ブラインド、ロールスクリーン、シェード…窓辺を演出する6つのアイテムの効能
Mie
2021/02/10
前回に引き続き「ウインドゥ・トリートメント(窓周り)」のお話です。
ウインドゥ・トリートメントの主な役割は「光の調節、遮断」「室温の調整」「視線のコントロール」「窓周りの装飾性です。そして、ウインドゥ・トリートメントのカテゴリーの中でも最も身近で代表的な「カーテン」については前回にお話させていただきましたが、今回はカーテンと同様な役割に加えて、気候や環境に適した独自の機能を持つカテゴリーについて説明していきます。
ウインドゥ・トリートメントに用いられるものはカーテンのほか「ブラインド」「ロールスクリーン」「シェード」「プリーツスクリーン」「ハニカムスクリーン」「パネルスクリーン」「すだれ(簾)」の7つがあります。
ブラインドには、横型の「ベネチアンブラインド」と縦型の「バーチカルブラインド」の2種類があります。
「ベネチアン」とはイタリアの都市・ベネチアがブラインドの発祥であることから呼称されています。
「水の都」とも呼ばれるベネチアは海岸沿いのラグーン(潟)に地盤として1000万本もの杭を打ち込んだ水上都市です。弱い地盤への負担を軽減させる目的で建築物の軽量化が余儀なくされたために、全ての建物は細い柱と大きな窓で設計されました。さらには貴重な水上の敷地を有効活用するために建物同士を密着隣接させた結果、隣家、道路、通路、水路の船上からも大きな窓によって建物の中が丸見えになる問題がありました。
そこで考え出されたものが豊富にあった木材から作られた「ウッドブラインド」。窓からの視線を遮断しながら外からの光も有効に取り入れられる画期的なアイテムでした。現代ではルーバー状のスラット(羽)部分がアルミ製、プラスチック製の物が主流になっています。
また、縦型の「バーチカルブラインド」はスラット(羽)が床や天井と垂直に組まれているブラインドです。左右に回転して光や風向きの調整が可能です。横から差し込む光がコントロールできるので朝日や西日が気になる窓に向いています。カーテンのように左右開閉ができて素材もカーテン生地に近いタイプが多いのでカーテンの代わりに使用することも可能です。どちらのタイプもスッキリとシャープな室内空間に仕上がります。
「ロールスクリーン」は上部収納部分のスプリングによってスクリーン(布)を巻き上げる構造になっています。カーテンやブラインドのような凹凸が無く表面がシャープな印象が特徴です。また、部屋の間仕切りとしての使い方も可能です。無地、柄物、素材も豊富で抗菌、防火、防水、遮光タイプなどの機能性能のある製品も開発されているので空間の使用用途によって自由に選択できます。
「シェード」は「ローマンシェード」とも呼ばれ、小窓や出窓部分にドレープ生地、レース生地などを蛇腹状に折り畳みながら上下に昇降させて開閉する機能を持っています。生地や蛇腹のデザインが豊富なので、それぞれの空間に合ったスタイリッシュな美しさや優雅さを演出したい場合に適しています。
「プリーツスクリーン」はベネチアンブラインドと、シェードの中間のような機能を持っています。25㎜間隔または15㎜間隔の規則正しいプリーツが施されていて、折り畳みながら上下に昇降させて開閉します。
素材はレース風、和紙風に加工した透過性のあるポリエステル不織布タイプや、色や柄が豊富な厚手の遮光タイプなどがあります。全体的に柔らかな風合いで、和室、洋室、どちらにも向いています。
「ハニカムスクリーン」は、プリーツスクリーンの断面が立体的な6角形のハニカム(ハチの巣)状になっていて、スクリーンの表と裏の間に膨らんだ空気層を取り込んだ構造が特徴です。この空気層を取り込むことで遮音性能、断熱性能が加わります。
「パネルスクリーン」は、ヒダの無いカーテンの総称です。
「パネルカーテン」「パネルシェード」とも呼ばれ、スクリーン部分にはカーテン生地を使用しています。昇降機能は無く、平面状のスクリーンを数枚レールに吊るし、障子のように左右にスライドさせて開閉する仕組みです。テラス窓のような広く高さのある窓にはビジュアル的にも最も効果的ですが、室内に吊るして間仕切りや目隠しとしても使用が可能です。
「すだれ(簾)」は日本の文化から発生した障具で、古くは平安時代の「寝殿造」、室町時代の「書院造」などの建築様式の発展に伴い、植物の「葦」を丈夫な糸で長く繋いだ「御簾(みす)」が作られたことが起源といわれています。
御簾は神と人、高貴な身分と庶民を隔てる屏障具として、または、外部からの侵入者を心理的作用によって防ぐ目的や、平屋作りの室内と庭や屋外の環境との程よい繋がりを持たせる目的と、住居内に程よい間仕切りのある空間を演出する機能とを併せ持っていました。
江戸時代に入ってからは日除け、虫除け、間仕切りとして武家屋敷、神社仏閣、商屋などで使用され、最終的には”すだれ(簾)”として一般庶民の住居にも取り入れられた歴史があります。
面積的は大、小、さまざまで、素材の並びが横方向で上下に垂らす「掛け簾(かけす)」と素材の並びが縦方向で左右に立て掛ける「立て簾(たてす)」があり、素材も豊富で収納が手軽な為に使い勝手も良く、現代ではアンティークモダンなインテリアとしても高い人気を維持しています。
この記事を書いた人
MIE色彩研究社代表
自由が丘産能短期大学能率課インテリアコーディネーター課程卒業。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。東京商工会議所カラーコーディネーター検定試験認定講師。電子機器製造メーカー、産業機械商社に勤めながら、社会人学生として産業心理学を学び、色彩と人間の意識との深い結びつきに共感。さまざまな社会経験を通して、色彩と人の意識に関わる数多くの実証の基、色彩スペシャリストとして事業を展開。東京都中央区銀座のオフィスではこれまでに培ったパーソナルカラー、空間色彩、商品色彩、カラースクール、色彩セミナーなどを個人、法人を問わず全国で行っている。趣味は街散策。