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トイレに閉じ込め。周りも気付けない? 賃貸一人暮らしの地震対策

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今年は東日本大震災から15年目、熊本地震から10年目

今年2026年は、東日本大震災の発生から15年目の年となる。「天災は忘れた頃にやってくる」の「忘れた頃」に、まさに差し掛かっているといえるだろう。

熊本地震から数えても、今年は10年の節目の年だ。「ひと昔」と括られるほどの年月がこの間に過ぎ去った。こちらも、地元の方々を除いては、忘れた頃がそろそろ近づいているのかもしれない。

この記事では、アパートや賃貸マンションで一人暮らしをしている人に向けて、賃貸一人暮らしならではの地震の際のリスクと、それに対する心がけをいくつか掲げていきたい。

一人暮らしならではの震災リスク―――閉じ込め

一人暮らしの人が特に警戒したいのが「閉じ込め」だ。

家族など、複数で暮らす場合に比べ、一人暮らしでは地震の際の閉じ込め事故での危険性が高まる。閉じ込められていることを周りに気付かれにくいからだ。

先日、アイドルグループの元リーダーが投稿したSNSでの発信が、ニュースサイトに転載され、話題となった。

「シャワーを浴びて出ようとしたら、洗面所のドアが壊れて―――」

その後、丸一日に迫る23時間もの間、裸のまま中に閉じ込められたのだそうだ。(天野なつさん・3月12日の「X」)

その間、彼女は「お風呂場の暖房と水道水でしのいで」なんとか耐え続けたという。異変を察知した友人からの通報が発端となり、救助に繋がったのだそうだ。

そこで、簡単に想像できることだが、地震の際はこうしたことが起きる可能性が高まる。揺れによって壊れたり、周囲が歪んだりして、ドアが開かなくなるといった状態だ。

そんな場合、上記の元リーダーが苦労したように、一人暮らしでは容易に周りに気付いてもらえない。

なので、抵抗を感じる人もいるとは思うが、トイレやバスルーム、脱衣室等に入る際は、普段からドアや扉は少し開けたままにしておくのが得策だ。(一人暮らしではそれがしやすい)

「スマホを持ってトイレやお風呂に入る」と、いう人もいるが、大きな地震の場合それでは心もとない。助けを求める相手の側も、被害に遭っている可能性があるからだ。

消防に救助を頼んでも、いつ来られるか、そこまでたどり着けるかが問題となる。電話がつながらない可能性ももちろんある。

よって、簡便、確実なのはやはり「ドア・扉を開けたまま」の方だろう。

開けたドアが無情に閉じられた?

一方、こんな経験をした人もいる。

地震ではないが、何かの拍子にトイレのドアの向こうに置いてあったスーツケースが倒れ、ドアを外側から閉じてしまった。スーツケースが廊下に横たわり、壁とドアの間に挟まるかたちとなったため、ドアが開かず、トイレから出られなくなった―――。

地震の際にも当然起こりうるハプニングだろう。予防のためには、そういった場所に「危険な」モノや家具などを置かないことだ。

部屋自体に閉じ込められる

揺れによって、玄関ドアが壊れたり、周囲が歪んでドアが開かなくなったり、あるいは何かが玄関を塞いだり……

そんな理由から、住んでいる部屋の中に閉じ込められてしまうことも、地震の際には起こりうる。

そのうえで、一人暮らしではやはりそのことに周りから気付いてもらいにくい。

ベランダや窓から逃げるためのルート、手段など、普段から脱出の方法を確認しておくことが大切だ。

狭い部屋ほど起こりやすくなる「家具の下敷き」

賃貸一人暮らしでは、大きな家具が危険な場所に置かれていることも多い。

ワンルームや1Kなど、部屋が狭いケースが多いためだ。危険な場所に家具を置かざるをえない場合が少なくない。

危険な場所とは、その家具が地震で倒れた際、人を傷つける場所のこと。

たとえば、重たい収納がベッドの近くや布団を敷くスペースのそばに置かれていたり。

普段、くつろぎながら居眠りをしてしまうような場所に、奥行きが浅く、背が高い、倒れやすい食器棚が置かれていたり。

こうした場合、家具が凶器と化しやすい。倒れて下敷きになりケガをしたり、亡くなる可能性もあったりする。

さらには、棚の扉のガラスが割れて飛び散ったり、中の食器が散乱したりすることもある。それらが、部屋から脱出する際の障害になることもあるだろう。

そこで、こうした家具をやむを得ず危険な場所に置く場合は、少しでも倒れにくくするため、転倒防止器具を取り付けたい。

そのうえで、扉に耐震ラッチ(地震の際に扉が開かないようにする器具)を取り付けたり、ガラス部分には飛散防止フィルムを貼ったりと、対策を考えよう。

棚の高い位置に重いものを入れるなどせず、低い位置に収納し、重心を下げることもひとつの工夫となる。

防災グッズの中にホイッスルを

地震の際の「閉じ込め」で、何が一番怖いといえるだろう?

