絵画・彫刻・工芸品――その特徴とインテリア・オーナメントとしての上手な扱い方(2/2ページ)
Mie
2021/10/10
美術品とは扱いが違う「工芸品」
「工芸品」は生活の必要性から生まれた造形感覚に富んだ生活道具です。そのため、美術品とは一線を画します。
工芸品の優れた特徴は実用性がありながら生活空間にみごとに調和する美しさを兼ね備えていることです。国や地域の人々の感性が生き、気候風土に適した素材と技法の融合が時代と共に培われ、現代にも受け継がれながら人々の生活に潤いを与えてくれる存在です。
工芸品の領域は陶芸、漆工芸、木工芸、竹工芸、ガラス工芸、染織工芸、紙工芸など多種多様なものがあって、日常生活の中での味わいや、趣味性を高めるための大切な役割があります。日本の工芸品の例をあげると南部鉄器、江戸切子、箱根寄木細工、西陣織、熊野筆、輪島塗などです。
海外の工芸品
海外での有名な工芸品の例は、ペルシャ絨毯(イランの伝統的な手織工芸品)、マヨルカ焼(スペインに位置する島の名前が由来の錫釉陶器)、ボヘミアガラス(チェコで製造されてきた伝統的ガラス工芸品)、アラフチ(モンゴルの伝統的な刺繍)、鳩時計(ドイツで19世紀から製造されている工芸品の時計)、螺鈿細工(トルコ南部~シリア発祥の伝統工芸品)などがあります。
海外の伝統工芸
工芸品をインテリア・オーナメントとして飾る際のポイントは、作られた地域の文化、歴史、象徴性が色濃く表現される特性があるため、室内空間に配置しても浮いて見えない配慮をしましょう。
次回は「茶室のインテリア/日本」についてのお話です。
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この記事を書いた人
MIE色彩研究社代表
自由が丘産能短期大学能率課インテリアコーディネーター課程卒業。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。東京商工会議所カラーコーディネーター検定試験認定講師。電子機器製造メーカー、産業機械商社に勤めながら、社会人学生として産業心理学を学び、色彩と人間の意識との深い結びつきに共感。さまざまな社会経験を通して、色彩と人の意識に関わる数多くの実証の基、色彩スペシャリストとして事業を展開。東京都中央区銀座のオフィスではこれまでに培ったパーソナルカラー、空間色彩、商品色彩、カラースクール、色彩セミナーなどを個人、法人を問わず全国で行っている。趣味は街散策。