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失敗しないリフォームプランの立て方(6/6)

将来のバリアフリー化に向けていまやっておくこと

森田祥範森田祥範

2016/01/25

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いきなりバリアフリーにすると不便な家になる?

 リフォームにバリアフリーの発想をどこまで取り入れるかは、世帯主の年代が大きく関係してきます。

 たとえば世帯主が30〜40代の場合、家事の中心は「子育て」になるはず。そのため、汚れを落としやすい壁紙を使ったり、キズが気にならないフローリングにしたり、子どもの様子を見守りやすい対面式キッチンにするなど、リフォームでは教育や子育てのしやすい環境を整えることがメインになります。バリアフリーについて考える必要はまだありません。

 それに対して、世帯主が50代以上になってからのリフォームでは、そろそろバリアフリーを意識すべき。近い将来、高齢の両親と同居する可能性もあるし、ご自分たちの老いについても考えを巡らせておかなければならないでしょう。

 とはいえ、「備えあれば憂いなし」とばかり、いきなり全面的にバリアフリー化するのは得策ではありません。たとえば、よかれと思って設置した廊下の手すりが、将来的に車椅子の通行の邪魔になることもあります。また、狭い階段に手すりを設置したため、荷物の上げ下ろしがしにくくなるなど、家族全員にとって不便な家になってしまうこともあります。

バリアフリーへの発展性を持たせる

 そこで、まだ要介護の家族がいない家におすすめなのが、バリアフリーへの発展性を持たせた「プレ・バリアフリー工事」。バリアフリー化のためにリフォームするのではなく、別の目的でリフォームするついでに、少しだけバリアフリー化を進めておく工事です。

 たとえば、畳をフローリングに張り替えたり、床暖房を導入する工事のついでに、各部屋の床の高さを揃え、段差をなくしておくとか。全室の床の高さを一度に揃えるのがむずかしければ、基準となる床の高さをまず決めておいて、将来的に順次揃えていくという手もあります。

 床の段差をなくす工事を単独で行なうと意外に費用がかかるものですが、別の工事のついでに行なうのであれば、比較的低コストで床のバリアフリー化が実現できます。

 あるいは、壁紙を貼り替えるついでに、将来手すりを取り付けるための下地材を入れておくとか。

 ドアを交換する場合は、ドアノブを回転式の握り玉からレバーハンドルに取り替えておくと、将来握力が弱くなったときでもドアの開閉がスムーズになります。あるいは、思い切ってドアを引き戸に替えておくと、将来誰かが車椅子生活をするようになったとき、屋内での移動がとてもラクになります。

 また、冬場のヒートショック(寒暖差による体への悪影響)を和らげるために、洗面・脱衣所や浴室に暖房設備を導入しておけば、家族の年齢に関係なく、長く快適に暮らせるようになります。

本格的なバリアフリーに向けて

 もし間取りまで変更できるのであれば、寝室とトイレを近接して配置するのがベスト。少なくとも、寝室とトイレは同じ階に設置することです。トイレのために階段を上り下りするのは、家族にとって大きな負担になります。

 トイレや浴室といった水回りをリフォームする場合は、特に将来に向けての配慮が必要です。というにも、水回りのリフォームでは配管一式取り替えるなど工事が大がかりになり、費用もそれなりにかさむから。そう何度もリフォームできる場所ではありません。できれば、車椅子でも入れるようにトイレを大きめにつくっておくなど、余裕を持たせた造りにしておいたほうが、将来的には安心だといえます。

 とはいえ、バリアフリーに完璧なプランはありません。将来どんな事態が想定されるのか、家族でよく話し合っておくことが大切です。

 場合によっては役所の福祉課等へ相談して、包括支援センターを紹介してもらいましょう。そこでケアマネージャーと相談して将来の計画を考えてみるのもいいですね。ひとりで考えるより安心です。

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この記事を書いた人

モリタマネジメント株式会社 代表取締役

宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、ファイナンシャルプランナー、増改築相談員、二級建築施工管理技士。 LATUバリ建築スクール(インドネシア、バリ)ディプロマ取得。 1952年生まれ 兵庫県出身。早稲田大学卒業後、積水ハウス株式会社に入社、特建事業部(ゼネコン部隊)に配属。主に土地所有者の土地有効利用を中心とした営業に18年間従事する。また自社集客手法の独自企画や金融機関等のセミナー講師も務めて実績をあげる。 在籍期間の完工実績棟数は387棟。全国特建事業部表彰(特建営業300人中1位)、社長表彰(全社営業3800人中2位)、全社チーム別獲得粗利益表彰(全社全900チーム中1位)などの記録多数。退職するまでプレーイングマネージャーにこだわり続けた。 94年に建築リフォーム会社を設立し、現在まで22年間でテナントビル・マンション、店舗、住宅などのリフォーム工事を中心に約4000件余を完工。不動産の事業化プランニング、賃貸収益物件 (テナントビル、マンション)や店舗の収益最大化手法には定評があり、不動産オーナーの熱烈なファンが多い。 2009年、中小企業コンサルを目指して「ナニワの再建屋」桂幹人の門をたたき薫陶を受ける。桂幹人の実践的コンサルティングと自らの経験とを融合させた「モリタメソッド」を完成した。11年、多くの事業家を実践指導し、新たな事業を創る実践コンサルティングを開始、賃貸ビル・マンションオーナーの満室セミナー、工務店の脱下請け事業構築セミナー、中小企業経営者の新規事業構築勉強会(実践的指導)主催。また経営者、営業幹部の個別コンサルティングも行なっている。 指導先業種は、建設業、工務店、リフォーム会社、鉄工所、内装業、建設資材問屋、自動車輸出入業、子ども服セレクトショップメーカー、自費診療専門整体院チェーン、ブライダルを手がける呉服店、ヒーリングサロン、多店舗展開の美容室、大阪黒門市場マグロ専門店、デザイン事務所の新規事業支援等多岐にわたる。

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