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平均購入価格は5538万円で過去最高 首都圏新築分譲マンション契約者動向調査

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文/朝倉 継道 イメージ/©mkphotoshu・123RF

リクルート住まいカンパニーが、この3月(2021)、「2020年首都圏新築マンション契約者動向調査」の結果を公表した。01年より毎年行われている恒例の調査だ。きめ細かく、ツボを押さえた調査項目が多数準備された、市場実態を把握するには欠かせない資料のひとつである。

調査対象は、20年1月~12月における首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)での新築分譲マンション購入契約者となっていて、今回のデータ集計数は5139件とのこと。Webと郵送を併用するやや手間をかけたリサーチが行われている。目立ったトピックを紹介していこう。

共働き比率、調査開始以来最高に

・調査対象全体に占める共働き世帯の割合は59.9%
・既婚世帯での同割合は72.1%

いずれも、これまでの最高を示している。ちなみに、01年はそれぞれ35.4%、41.5%だった。新築分譲マンションの購入が「働く夫婦のプロジェクト」である度合いが、ここ20年ほどで大きく増した状況が見てとれるだろう。

シニアカップル世帯(世帯主年齢が50歳以上の「夫婦のみ」世帯)での共働き比率も、今回は42.1%で過去最高となっている。01年は22.5%だった。

平均世帯総年収は1000万円に迫る高額を維持

世帯総年収の全体平均は985万円である。19年の988万円とほぼ同じだ。なお、この項目でのもっとも古いデータとなる08年の数字は737万円だ。14年に800万円台に、16年に900万円台に達している。

既婚の共働き世帯での平均は1044万円だ。既婚で共働きはしていない世帯でも954万円と、共働き世帯に迫るレベルである。

新築分譲マンションが、首都圏においては、ある程度リッチな層の買い物である状況がしばらく続いている。

平均購入価格は過去もっとも高い

平均購入価格は5538万円で、01年(調査開始)以降もっとも高い数字となっている。購入価格「6000万円以上」が32.7%、「5000~6000万円未満」が22.6%だ。5000万円以上が全体の55.3%を占める結果となった。

また、リーマンショック直後の09年には21.3%に膨らんでいた「3000万円未満」の割合は、いまや2.1%にまでしぼんだ状態である。

平均専有面積は過去もっとも小さい

物件の平均専有面積は67.3㎡で、01年(調査開始)以来最も小さくなっている。01年には22.5%だった70㎡未満の割合が、20年は44.5%となり、このままだと5割を超えそうな勢いだ。

前項の平均購入価格の上昇と併せ、現在、首都圏の新築分譲マンションにおいては、「値段は上がり、部屋は狭くなる」傾向が著しく強まっている。

自己資金比率は過去もっとも低い

物件購入資金における自己資金の比率は、平均で17.9%だった。過去最低だった18年を更新し、01年(調査開始)以来もっとも低くなっている。こちらが過去5年の数字だ。

2019年 19.1%
2018年 18.8%
2017年 20.5%
2016年 20.5%
2015年 25.4%

さらに、自己資金比率0%の割合も、今回は16.0%と、こちらも過去最高である。ちなみに、01年では、自己資金比率0%はわずか2.5%だった。ローンに大きく支えられる市場の姿が浮かび上がっている。

ローン借入総額は過去もっとも高い

ローン借入総額の平均は4864万円で、この項目でのデータが残る05年以降でもっとも高くなっている。なお、その05年の数字は2965万円である。

借入れ総額「5000万円以上」が占める割合も、今回は43.5%となり、過去最高だ。こちらは05年では3.2%だった。ここ15年ほどで、住宅ローンの“常識”が、首都圏の新築分譲マンションにおいては大きく様変わりしているようだ。

住まいの購入理由では「資産として有利」が依然伸長

住まいの購入理由については、

「子どもや家族のため、家を持ちたいと思ったから」…38.1%
「現在の住居費が高くてもったいないから」…32.5%
「もっと広い家に住みたかったから」…28.0%
「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」…27.1%

上記がそれぞれ20%を超え、ほかを引き離してのTOP4となっている。なお、このなかで過去との変動差がもっとも著しいのが、「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」である。

03年は9.1%だったが、いまは約3倍に膨らんでいる。なおかつ、今回も数字を過去最高に伸ばしている。なお、この「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」については、以下のとおりシングル世帯での割合がほかの世帯に比べて高いことも特徴だ。

シングル世帯 …40.8%
夫婦のみの世帯 …30.0%
子どもあり世帯 …19.5%
シニアカップル世帯 …15.5%

購入重視項目では「住宅内外の環境」での数字が増加

「物件を検討するうえで重視した項目」では、各項目の順位、数値ともに、昨年からの大きな変動はおおむね見られない。そのうえで、挙げるとすれば、

「住戸の広さ」「間取りプラン」「生活環境」「周辺環境」「住戸の向き」「住戸の設備・仕様」「住戸の部屋の数」「耐久性・構造」「エリアイメージ」

といった、住宅内外の環境に関する項目で、軒並み数字が上がっているのが、特徴的といえば特徴的である。

一方で、「最寄り駅からの時間」がわずかに減っていることを併せると、やはり、新型コロナウイルスによる心理的、または具体的な影響をここにも垣間見ることができそうだ。

以上、「2020年首都圏新築マンション契約者動向調査」の中から、目立ったトピックをいくつか挙げてみた。

なお、賃貸住宅オーナーとして、やはり気になるのは、資金・ローンにかかわる数字だろう。

・自己資金比率は過去最低
・自己資金比率0%の割合は過去最高
・ローン借入総額も過去最高

これらはいずれも、賃貸住宅にとっての逆風を意味している。端的には、お金を一生懸命貯めなくとも、収入さえしっかりしていればマンションを買えてしまう環境が、近年はすっかり定着しているということだ。

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