言うことを聞いてくれる業者がNGな理由とは? 信頼できるリフォーム業者を見きわめるポイント
森田祥範
2016/02/19
リフォームに価格破壊なんてあり得ない
住まいのリフォームで多くの人が頭を悩ませるのが、どの業者にリフォームをお願いするかということでしょう。
商品を選んで購入できる通常のショッピングと違って、リフォームは、これからやってもらう工事に対してお金を払う(業者を決める)ことになります。たとえ、事前に見積もりを取ったとしても、建築の素人である一般消費者には、それが適正な価格かどうか、判断がつきません。
リフォームに関してよく聞くのが、素人だと思って足下を見られて不当に高い料金を請求された…なんていう話です。
では、高すぎる料金に気をつければいいかというと、実はそうでもありません。リフォームというビジネスに、価格破壊や衝撃特価、なんてあり得ません。いい材料を使ってていねいな工事をすれば、それなりのコストはかならずかかるもの。むしろ料金が安すぎると、手抜き工事されるおそれのほうが大きいのです。
何でも言うことを聞く業者はNG
結局、最終的な判断材料は、「その業者が信頼できるかどうか」。それを見きわめるポイントのひとつが、お客さんのリクエストにどの程度応えてくれるか。実は、こちらの言うことを何でも聞いてくれる業者こそ要注意です。
私たちは建築の素人ですから、つねに理にかなったリクエストができるわけではありません。ときには、ふたつのリクエストが互いに矛盾することもあれば、リクエストを実現するのに想定以上のコストが必要になる場合もあります。
そんな素人のリクエストをなんでもホイホイ聞いてしまう業者がいるとすれば、それはその業者が現実の工事を正しく理解できていないか、コスト面できわめてルーズかのいずれかです。実際、客の言いなりに工事を進める業者は、技術的に未熟なケースが多いようです。そのため、全体の仕上がりは悪いくせに、請求金額だけ驚くほど高くなったりします。
プロのリフォーム業者であれば、お客さんのリクエストの本当の狙いを汲み取ったうえで、たとえば「出窓をつくりたい」というリクエストに対して、「部屋を明るくしたいだけなら、高窓をつけたほうが効果があってコストも低い」と提案できるはずです。つまり、お客さんのリクエストよりワンランク上の提案ができる業者が、信頼するに足る業者といえます。
工事に優先順位をつけ、理由を説明してくれる業者は○
信頼できるリフォーム業者は、お客さんの予算にも配慮して、工事にもきちんと優先順位をつけてくれます。
たとえば、水回りのリフォームをするか、耐震補強のリフォームをするか、迷っている家族がいたとしましょう。
こうした場合、信頼できるリフォーム業者なら、家の築年数を考慮するはず。築10〜15年程度の家であれば、まず水回りのリフォームをしたほうが結果的に家は長持ちします。逆に築25〜30年を経過している家であれば、古い耐震基準にしか準拠していませんから、むしろ耐震性のほうが心配。ゆえに、耐震補強工事のほうをすすめるはずです。
また、築25〜30年の家で浴室と洗面室のリフォームを考えている家族がいた場合、リフォームについてよくわかっている業者であれば、真っ先に浴室の床下をチェックするでしょう。築25年以上経過している家では、浴室の土台が腐っていることが多く、浴室のリフォームの時こそ、補修・改修する絶好のチャンスだからです。
浴室の床下は直接点検できない構造が多いので、その場合は洗面所の床をめくって点検します。この場合の復旧は床下点検口を取り付けると安価ですみます。もちろんそのまま洗面所の改装する場合は点検口をつける必要はありません。
もし浴室の土台で腐食している箇所が見つかったら、その改修工事に優先的にコストを割り当てます。その家を長持ちさせるためには、その時点でその工事こそが最重要だからです。その結果、もし予算的に足らなくなるのであれば、洗面室のリフォームは次の機会にまわすよう提案するでしょう。
このように、お客さんのリクエストを尊重しながら、プロとして工事の優先順位を明確にした提案ができる者こそ、信頼できる業者といえます。
そして、信頼できる業者であれば、なぜこの工事を優先すべきなのか、お客さんが納得いくまで説明してくれるでしょう。その話に素直に耳を傾ければ、たとえ建築の素人でも、業者が口からデマカセを言っているか、プロとしての信念をもって語っているか、きっとわかるはずです。
その他の見きわめポイント
その他、信頼できる業者かどうかを見極めるポイントをいくつかお教えしておきましょう。
(1)お客さんのひとつの要望に対して、営業担当者が3つ程度のプランを提案できること。また、工事のグレードについても、3段階程度の料金を提示できること。きちんと提案、提示できれば、それなりにリフォームの経験と知識があるとわかります。
(2)実際に工事を担当する職人さんと、事前に顔会わせさせてもらえること。工事の実際の仕上がりは、職人さんの技量と心構えにかかっているので、会って人柄を確かめたいもの。キャリアとしては、実務経験20年以上が望ましいところです。
(3)何度かの打ち合わせを通して、営業担当者が約束の時間を守るかどうか、持参する書類に不備はないか、こまめに連絡をくれるかどうか確認します。リフォーム業者の仕事に対する姿勢は、営業担当者の日常の言動に表れるものです。
(4)現在施行中の現場を見せてもらうこと。自信があれば、どんどん見せてくれます。逆に見せようとしないなら変ですよね。
(5)すでに引き渡した同じような工事内容のお宅を見学させてもらうこと。お客さんと会社の関係性が垣間見えますので、是非お願いしてみてください。
この記事を書いた人
モリタマネジメント株式会社 代表取締役
宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、ファイナンシャルプランナー、増改築相談員、二級建築施工管理技士。 LATUバリ建築スクール(インドネシア、バリ)ディプロマ取得。 1952年生まれ 兵庫県出身。早稲田大学卒業後、積水ハウス株式会社に入社、特建事業部(ゼネコン部隊)に配属。主に土地所有者の土地有効利用を中心とした営業に18年間従事する。また自社集客手法の独自企画や金融機関等のセミナー講師も務めて実績をあげる。 在籍期間の完工実績棟数は387棟。全国特建事業部表彰(特建営業300人中1位)、社長表彰(全社営業3800人中2位)、全社チーム別獲得粗利益表彰(全社全900チーム中1位)などの記録多数。退職するまでプレーイングマネージャーにこだわり続けた。 94年に建築リフォーム会社を設立し、現在まで22年間でテナントビル・マンション、店舗、住宅などのリフォーム工事を中心に約4000件余を完工。不動産の事業化プランニング、賃貸収益物件 (テナントビル、マンション)や店舗の収益最大化手法には定評があり、不動産オーナーの熱烈なファンが多い。 2009年、中小企業コンサルを目指して「ナニワの再建屋」桂幹人の門をたたき薫陶を受ける。桂幹人の実践的コンサルティングと自らの経験とを融合させた「モリタメソッド」を完成した。11年、多くの事業家を実践指導し、新たな事業を創る実践コンサルティングを開始、賃貸ビル・マンションオーナーの満室セミナー、工務店の脱下請け事業構築セミナー、中小企業経営者の新規事業構築勉強会(実践的指導)主催。また経営者、営業幹部の個別コンサルティングも行なっている。 指導先業種は、建設業、工務店、リフォーム会社、鉄工所、内装業、建設資材問屋、自動車輸出入業、子ども服セレクトショップメーカー、自費診療専門整体院チェーン、ブライダルを手がける呉服店、ヒーリングサロン、多店舗展開の美容室、大阪黒門市場マグロ専門店、デザイン事務所の新規事業支援等多岐にわたる。