それは火災だ。大きな地震があれば、そのあと火災も発生しやすい。

部屋に閉じ込められ、身動きがとれないまま炎に包まれる悲劇が起きないよう、地震で閉じ込めに遭った際は、早期の脱出がとにかく大切となる。

部屋に閉じ込められていることを周りに知られにくい一人暮らしでは、「ここに人がいる」ことを伝えるため、大きな音の出るものが手元にあるとよい。

防災グッズのひとつとして、ホイッスルを用意しておこう。

これがあれば、電源などに頼らず自分の息だけで大きな音を響かせることができる。なおかつ、ホイッスルの音が聴こえれば、そこに人がいるサインだと誰もが理解してくれる。

ホイッスルを枕元近くに常備しよう。倒れた家具が身体にのしかかった場合でも手が届く範囲に置いておく。

加えて、トイレやバスルーム等での「ドア・扉を少し開けたまま」を常に実行する。

部屋が大きく損壊しても、ホイッスルのあるところまで辿り着ける可能性を高めておくというわけだ。

一人暮らしの備蓄は「ローリングストック」で

地震に限らず、災害に備えて水や食料品を備蓄している人も多いだろう。

一方、賃貸一人暮らしにありがちな狭い部屋では、それらの収納場所に苦労することも多い。

そこで、おすすめなのは「ローリングストック」を心掛けることだ。

ローリングストックとは―――?

まず、買ってきた食料や水などをそのまま無くなるまで消費するのではなく、備蓄用にある程度を残す。そのためには、当初多めにそれらを買って来る。

そのうえで、すぐに消費するのは一部までだ。残りを備蓄―――ストックにまわす。

さらに、次に購入した際はストックの方から消費していく。新たに買ったものはストックに補充する。

この流れを繰り返すやり方が、ローリングストックと呼ばれるものだ。

缶詰、レトルト食品、インスタント食品、パックご飯、ミネラルウォーター。

その他、保存の効くさまざまな食べ物、電池、トイレットペーパーなど。

収納場所が狭かったり、少なかったりしても、つねに一定量の備蓄が確保できる。

地域の避難場所はどこ? そこまでの経路は?

自宅近くの避難所、避難場所はどこなのか?

そこまでどのくらいの距離があり、どのくらい時間がかかるのか?

途中の道路沿いや周囲はどんな様子なのか? 何があるのか?

休日等を利用し、実際に歩いてそれらを体感しよう。いざという時、安全で素早い避難が出来るようになる。

賃貸一人暮らしでは、毎日の通勤や通学に使うルート以外、自宅周辺の地理をほとんど知らないといった、不安な状態にも陥りがちだ。それは早めに解消しておこう。

近所に知り合いがいれば心強い

地震で建物がいくつも損壊した住宅地。火災が近くまで迫っている……

そうした中、崩れたアパートの奥まった部屋に、

「〇〇大学の学生さんが住んでいるはずだ。だが見当たらない。もしや閉じ込められているのでは?」

近所の方が気付き、駆け付けた救助隊に知らせた結果、本人の発見につながるようなことがあれば、まさに九死に一生だ。

賃貸一人暮らしでは―――そうなっていないことが大半だが―――近所に知り合いがいると災害時はとても心強い。周囲の状況、避難場所のことなど、さまざまな情報も手に入りやすくなる。

また、一歩進んで自治会・町内会に入っておけば、地域の防災訓練に参加する機会なども得られるだろう。

賃貸一人暮らしで周囲に知り合いをもつかどうかは、もちろん個人の自由だ。個々の判断となる。

だが、災害の前後を通じた「防災力」が上がる点で、これ以上効果の高いものはないだろう。

離れた家族との連絡手段の確保も大事

大地震が発生、現地にいる子どもに連絡が取れない。

心配のあまり、憔悴しきった故郷の両親や祖父母が体調を崩し、倒れてしまった……

そんな「二次災害」が起きないように、いざというときの連絡手段について、普段から家族と共有しておこう。

災害用伝言ダイヤルや、インターネットの災害用伝言板、各SNSでの連絡方法など。

互いに把握しておくほか、避難所・避難場所の名前や位置も知らせておくと、より安心だ。

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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