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通勤する仕事のはずなのに「家で手作りランチをいただく」人がたくさん――理由はやはり…?

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文/朝倉 継道 イメージ/©︎gbh007・123RF

テレワークの影響でランチ事情が変化した

新型コロナウイルスによる「コロナ禍」が、国内でも本格的な拡大を始めてからすでに1年以上。働く人々のランチ事情に変化が生じていることを報告する調査結果を株式会社リクルート「ホットペッパーグルメ外食総研」が公表している。

自宅が仕事の場となるテレワークの広がりや、巣ごもり・在宅時間の増加がもたらす近隣騒音へのクレームの増加といった事象とともに、賃貸住宅オーナーが気に留めておくべきトピックのひとつとして、紹介したい。

調査対象は、首都圏、関西圏、東海圏に住む20~69歳の男女の有職者となっている(職業が公務員、経営者・役員、会社員、自営業、自由業の方)。サンプル数は5743件。調査期間は2021年3月1日~9日とのこと(事前調査を除く本調査の期間)。

なお、上記有職者の86.6%を会社員と公務員が占めているということも、初めに踏まえておきたい。この皆さんは、基本として「通勤して働く」立場の方々と思われるが、このことは、当調査における大事なポイントとなっている。

まずは、この質問から紹介したい。

「先週の平日のランチは、どのように食事しましたか?」

これに対する皆さんの「先週月曜日~金曜日における各回答」から、同じ食事内容を積み上げた結果が、以下のとおりとなっている。つまり、人単位ではなく、行動単位での集計だ。

「自炊、または家族等が作った食事」…33.4%
「小売店(コンビニやスーパーマーケット等)や飲食店で購入した食事」…19.8%
「自分、または家族等が作った弁当」…19.1%
「社食、学食」…8.0%
「飲食店で外食」…7.9%
「会議の弁当や給食、ケータリングや病院食等、自分以外が用意した食事」…2.7%
「出前、デリバリーした食事」…2.1%
「他項目以外の手段で用意した食事」…2.5%
「食べていない」…3.4%
「覚えていない」…1.2%

見てのとおり、「自炊、または家族等が作った食事(33.4%)」が、やや突出する結果となっている。ほかは多くても2割に満たない。

そこで、以下の数字を見てほしい。上記の各項目について、「食べた場所が自宅内だった」ケースが存在するものは4種類となるが、「自炊、または家族等が作った食事」についてのみ、さきほどの数字(33.4%)が、まるごとこちらに移動したかたちとなっている。

(自宅内で食べたランチの種類は?)

「自炊、または家族等が作った食事」…33.4%
「小売店(コンビニやスーパーマーケット等)や飲食店で購入した食事」…6.3%
「出前、デリバリーした食事」…0.5%
「他項目以外の手段で用意した食事」…0.7%

つまり、当たり前ともいえるが、「自身、または家族らが家でこしらえたランチは、すべてがその場で(自宅内で)食されている」というわけだ。

そこで、生じる疑問は、当然このこととなる。

「回答者の86.6%を会社員と公務員、つまり通勤している可能性の高い人が占める状態がベースにあって(経営者・役員も加えると89.4%になる)、平日、自宅でランチをつくり、食べる頻度が、これでは多すぎるのではないか?」

単純にいうと、「皆さん、なぜそんなに昼間自宅にいるのか?」

これに答えてくれるのが、以下の質問とその結果だ。

自宅でランチを取る人の多くはテレワーカー

「働き方の変化に伴い、1年前と比べてランチの食べ方に変化がありましたか?」

なお、ここでは、変化があった場合、それがどんな変化かも皆さんに具体的に挙げてもらっている。複数回答で3割を超えている上位の答え2つを抜粋すると、以下のとおりとなる。

自分や、職場・取引先の人がテレワークを行う機会が増えたため
~「1人でランチを食べることが増えた」…32.5%
~「自宅でランチを食べることが増えた」…32.1%

(参考:上記に続く割合の回答…
仕事の時短や効率化を求められたため
~「ランチで外出(外食)する機会が減った」…23.5%
~「1人でランチを食べることが増えた」…20.8%)

ご覧のとおり、すでに察しておられた方も多いと思われるが、「皆さん、なぜそんなに昼間自宅にいるの?」に対する答えの多くは「テレワーク」と、推測される結果が出ている。

すなわち、テレワークの広がりと定着は、人々が自宅で食事を作り、食べる機会を増やす。そんな単純な図式が、今回の調査では、数値化されて浮かび上がるかたちとなっている。

なお、このことは、ランチ=昼食だけでなく、おそらく夕食に対しても、同じような影響をおよぼしているだろう。つまり、人々の自宅での調理機会が増加しているということだ。

調理というシチュエーションを賃貸住宅で考える

よって、これを冒頭に述べた賃貸経営の視点で見ると、2つのポイントが浮かんでくる。

第一に、アフターコロナ、あるいはウィズコロナの時代において、テレワークの定着がさらに進む場合は、調理というシチュエーションをバックアップできる物件には、おそらく強みが増す。

端的には、広さも含めたキッチンまわりの充実、ということになるだろう。

もうひとつは、これは案外大きな影響であるように思うが、物件・設備の疲弊・劣化が進みやすくなる。

例えば、決して差別や偏見の意図はないが、部屋で調理を盛んに行うことが多い、一定の国や地域出身の外国人の方の入居によって、キッチン周りや、部屋の内壁、さらにはエアコンの内部に至るまで、著しいダメージが生じていることは実際によくある。

私の見てきたところ、同じマンションやアパートの部屋で、入居されていた方によってこうまで“使用後”が違うのかと、驚かされた例では、その差の多くの部分がキッチンに集中している。

つまり、部屋の「使い込まれ」方が、一番表に出やすい場所といえるだろう。

以上、賃貸経営に大小の影響を与えそうな、コロナ禍のもとでの世の中の変化のひとつについて、採り上げてみた。

ホットペッパーグルメ外食総研 有職者のランチ実態調査

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この記事を書いた人

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