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もはや危険水域? 上がる家賃、今年2026年はどうなるのか

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家賃がますます上がったとされる昨年、実際の数字は?

まず、一昨年のことからだ。

おととし2024年は、家賃が大きく動き出した年だった。永く変動の乏しい「岩盤」といわれてきたものが、都市部を中心に上昇を始めたことがニュースとなった。

すると、続く昨年、過ぎたばかりの2025年はどうだったのか。

家賃はますます高くなっていると話題にはのぼっていたが、具体的にはどんな数字が出ていたのか。

いくつかのデータを見ていきたい。まずは、東京都区部における消費者物価指数の前年同月比の変動率からだ。

「消費者物価指数 東京都区部・民営家賃の前年同月比の変動率」
月(2025年) 上昇率
12月 2.0%(速報値)
11月 1.8%
10月 1.7%
9月 1.7%
8月 1.7%
7月 1.7%
6月 1.7%
5月 1.8%
4月 1.8%(急な増加)
3月 1.1%
2月 1.0%
1月 0.9%

4月に注目したい。数字が急に増えている。

これは、入居者の入れ替わりが多くなる、いわゆる賃貸繁忙期での変動、すなわち賃料の改定を主に反映した動きのはずだが、さらに注視したいのはそのあとだ。

上がった上昇率は、その後もほぼ変わらず、年の終わりまで続いている。

ちなみに、「岩盤が動いた」とされる24年における数字はこうなっている。

月(2024年) 上昇率
12月 0.9%
11月 0.9%
10月 0.8%
9月 0.7%
8月 0.7%
7月 0.6%
6月 0.6%
5月 0.7%
4月 0.5%
3月 0.4%
2月 0.2%
1月 0.2%

つまりは、上昇率がじわじわ増加した24年をベースに、昨年においては、とりわけ4月以降、さらに高い水準で数字が安定した。家賃の値上がりに拍車がかかった状態となっている。

家賃の上昇は、全国の主要な都市部の多くでも

次の資料となる。

不動産ポータルサイト「at home」を運営するアットホーム株式会社による月例の報告だ。市場の動きを測る指標として、過去より頼りにされているものだ。

先般12月18日公表分の「2025年11月 全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向」から、データを拾っていこう。

平均家賃の前年同月からの変化率がプラス3.0%以上となっている面積帯の数をエリアごとに見ていく。まずは、賃貸マンションからだ。

賃貸マンション(エリア総数13)

  • 「30㎡以下」「30~50㎡」「50~70㎡」「70㎡超」全ての(4つの)面積帯で3.0%以上の上昇が見られるエリア
    ……東京23区、東京都下、福岡市 /計3エリア
  • 3つの面積帯で3.0%以上の上昇
    ……仙台市、埼玉県、千葉県、神奈川県、京都市、大阪市 /計6エリア
  • 2つの面積帯で3.0%以上の上昇
    ……札幌市、神戸市 /計2エリア

このとおり、賃貸マンションでは、13エリアのうち11エリアで4つの面積帯のうちの半分(2つ)以上が、プラス3.0%以上の高い前年同月比を示すかたちとなっている。これに漏れたのは名古屋市、広島市のみだ。ただし、名古屋市では全面積帯が上昇となっており(0.5%以上~3.0%未満)、下落はない。

続いて、アパートの数字となる。なお、エリアの数と顔ぶれは賃貸マンションと同じ。面積帯は1つ減って3つとなる。

アパート(同上)

  • 「30㎡以下」「30~50㎡」「50~70㎡以下」全ての(3つの)面積帯で3.0%以上の上昇が見られるエリア
    ……埼玉県、東京23区、京都市、大阪市、神戸市、福岡市 /計6エリア
  • 2つの面積帯で3.0%以上の上昇
    ……千葉県、東京都下 /計2エリア

こちらでは、13エリア中8エリアで、3つの面積帯のうち2つ以上がプラス3.0%以上の高い前年同月比を示している。残りは、札幌市、仙台市、神奈川県、名古屋市、広島市となる。ただし、仙台市、神奈川県では全面積帯が上昇となっている。

