万が一のときどうする? 給付金・保険金の受け取り方Q&A
ウチコミ!タイムズ編集部
2020/02/11
万が一のときのために、加入する生命保険や医療保険。しかし、その「万が一」のとき、どのようにして保険金や給付金を受け取ればいいのか、実はよく分かっていないことも多いのではないでしょうか。
ちょっとした入院やけがであれば、自分で保険会社に連絡することができます。しかし、「入院していたためすぐに請求ができなかった」「意識不明の重体になってしまった」「ひとりでひっそり亡くなった」といった場合は、どうやって給付金や保険金を請求して受け取ればいいのでしょうか。
長い間払い続けてきた保険料はきちんと生かしたいものです。そこで今回は、給付金・保険金の気になる請求方法や受け取り方についてQ&Aでご紹介します。
入院やけがをしたときの給付金 ──すぐに請求しなくても、3年以内なら給付金を受け取れる
Q.保険証券をなくしてしまったら、どうすればいいですか?
A.保険会社に連絡して手続きをすれば再発行してもらえます。
Q.給付金の請求をするとき、保険証券がないことに気が付いたら、給付金の支払いは遅くなりますか?
A.保険会社との契約が確認でき、病院の診断書や明細書があれば請求できるケースが多いので、基本的に支払いのスピードに影響はないと思います。しかし、保険証券は大切な書類ですので、紛失しないように保管しておきましょう。
Q.給付金の請求をしてから、どのくらいの日数で受け取ることができますか?
A.請求書類が保険会社に到着してから5営業日以内というケースが多いようです。なかには、3営業日以内に支払われる保険会社もあるようです。
Q.給付金の請求は、入院などをしてすぐに請求しなければならないのですか?
A.すぐに請求をしなくても問題はありません。入院やけがなど、給付金を受け取れる権利が発生してから3年以内なら請求して受け取ることができます。ただ、時間の経過につれて忘れてしまわないように、早めの請求を心掛けましょう。長期入院中であれば、入院途中でその日までの分を請求することもできます。
Q.給付金が支払われない場合はありますか?
A.保険加入時の告知義務が疑われる場合(告知のときのウソ)は調査が入ります。たとえば、三大疾病保険に加入するときに、健康診断結果や罹患歴など、それらの病気に起因するような状態を隠していたことが判明すると、給付金は支払われません。
Q.がん保険に加入して、すぐにがんと診断されました。給付金は受け取ることはできますか?
A.「免責期間」の間にがんと診断された場合は、受け取ることができません。免責期間は保険の契約(申込書提出・告知・保険料払い込みがそろった日)から90日としているケースがほとんどです。
Q.給付金が支払われやすい保険、支払われにくい保険はありますか?
A.保険商品によって、支払い条件が決まっています。その支払い条件を満たしていれば、基本的に給付金は支払われます。
死亡保険金 ──保険金の受取人は配偶者、または二親等の血族まで
Q.高額の死亡保険金額の保険に加入している場合、すぐに保険は支払われますか?
A.入院やけがの給付金と同様で、5営業日以内に支払われるケースがほとんどです。しかし、保険の責任開始日から死亡するまでの経過年数が2年以内の場合は、調査が入ります。調査が入ると支払いまでに1~2カ月かかるケースもあります。
Q.死亡保険金を受け取った場合は、税金がかかりますか?
A.入院給付金や手術給付金は非課税ですが、死亡保険金には契約形態によって所得税・相続税・贈与税がかかります。ただし、500万円×法定相続人数分は相続税が非課税となります。
Q.信頼している友達を死亡保険金の受取人にすることはできますか?
A.死亡保険金の受取人に指定できるのは、配偶者、もしくは二親等以内の血族です。残念ながら友達やお世話をしてくれる人を受取人にすることはできません。
Q.どうしても第三者を死亡保険金の受取人にしたい場合はどうすればいいですか?
A.生命保険信託を利用することで、第三者を受取人に設定することも可能です。寄付に利用するケースも多く、寄付する団体が指定された生命保険信託もあります。
自分で請求できない場合は……? ──請求する人がいなければ、死亡保険金は支払われない
Q.意識不明の重体になった場合、給付金はどのように受け取ればいいのでしょうか?
A.保険には「指定代理人制度」があります。自分の代わりに給付金や保険金を請求する人をあらかじめ設定しておきましょう。指定代理人に設定した人には、保険加入時にその旨をきちんと伝えておくことも大切です。
Q.自分の死亡保険金の受取人を配偶者にしています。もしも、自分が亡くなったときに、すでに配偶者が亡くなっていたら、保険金はどうなるのでしょうか。
A.本人が死亡した場合、銀行口座は凍結されます。そのため、保険料の支払いもストップします。その後、保険料未納として処理され、契約が失効すると保険金は支払われない可能性が高くなります。つまり、請求する人がいなければ、保険会社は支払いの対応ができないということです。
Q.自分の死亡保険金の受取人の配偶者が認知症になっていた場合、保険金は配偶者にきちんと支払われますか?
A.配偶者の親族、または後見人が代理で請求すれば、保険会社からの支払いは可能になります。しかし、代理で請求する人がいなければ、やはり保険料未納、契約失効として処理されます。
Q.配偶者の保険料を自分が負担していて、配偶者が死亡、自分が認知症になった場合、保険料や保険金はどうなりますか?
A.自分自身が認知症になって保険金請求ができず、指定の口座からの保険料引き落としが継続していると、契約が継続してしまう可能性が高くなります。
以上が、給付金・保険金を受け取るときに気になるQ&Aです。
ポイントは、次の通りです。
・給付金も保険金も、支払い条件を満たしていれば、慌てて請求しなくても受け取ることができる
・請求がなければ、保険会社の支払いは不可能
・保険に加入したときには受取人にきちんと伝えておくこと、指定代理人を設定しておくこと
・指定代理人に設定した人にはその旨を報告し、普段から連絡を取り合っておく
ちなみに、指定代理人に設定できる身寄りがいない場合には、成年後見制度を利用することもできます。
払い続けた保険料を無駄にしないためには、万が一のときのために保険に加入するだけでなく、万が一のときに“どうするべきか”までしっかり考えて準備しておくことが重要です。
■取材協力:保険クリニック
1999年に日本で初めて*オープンした保険ショップ。
日本の約90%の世帯が加入している生命保険を、視覚的に分かりやすくご説明するために、保険分析・検索システム『保険IQ システム』を独自に開発している。
保険商品の検索や比較の機能を追加し、保険の現状把握からお客さまに合わせたプランのご提案まで、全国の『保険クリニック』でお客様にとって適切な保険選びをサポートしている。
*「日本初の来店型乗合保険ショップチェーン※」※店舗数11店舗以上または年商10億円以上をチェーン店と定義 東京商工リサーチ調べ(2018年6月)
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この記事を書いた人
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