や床を開けてみたら、内部の部材が腐っていた」というような場合です。腐食している部位をそのまま放置することはできませんから、こうしたケースでは、補修・改修工事が必ず発生します。

ただし、リフォーム経験豊富な業者であれば、「浴室の床下は、もしかすると腐食しているかも」といった予想ができるはず。見積もり時点で、そういった懸念材料を事前に聞いておけば、
ある程度は対処可能です。

(2)グレードアップしたくなる
実際にリフォーム工事契約を結んだ後で、発注側が「もう少しグレードアップしたい」と思い立つケースもあります。たとえば、ショールームで最新式のシステムキッチンや浴室を見て、「どうせ新しくするなら、最新のものを導入したい」と欲が出るようなケースです。

しかし、いったん契約した後で追加の工事を発注すると、コスト面ではどうしても割高になります。ショールームでの最新設備の見学は、見積もりや契約の前に済ませておきましょう。

(3)業者側の悪意&コミュニケーション不足
悪質なリフォーム業者の場合、当初の見積もりで低めの金額を提示しておいて、工事が始まってから「ここを補強したいなら、別途お金がかかります」など、料金を吊り上げようとしてきます。また、施主側と業者側の認識のズレから、当然やってもらえると思っていた工事が行なわれず、あとから追加の工事が必要になることもあります。

悪質業者に引っかかったり、業者との認識のズレが生じないよう、見積もり書を受け取ったら、工事内容をかならず指差し確認しておきましょう(見積書を受け取ったら、工事内容を指差し確認するの項を参照)。

もちろん前提条件として施工図面を作成してもらうことはいうまでもありません。施工図面の作成を嫌がるようであればその業者とは契約しないほうがいいでしょう。

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この記事を書いた人

モリタマネジメント株式会社 代表取締役

宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、ファイナンシャルプランナー、増改築相談員、二級建築施工管理技士。 LATUバリ建築スクール(インドネシア、バリ)ディプロマ取得。 1952年生まれ 兵庫県出身。早稲田大学卒業後、積水ハウス株式会社に入社、特建事業部(ゼネコン部隊)に配属。主に土地所有者の土地有効利用を中心とした営業に18年間従事する。また自社集客手法の独自企画や金融機関等のセミナー講師も務めて実績をあげる。 在籍期間の完工実績棟数は387棟。全国特建事業部表彰(特建営業300人中1位)、社長表彰(全社営業3800人中2位)、全社チーム別獲得粗利益表彰(全社全900チーム中1位)などの記録多数。退職するまでプレーイングマネージャーにこだわり続けた。 94年に建築リフォーム会社を設立し、現在まで22年間でテナントビル・マンション、店舗、住宅などのリフォーム工事を中心に約4000件余を完工。不動産の事業化プランニング、賃貸収益物件 (テナントビル、マンション)や店舗の収益最大化手法には定評があり、不動産オーナーの熱烈なファンが多い。 2009年、中小企業コンサルを目指して「ナニワの再建屋」桂幹人の門をたたき薫陶を受ける。桂幹人の実践的コンサルティングと自らの経験とを融合させた「モリタメソッド」を完成した。11年、多くの事業家を実践指導し、新たな事業を創る実践コンサルティングを開始、賃貸ビル・マンションオーナーの満室セミナー、工務店の脱下請け事業構築セミナー、中小企業経営者の新規事業構築勉強会(実践的指導)主催。また経営者、営業幹部の個別コンサルティングも行なっている。 指導先業種は、建設業、工務店、リフォーム会社、鉄工所、内装業、建設資材問屋、自動車輸出入業、子ども服セレクトショップメーカー、自費診療専門整体院チェーン、ブライダルを手がける呉服店、ヒーリングサロン、多店舗展開の美容室、大阪黒門市場マグロ専門店、デザイン事務所の新規事業支援等多岐にわたる。

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