以上、東京・首都圏のみならず、他の多くの都市部にも家賃上昇の波が及んでいることがわかるデータとなるわけだ。

その上で、前年同月比上昇率トップ5の数字を挙げると、以下となる。どれも、すごいと率直に言えるものだろう。

 
地域 上昇率
1位 福岡市(マンション・30㎡以下) 14.1%
2位 仙台市(アパート・50~70㎡以下) 12.8%
3位 東京23区(マンション・30~50㎡) 12.0%
4位 仙台市(マンション・70㎡超) 11.1%
5位 福岡市(マンション・50~70㎡) 11.0%
(同)5位 東京23区(マンション・30㎡以下) 11.0%

家賃「危険水域」報道のインパクト

さて、アットホーム社のデータといえば、昨年9月4日、これらをもとに日本経済新聞電子版が「マンション家賃『危険水域』東京23区は所得の3割超―――」と、見出しに掲げた記事を掲載している。

「東京23区、大阪市、名古屋市、札幌市、福岡市について、不動産情報サービスのアットホームがまとめた家族層向け(50~70平方メートル)賃貸マンション平均募集家賃が、総務省『家計調査』(2人以上の勤労者世帯)の1世帯可処分所得に対し、どれだけの割合となるかを調べた」

と、いうもので、「危険水域」という刺激的な言葉も相まってか、SNSでの拡散など、若干のインパクトを呼んだようだ。

そこで、どう「危険水域」なのか、記事を読み返してみるとこんな記述がある。(要約)

  • 一般的に所得に占める家賃は25~30%程度が上限といわれる。超えると家計運営が不安定になる
  • 東京23区の家族層向け平均家賃は24年に月21万円を超え、所得に占める割合は約34%に達した
  • (こうした状態だと)貯蓄に回すお金が減り、急病や失業以外に、子どもの教育費が想定外に膨らんだ場合などにも対応が難しくなる

そのうえで、さきほどの12月18日公表分のアットホーム社のデータを見ると、東京23区の賃貸マンション「50~70㎡」における平均家賃は、さらに大きく上がって251,446円となっている。前年同月比はプラス10.0%だ。

そこで、この251,446円に12を掛け、1年分にすると、301万7352円という数字が出て来る。

これを仮に30%―――上記、所得に占める家賃の上限―――とし、100/30を掛けると、1005万7840円となる。つまり可処分所得だ。

次いで、この1005万7840円を年収の7割とすると、10割分として弾き出される数字は1440万円近くになる。

すなわち、251,446円という上記の家賃は、世帯年収が1400万円を超えてやっと払うに足るくらいのレベルのものだ。危険水域というか、多くの人にとって「限界を超えている」といったところになるだろう。

もっとも、場所は東京23区内だ。これに対抗しうるパワフルな家計ももちろん少なからず存在するにはちがいない。

割れる予測。少数だが「いまがピーク」の見方も

次に紹介する資料は、公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)による「不動産市況DI調査」第39回・25年10月30日公表分となる。

アンケートに答えているのは、全宅連モニター会員―――不動産、建築等にかかわる182の事業者だ。

質問内容:
「居住用賃貸物件の成約賃料について、3カ月後(26.1.1)はどうなると予測しますか?」

北海道・東北・甲信越地区
大きく上昇している 0.0%
やや上昇している 13.0%
横ばいである 82.6%
やや下落している 4.3%

(上昇予測は合わせて13.0%)

関東地区
大きく上昇している 1.9%
やや上昇している 29.6%
横ばいである 64.8%
やや下落している 3.7%

(上昇予測は合わせて31.5%・2番目に多い)

中部地区
大きく上昇している 0.0%
やや上昇している 26.1%
横ばいである 73.9%
やや下落している 0.0%

(上昇予測は合わせて26.1%)

近畿地区
大きく上昇している 3.4%
やや上昇している 31.0%
横ばいである 62.1%
やや下落している 3.4%

(上昇予測は合わせて34.4%・最も多い)

中国・四国地区
大きく上昇している 0.0%
やや上昇している 7.7%
横ばいである 76.9%
やや下落している 15.4%

(上昇予測は合わせて7.7%)

