ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

牧野知弘の「どうなる!? おらが日本」#10 東京にも「街間格差」の時代が来る(1/4ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2019/07/01

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

20年間で激変、東京の住宅事情

東京の住宅事情はここ20年ほどの間にずいぶん変わった。その原因は人々のライフスタイルの変化と都心部での住宅供給力のアップだ。

男女雇用機会均等法の改正による夫婦共働きの進展は、住宅マーケットにおいては世帯における住宅購買力を一気に高める効果があった。これまでの主流だった専業主婦世帯では住宅ローンは夫が返済するもの。夫の収入の範囲内でしかローンは組みようがなかった。だがこれに妻の収入が加わることによって、今まででは考えられなかった高額の住宅ローンが組めるようになった。

また、90年代の後半以降、超円高などを原因として産業構造が変化、東京の湾岸部にあった工場や倉庫などが次々に撤退したことでデベロッパーやゼネコンがこうした土地にタワーマンションなどを建設分譲、都心部における住宅の供給力を大幅に高めることができるようになった。

夫婦共働き世帯では、夫婦ともに会社に通勤しやすい街に住むのが最優先課題。住宅選びで最も重視されるのは住環境というよりも交通利便性ということになった。郊外住宅地の人気は薄れ、代わってJRなどの主要路線のターミナル駅が人気を呼ぶようになった。

令和の時代になり、東京は来年には五輪という宴を迎える。ではこうした状況は五輪後も続いていくのだろうか。このことに答えるためにはこれからの東京の不動産をめぐる環境がどのように変化するのかを見極める必要がある。

次ページ ▶︎ | こ限界を迎える東京の「集客力」

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

タグから記事を探す

ページのトップへ

ウチコミ!