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失敗しないリフォームの基礎知識(1/5)

リフォームには4つのカテゴリーがある

森田祥範森田祥範

2016/01/04

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増築・改築・改装・メンテナンス

 建物に手を加えて改良することを「リフォーム」といいます。英語で「reform」といえば、おもに社会や制度の改革といったいかめしい意味になりますから、「住まいのリフォーム」は日本ならではの言い方だといえるでしょう。

 そんな住まいのリフォームには、4つのカテゴリーがあることをご存知ですか? すなわち、増築・改築・改装・メンテナンス(修理修繕)の4つです。これら4つのカテゴリーの具体例をイメージすることで、あなたの住まいに必要なリフォームの形が具体的に見えてくるのではないでしょうか。

床面積を増やす増築、間取りを変更する改築

 増築とは、現在の住まいに何かをつけ加えて建築すること。建て増しともいいます。具体的には、次のようなケースが考えられるでしょう。

・受験期を迎えるお子さんのために、子ども部屋を増やす
・親世帯または子世帯と同居するために、居室数を増やす
・親世帯または子世帯と同居するために、2階にトイレを設ける
・調度類や衣類が増えたので、新たに収納スペースを設ける
・ゆったりお風呂に入れるように浴室を広くする
・屋内で洗濯物が干せるように、また趣味の鉢植えを育てるためにサンルームを増設する

 一方、改築とは、現在の住まいの一部を取り壊して、間取りや住宅設備をつくり直す工事を行なうこと。増築すると家の床面積は増えますが、改築では基本的に床面積は増えません。具体的には、次のようなケースが考えられるでしょう。

・子どもたちが大きくなってきたので、子ども部屋に壁を新設して2部屋に分割する
・子どもたちが独立して家を出たので、2つの子ども部屋の間仕切り壁を撤去し、広めの書斎をつくる
・両親が高齢になってきたので、階段・廊下・トイレ・浴室をバリアフリー仕様にする
・両親が使っていた和室2部屋と押し入れを撤去し、床をフローリングにして広いLDKにする
・使っていない和室と押し入れを取り壊してホームエレベーターを設置する

増築は法律で許された範囲内で行なう

 なお、住まいを増築すると床面積が増大します。床面積は家の建ぺい率や容積率に関わっており、建ぺい率や容積率は建築基準法で上限が定められていますから、増築は法律で許された範囲内で行なわなければなりません。

 また、いまの家が建てられた後で、建築に関する法律や条令が改正されている場合があります。その場合、現行法では違法にあたる建築物も「既存不適格」と見なされ、そのままであればおとがめなし。ただし、これから増改築する場合には、改正後の法律を遵守した設計にしなければなりません。

 たとえば、住宅密集地であれば防火規制が追加されていたり、セットバックや斜線制限の規制がかかることも。逆に、建ぺい率や容積率が緩和されていれば、以前は不可能だった増改築が可能になっている場合もあります。

(※ちなみに建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(1階の床面積にほぼ同じ)の割合のこと。容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のこと。どちらも建築基準法により、地区ごとにその割合が制限されています。たとえば、建ぺい率50パーセント、容積率100パーセントの住宅地の場合、敷地面積が100平方メートルなら建築面積は50平方メートルが上限、延べ床面積は100平方メートルが上限になります)

内外装に手を加える改装、修理と設備交換のメンテナンス

 工事が大がかりになる増築・改築に比べて、比較的小規模な工事ですむのが改装です。改装では、間取りの変更などは行わず、内外装を改めることがメインになります。具体的には、次のようなケースが想定できるでしょう。

・洗面所のクロス(壁紙)の汚れが目立ってきたため、トイレと廊下のクロスとともに全面的に張り替え
・集成材だったダイニングのフローリングを、無垢材のフローリングに全面張り替え
・外壁塗装が劣化してきたので、思い切って窯業系(焼き物)サイディングボードに全面張り替え
・蔵書や趣味のコレクションが増えてきたので、壁一面に作り付けの書棚を設置する

 一方、住宅の壊れた部分や傷んだ部位を修理・修繕したり、汚れや傷みを防ぐために手当したり、住宅設備を交換したりする工事がメンテナンス。改装より、さらに小規模に行なわれます。具体的には、次のようなケースがこれに当たるでしょう。

・雨漏りのする屋根、天井板等を修理する
・トタン屋根を塗装し直す
・外壁のモルタル壁を塗装し直す
・作り付けのキッチンを取り外し、新たにシステムキッチンを設置する
・浴室の壊れたガス釜を撤去し、新たにヒートポンプ給湯器を導入する

 以上のように、一口にリフォームといっても、手を加える規模はさまざま。リフォームにかかる費用も10万円程度から1000万円以上と、大きな幅があります。リフォームには、その人のライフスタイルや住宅に対するニーズに合わせて、さまざまな形があるのです。

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この記事を書いた人

モリタマネジメント株式会社 代表取締役

宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、ファイナンシャルプランナー、増改築相談員、二級建築施工管理技士。 LATUバリ建築スクール(インドネシア、バリ)ディプロマ取得。 1952年生まれ 兵庫県出身。早稲田大学卒業後、積水ハウス株式会社に入社、特建事業部(ゼネコン部隊)に配属。主に土地所有者の土地有効利用を中心とした営業に18年間従事する。また自社集客手法の独自企画や金融機関等のセミナー講師も務めて実績をあげる。 在籍期間の完工実績棟数は387棟。全国特建事業部表彰(特建営業300人中1位)、社長表彰(全社営業3800人中2位)、全社チーム別獲得粗利益表彰(全社全900チーム中1位)などの記録多数。退職するまでプレーイングマネージャーにこだわり続けた。 94年に建築リフォーム会社を設立し、現在まで22年間でテナントビル・マンション、店舗、住宅などのリフォーム工事を中心に約4000件余を完工。不動産の事業化プランニング、賃貸収益物件 (テナントビル、マンション)や店舗の収益最大化手法には定評があり、不動産オーナーの熱烈なファンが多い。 2009年、中小企業コンサルを目指して「ナニワの再建屋」桂幹人の門をたたき薫陶を受ける。桂幹人の実践的コンサルティングと自らの経験とを融合させた「モリタメソッド」を完成した。11年、多くの事業家を実践指導し、新たな事業を創る実践コンサルティングを開始、賃貸ビル・マンションオーナーの満室セミナー、工務店の脱下請け事業構築セミナー、中小企業経営者の新規事業構築勉強会(実践的指導)主催。また経営者、営業幹部の個別コンサルティングも行なっている。 指導先業種は、建設業、工務店、リフォーム会社、鉄工所、内装業、建設資材問屋、自動車輸出入業、子ども服セレクトショップメーカー、自費診療専門整体院チェーン、ブライダルを手がける呉服店、ヒーリングサロン、多店舗展開の美容室、大阪黒門市場マグロ専門店、デザイン事務所の新規事業支援等多岐にわたる。

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