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賃貸一人暮らしのための地震対策 お風呂やトイレの扉は閉め切るな

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過去の地震の記憶が遠ざかるほど「次」は近くなる

死者 7名
負傷者 117名
火災 34件
建物の全壊、半壊等 6,455棟
がけ崩れ 6箇所
ブロック塀が倒れる被害 132箇所

これは、いつの地震のどの町での被害か判るだろうか? 答えは2011年の東日本大震災。東京都での被害だ。

付け加えよう。

液状化 都内9区で発生
津波 東京晴海で1.5メートルを観測

――など。(東京都総務局のまとめによる

東北の被災地での甚大な被害の印象があまりに強いので、記憶は薄れがちだが、実は東京でもこれだけの被害が生じている。

あれから12年。こうした過去の大地震の記憶が遠ざかれば遠ざかるほど、皮肉にも次の大地震はわれわれの目の前により近づいて来ていることになる。

そこで、この記事では、主に賃貸住宅で一人暮らしをしている人のために、「一人暮らし」が持つウィークポイントに特に注目した上での地震対策を伝えたい。

「閉じ込め」が怖い一人暮らし

1.部屋自体への閉じ込め

もしもこれが発生しても、家族で暮らしていればすぐに誰かが気付いてくれるだろう。しかし、一人暮らしだと大変な事態となりかねないのが「閉じ込め」による事故だ。

まずは、住戸すなわち「部屋」への閉じ込めを警戒したい。大きな地震で、住んでいる部屋が崩れたり、歪んだりし、外へ出られなくなった場合、中にいるあなたに周りが誰も気づいてくれないケースが起こりうる。そこに火災が襲ったりすれば、まさに生命の危機だ。

そこで、防災グッズのひとつとして、「ホイッスル」をぜひ用意しておきたい。万が一部屋に閉じ込められたら、これを鳴らして周囲に自分の存在を知らせるのだ。懐中電灯や、散乱したガラスなどから足を守るスリッパとともに、枕元近くに常備しておくのをおすすめしたい。

2.トイレなどへの閉じ込め

トイレやバスルーム、脱衣室といった場所にいる際、大きな地震に襲われると、建物が歪んだり、カギが壊れたりしてドアが開かなくなるおそれがある。

なので、多少抵抗はあっても、一人暮らしでは、普段そういった場所にいるときはドアのカギをかけたり、ドアを閉め切ったりはしないでおこう。

さらに、ドアだけでなく外側にも注意したい。スーツケースなど、大型で固い道具や家具などがあると、倒れてドアを塞がれる可能性があるからだ。

なお、以上は地震対策に限らない。カギの故障や、偶然何かが倒れてドアを塞がれるなど、地震以外の理由でも起こりうることだ。一人暮らしのリスク管理として、普段から注意しておきたい。

倒れると危ない家具に囲まれがちな一人暮らし

賃貸一人暮らしによく見られるのが、狭い部屋の壁を家具が危険な状態で埋めているケースだ。

ベッドの周りや、普段横になってテレビを観たり、居眠りしたりするような場所の脇に、背の高い収納家具が置かれていることなど、よくあるはずだ。

すると、当然ながら、これらは地震で倒れた際、入居者を襲う凶器になりやすい。さらには部屋から脱出する際の妨げになったりもする。

転倒防止器具の取り付け、扉への耐震ラッチの取り付け(地震の際、扉が開かないようにする器具)、ガラス戸があれば飛散防止フィルムを貼り付けるなど、対策をぜひ考えたい。

また、それ以前に、危険な家具を危ない位置に置かないことや、そもそも部屋に置かないことも大事だ。棚類などは重心が下がるよう、重いものは低い位置に収納するといった工夫も怠らないようにしておきたい。

ローリングストックで備蓄を

災害対策のための水や食料の備蓄といっても、狭い一人暮らしの部屋ではそれらを保管する場所が足りない――もっともな悩みだ。

そこで、心掛けたいのが、普段から「ローリングストック」を意識して生活することだ。

買ってきたものをすぐに消費して、次に必要になればまた買いに行く――ではなく、

「買ってきたものは一旦ストックし、消費は前にストックしておいたもので行う」

をパターンにする。

そうすることで、広い保管場所をとれなくとも、手元にはつねにストック分の食料などが多少なりとも残っている状況をつくれやすい。災害への「耐性」が強まることになるわけだ。

缶詰、レトルト食品、インスタント食品、パックご飯、ミネラルウォーター、缶飲料等、一定期間保存の効く食品や、トイレットペーパーなど、ぜひこのローリングストックの対象としておきたい。

避難場所、避難経路を把握せよ

特に若者の賃貸一人暮らしなどではありがちだ。

「自宅の近所を歩くといえば、もっぱら毎日の通勤、通学のみ。最寄り駅のそば以外、周辺の地理にはまったく詳しくない」

――そんな状況の人も少なくないだろう。

だが、それでは災害時に心もとない。自宅近くの避難所・避難場所はどこなのか、そこまでの経路はどんな様子なのか、どのくらいの距離があり、どのくらい時間がかかるのか?

それらを実際に体感し、知っておかないと、いざという時、安全で素早い避難が出来なくなる可能性もある。

会社や学校が休みの日などを利用して、しっかりと調べておくことが肝心だ。

家族とも情報共有を

こちらも若い一人暮らしの人に特に伝えておきたいアドバイスだ。

災害用伝言ダイヤルや、インターネットの災害用伝言板の使い方、SNSでの連絡方法など、いざというときの連絡手段について、普段から故郷に住む家族と共有しておこう。

さらに、近隣の避難所・避難場所の位置や名前なども、互いに把握しておけばより安心だ。

被災した本人はケガもなく元気なのに、連絡が付かないのでそのことを家族が把握できない――

そのため、親などが心配のあまり体調を崩したり、あるいは、まだ危険な状態の被災地に足を踏み入れてしまったり――

そういったことが起きないよう、事前の準備をしておこう。

以上、「賃貸一人暮らしのための地震対策」ということで、一人暮らしのウィークポイントを踏まえた上でのアドバイスを並べてみた。だが、もちろんわれわれを襲う災害は地震ばかりではない。

挙げたうち、ローリングストックによる備蓄や、避難場所、避難経路の把握、家族との情報共有については、水害などその他の災害対策にあっても一緒だ。

準備をしておいてよかったと、来たる“本番”ではぜひそう思えるように、しっかりと対策を整えよう。

(文/賃貸幸せラボラトリー)


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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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