九州・沖縄地区
大きく上昇している 0.0%
やや上昇している 21.1%
横ばいである 68.4%
やや下落している 10.5%

(上昇予測は合わせて21.1%・3番目に多い)

このとおり、上昇予測については、多い順に「近畿」「関東」「九州・沖縄」となる。そこで、これを前出アットホーム社のデータと見比べると―――

  • 賃貸マンションの全面積帯で3.0%以上の高い上昇が見られるエリア
    ……東京23区、東京都下、福岡市 (=関東と九州)
  • アパートの全面積帯で3.0%以上の高い上昇が見られるエリア
    ……埼玉県、東京23区、京都市、大阪市、神戸市、福岡市 (=関東と近畿と九州)

両者、きれいに符合するかたちだ。

そのうえで、関東、近畿の両地区においては、「やや上昇」に留まらず「大きく上昇」するとの予測がある一方、逆の「やや下落」も見られる。意見が割れている。

すなわち、後者にあっては、「現状で家賃はすでにピーク」との見方が示されているといえるだろう。

だが、「そうではない、もっと上がる」との予測は、調査時点(25年10月7日~21日)においては、それよりも圧倒的に多かったようだ。

なお、当調査の次の結果については、今月アンケートが実施されたものが、月末(26年1月末)頃に公表されると思われる。

「粘着性がつよい」代表、家賃はまだまだ上がり続ける?

最後に、今年も家賃は上がり続けるのか?

そこでいうと、家賃は「粘着性」がつよい物価・サービス価格の代表ともいわれている。つまりは、上がりにくく、下がりにくい。

なおかつ、上がるにしても、下がるにしても、他に比べ動きの始まりが遅い。こちらは「遅行性」ともいわれるが、これらは家賃がもつ顕著な特徴だ。

理由の大きなひとつは、契約期間が長いことだ。単純には、入居者の入れ替わりが生じるまで、家賃の額というのはなかなか変わるものではない。一度決まった家賃は、2年、3年、さらに数年と、長期にわたって維持されやすいということだ。

すなわち、その間、地価や物価の変動が進んでも、部屋や建物の借り手が変わらなければ、それらは簡単には家賃に反映されにくい。

そうした個々の重なりが、家賃というサービス・モノの値段の動きについての全体的な特性をかたちづくっている。

なお、その様子は、当記事の冒頭に示したデータにもはっきりと表れている。消費者物価指数―――民営家賃の上昇率・前年同月比における昨年4月の急変が、まさにそれとなる。

そこで、だ。

以下を見てほしい。同じく消費者物価指数の「全国・総合指数」における年平均の推移となる。

指数 前年比上昇率
2024年 108.5 2.7%
2023年 105.6 3.2%
2022年 102.3 2.5%
2021年 99.8 ▲0.2%

このとおり、21年の後半辺りから始まったとされるわが国現下の物価上昇が、そのまま数値に表れている。21年平均において、前年比はまだマイナスだ。

一方、上記を「民営家賃」に絞ると、以下のとおりとなる。

指数 前年比上昇率
2024年 100.3 0.3%
2023年 100.0 0.1%
2022年 99.9 0.0%
2021年 99.9 ▲0.1%

このとおり、やっとまともな(?)上昇に向け、離陸を始めたといえそうなのが24年だ。要は、家賃は、総合指数の変動を2年かそれ以上遅れながら、ゆっくりと追いかけている。

そのため、この追走は、よほどの事件や異変、経済環境の変化が生じるなどしないかぎり、今後もしばらく続くはずだ。

つまり、結論はこうなる。今年も家賃は上がり続ける。

ごく一部において、市場がそれに追いつけず、頭打ちとなるエリアや物件種別が出て来る可能性もあるが、そうした例はあっても少ないだろう。

2026年も、わが国の家賃は上がり続けると予想する。

なお、当記事で紹介した各資料、データは以下でご確認いただける。

消費者物価指数(e-Stat)

アットホーム(株)全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向(25年11月)

全宅連 不動産市場動向調査/不動産市況DI調査

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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